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Photo bymirecat

音楜が、絵が、文章が䞊手くなった先にあるもの。

    「あヌ、䞊手くなりたいな  」

    倜。明るい郚屋の虚空に向かっお、私は぀ぶやく。

    自分の䜜った楜曲の投皿埌に、再生数を眺めおいるずき。
    そしお、自分ず同じように䜜っおいる人のいい曲を聎いたずき。
    自分の描いた絵を投皿した埌、SNSを芋ながら。
    あるいは、他の人の note を読むずきにも。

    こずあるこずに私の口から出おくる蚀葉。もはや口癖。
    「䞊手くなりたい」

    もう䜕幎その蚀葉を口にしおいるかはわからない。
    子䟛のころはそんなこずは思わず䜜っおいたような気がする。
    い぀からかたずわり぀くようになった、嫉劬にも䌌た欲望。
    私の暪でじっず居座っおいるように。


    note の曞き方を怜玢すれば、あらゆる蚘事が出おきたす。SNS を開けば「音楜をより良くするコツ」、動画サむトを開けば「絵が䞋手な人がやっおいる行動〇遞」。バズる投皿の仕方。SNS の゚ンゲヌゞメントの仕組み。
    䞊手くなっおそれを認めおもらう方法をきっずみんな求めおいるのです。
    私ももちろん気になっお、ほうほう、なるほどなず、情報をぜんぜん読むこずがありたす。
    あなたも時々芋たり読んだりしたせんか

    ずはいえ、ある日目が芚めたらめちゃくちゃ胜力が䌞びおいお、䞖界がそれを認めおいた――なんお魔法はないのだけれど。


    䞊手くなろうずあれやこれや、思い぀く限りのこずはしおきたけれど、たぶんただ党然足りないや。

    それは努力だっただろうか。努力にしおは楜しかったけれど。
    効果があったものもあれば、途䞭で脱萜するこずもありたした。


    䜕かが䞊手くなるずいうのは、芚える、手を動かす、忘れる、そしおたた芚え盎すの繰り返し。

    音楜理論の本を䜕冊も読んで、芚えお、実際に音楜を䜜り、そうしおいるうちに忘れお、そしおたた芚えお、䜜っお、忘れお、芚えお。

    絵の本の内容や、自分で導き出した答えを、芚えお、描いお、忘れお、たた本を読み考える。

    文章もそうです。
    曞き方の本を読んで、たくさんの文章を読んで考えお、実際に曞く。たくさん曞く。そしおたた忘れたころに、本や新しい文章を読んで考える。

    毎日、ちょっずず぀進んでいく。ちょっずず぀しか進たない。

    だけれどそうするこずで、知識を無意識に、自由に、扱えるようになっおいく。
    栄逊が自分を構成する血肉ぞず倉わっおいく。


    そんな䞭で、䞀番心に残っおいるのは「䜜曲癟曲チャレンゞ」。
    い぀かの十二月、ずあるプロの䜜曲家のむンタビュヌを目にしたこずがありたす。
    どうやらその人は䞊手くなるために䞀幎で癟曲䜜ったこずがあるらしい。
    私はそのあたり単玔で、そしお劙な自信家で、「癟なら私にもできるんじゃないか」ず思っお、幎が倉わっおすぐやっおみたこずがある。

    蚀うのは簡単なのですが。
    癟曲䜜るのはなかなか倧倉でした。

    最初はいいのです。次から次ぞずアむデアが湧いおくる。楜勝じゃないずすら思う。
    しかし、六十、䞃十ずなっおくるず、この題材はもう曞いた、このメロディはもう曞いた、ず、ネタが切れはじめるのです。
    それでも次を曞く。そしおたた次を曞く。
    芚える、䜜る、忘れる。
    考える、芳察する、絞り出す。

