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おすそわけ日記 93 「ずっと象だと思ってた」

    ここしばらく、炊飯器の買い換えについて悩んでいた。離婚をして実家に戻ったら、嫁ぎ先の方がご飯が美味しかったと云う悲しい事実。

    「あっちの方が、玄米がモチモチしてた…。」

    食べているのは同じお米なので、問題は炊飯器の差。

    我が家の炊飯器は、随分前に買ったタイガーのIH式炊飯器。向こうの炊飯器は、一昨年買った…えーと、どこのだっけ?三号炊きなのは確かなのだが、メーカーがわからない。ひとまず、アマゾンで調べてみる。

    「あ、これ、これ!色がブラウンで、この形!象印のだ!」

    そこから、メーカー内での比較に入る。二万円位で、玄米も美味しく炊けるのはどれだろうと調べまくる。ちなみに私は、深く追求する蠍座の完璧主義なAB型。調べるとなったら、とことん調べる。

    数日かけて、まぁ、これかなとアタリをつけた所で、いつもお米を頼んでいる農家さんからパナソニックの炊飯器に買い換えたとの情報が入る。えー!?って言うか、えええー!?思いきり動揺する。

    「わかりました。象印とパナソニックで調べ直してみようじゃないですかっ!」

    選択肢が更に多くなり、ひたすら検索をかけて調べ続ける。延々と、また何日も。気づいたら、同じまとめサイトを何度も見ていたりして、もう訳がわからないよ。余りにもエネルギーを使ってしまったので、さすがにここらでケリをつけないと。

    「あっちで使ってた象印の炊飯器で美味しかったんだから、象印を信じよう。」

    そう決めて、注文前に実物を確認すべく家電量販店に行ったら、実物がない。そうだった、三号炊きは需要も供給も少ないから店頭に置いてないパターンだった、一昨年も。肩を落とす私に、お店の人が「炊飯器をお探しですか?」お探しです、かれこれ一週間も。「パナソニックがおすすめです。」

    その瞬間、私の頭に浮かんだのは、無限炊飯器地獄と云う言葉だった。お店の人が滔々と語るパナソニックの五号炊き推しを聴きながら、迷子になった気分で出直して来ますと店を後にした。

    パナソニック、あなたがまた私の前に現れるとは。これはアレだ。「幼なじみのゾウ君とつきあおうとしたら、席替えで偶然二度も隣になったパナ君と仲良くしてるのを友達に冷やかされて、自分の心がわからなくなってしまった乙女心」だ。

    マズい、思考がいい具合に暴走している。冷静に、冷静に。そう念じていて、突然、思いついたことがある。一昨年買った炊飯器、もしかして、私のアマゾンアカウントで買ってるかも?それなら、後が辿れる!慌ててスマホを確認したら、注文メールが残っている!

    「タイガーだった。」

    ずっと象だと思ってたのに。虎だったなんて、肉食男子にも程がある。

    結局、最初に決めた炊飯器に操を貫くことにして、象印の圧力IH式三号炊き炊飯器を注文した。

    これもご縁と云うことで。


    【今日の一枚】冷たい風に鳩たちが地面で丸まっていました。

    今日もおつきあい頂いて、ありがとうございます。

     
     
    「他愛ないけど、愛はある。」日常と偏愛をおすそわけする日記エッセイを書くのが日々の楽しみ。詩集『ひざまずく光』と オトボケ母娘の『ヤソイソ劇場(旧・ナソナとイソ二劇場)』マガジンも有り〼。本、美術、オヤツ、お洒落、母、役に立たないことを愛する五十路。

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