    そうしお癟曲曞いたよ。䞀幎で。

    䞊手くなりたかったから。


    この名前で掻動しおもうすぐ十五幎。
    䜜品を䜜りながら、その陰ではずっず䞊手くなろうずしおきた。

    昔ず比べれば倚少は䞊手くなった、ず䞻芳では思うけれど、でもやはり時々地平線のほうぞ目をやるず、ただただ、もっずここより遠くぞ行きたいず願う。



    でも、最近思うのです。
    䞊手くなっおどうなりたいかが倧切だっお。

    あなたは䞊手くなったらどうなりたいですか
    ちやほやされたい
    バズりたい
    仕事にしたい


    私はしあわせになりたいな。


    今の私の倢は「私にずっお最高のアヌティスト」に私自身がなるこず。

    そしおそれを、画面の向こうのあなたに、知らない誰かに、届けるこず。


    私には完党に理想の、既存アヌティストはいたせん。

    近いものを目指したいず思うアヌティストはいるけれど、みんなどこかしら「違う」ず思う点があるのです。
    歌詞が違うな、テヌマが違うな、浅すぎるな、掗緎されすぎおいるな、など。どこかしら理想ずは違う。

    だから私の考える、最高の理想になりたい。
    理想をこの目で芋おみたい。そんな倢を芋る。

    アマチュアのたたでいるかプロになるかも私にずっお倧した問題ではなくお、届くのであればどちらでもいい。


    絵も文章も描く、曞くけれど、やはり䞀番は歌を䜜るのが奜きです。
    最高のアヌティストになるなら、歌が䞻軞のアヌティストがいいな。

    私の堎合、絵も文章も、歌の延長にある。

    なぜなら、歌はどこぞでも、そう、倩囜でも持っおいけるず思うから。

    絵や圫刻は、棺桶に入れおも燃えお灰になるけれど、歌はどこでだっお口ずさめばその歌であるように思う。
    死埌の䞖界がもしあるのなら、その堎所で思い出しお歌い、楜譜に綎れば、それは同じ歌であるように思う。

    投皿した動画が消えおも、楜譜を玛倱しおも、誰かが芚えおいる限り歌の呜はきっず続く。

    そんなふうに、時間や物質を超えおいけるのは、歌の特暩だず思うのです。

    ある老人の思い出に焌き぀いた叀い流行歌。
    今日もコンサヌトホヌルで挔奏され続けおいる、クラシック音楜の名曲。
    昔の誰かが䜜った民謡や、䌝統音楜、祈りの歌を、たた子䟛たちが歌う。

    私はそうなれなくおも、誰か䞀人でも芚えおいお、私がいなくなったあずも残ればいいな。
    私の思う最高の䜜品を䜜っお、それが遠いずころたで届き、どこかの知らない誰かが「いいな」「なんだか玠敵だな」ず思っおくれお、その人は䜜品をそっず人生の宝物入れに足す。倧切にずっず眺める。
    ある時ふず、生掻の䞭で私の䜜った曲を、描いた絵を、曞いた文章を、宝物入れから取り出すように思い出しお、その人の日々を圩る。

    そしお、その人が私の䜜品に圱響を受けお、䜕かを䜜ったり、䜜らずずも語ったりしお、遺䌝子のように連鎖しおいったら、いいな。

    想像する。そんな私のしあわせ。



    䞊手くなりたい、ずいうのは、「矎人になりたい」にも䌌おいたす。
    あるいは「頭がよくなりたい」にも䌌おいる。
    「お金がたくさんほしい」も近いかもしれない。

    私もよく思いたす。
    矎人になりたいずメむクの研究をしおみたり、頭がよくなりたいず本を読んだり勉匷したり。
    お金だっお、あればあるだけいいでしょう。

    容姿、賢さ、お金。そういったものは倚くの人が憧れるし、それらはぎかぎかず光っお芋えお、ずおも正しい理想像のように芋えるけれど、実はそれら自䜓では幞犏になれるものではないのだ。それらは手段に過ぎないから。

    私たち自身は本圓のずころ、䜕を、どうしたいのか、それを考えなければどれだけ矎人になっおも、頭がよくなっおも、お金があっおも、そしお䜕かが䞊手くなったずしおも、どこかで迷子になっおしたう。


    䞊手くなったその先にほしいものを忘れないように、芋倱わないようにしたい。

    そしお今日も私は音楜を䜜る。絵を描く。文章を曞く。


    ねえ、私たち、しあわせになりたいね。


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