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かりはらの莄巫女 シヌン6 ①

 葬儀が終わり、神棚ず祭壇の前面に癜い玙を貌り、倩氎ず䞀倜は先に墓所に参り、地鎮祭ず儀匏をおこなう為、菟䞊家の墓所に向かった。枕盎しの儀を省略しおの、神葬祭だった。

 垌ず矎千代を同時に墓所に埋玍しようずいう話になったのだ。たさか、矎千代たで急逝するずはだれもが思っおもいなかった。異䟋のこずゆえに、亡くなった病院で矎千代の遺䜓を浄め、葬儀瀟に玍棺を枈たせおもらった。

 昚日垰った匔問客がたた慌ただしく、菟䞊家に集たった。たたたた分家の䜕人かは垌の跡を叶に継がせるべきか話し合いをする為に残っおいた。そんな䞭で圓䞻代理の矎千代も亡くなったので、本家には垌の時以䞊の分家が集たっおいた。

 圓然、叶の逊父母も葬儀に参加したが、圓䞻を継ぐであろう叶ず目が合うず寂しげな笑みを浮かべた。もう二床ず垰っおこない嚘を芋送りに来たような衚情だった。

 それを芋お、叶は斎䞻の垭から立ち䞊がっお、「私は継がない 垰る」ず叫びたいのを我慢した。さすがに暪暎な祖母の神葬祭で隒ぎ立おるのは、粛々ず葬儀を執りおこなっおいる倩氎ず䞀倜に悪いず思ったし、非垞識だず自芚しおいた。逊父母にも迷惑を掛けおしたうだろう。

 神葬祭が枈むたでの蟛抱だ、ず叶は自分に蚀い聞かせた。

 火葬堎に行く前、故人に花を添える為、矎千代の柩が開けられた。いくら敎えおも䞊手くいかなかったのだろう。矎千代の死に顔は、怯えおいるような苊悶に満ちお歪んでいた。息を匕き取る最期に矎千代は䜕を芋たのだろうか、ず叶は蚝しく思った。



 葬儀が終わり、盎䌚が始たった頃には、すっかり日も暮れおいた。

 叶はようやく解攟されお、逊父母を探したが、芋぀からない。分家の女性に蚊ねるず、もう垰ったず告げられ、叶は逊父母に捚おられた、ず絶望した。こんなこずになるず知っおいたら、最埌に䞀緒に過ごした䞀ヶ月間、意固地にならずに謝っおいたのに。けれど、埌悔しおも遅い。

 叶はがっくりず肩を萜ずし、盎衣を脱いでく぀ろいだ姿の倩氎の隣で、盎䌚の折詰にも箞を付けずにがんやりずしおいた。

「食べないのか」

 ず、聞かれおも、叶はずおも食べる気がしない。朝からたずもに食事もずっおないずいうのに、空腹を感じおも食欲が湧かなかった。

「食欲がなくお」

 玠盎に叶は答えた。するず倩氎が神劙な顔぀きになっお声を朜める。

「食べおおきなさい。このあずは遺曞が開封されるから。䜓力を付けおおかないず保もたないよ」

 そう蚀われお、叶は枋々折詰を開けお箞を付けた。

「䞀倜さんは」

 ふず、䞀倜がいないこずに気付いた叶は蟺りを芋枡した。

「䞀倜は匁護士を呌びに行っおいるよ。ようやく私も肩の荷が䞋りたよ」

「どうしたんですか」

「䞀倜に跡を継がせたから、私はようやく隠居できる。今埌は䞀倜に䜕でも聞きなさい」

 跡を継がせたず聞き、それで葬儀の時に䞀倜が祭文を読んでいたのか、ず腑に萜ちた。

 䞀倜が宮叞になり、次は叶が圓䞻になる。ずうずう、遺曞を聞くずきたで菟䞊家に匕き留められおいた。遺曞が開封されたら、倚分埌戻りするのは難しいかも知れない。

 ここに来た最初の勢いを、叶は倱っおいた。考えおみるず、蔵に閉じ蟌められおから、ずっず諊めおしたっおいる。

 菟䞊家を蝕んでいる因習に足を取られお、泥のような血統の習わしに匕きずり蟌たれおいるような気さえする。



 盎䌚も䞀時間ほどで萜ち着いた。折りたたみの長机や折詰のゎミが片づけられお、最埌たで残っおいた分家の芪族たちが䞊座に向かっお着座し、遺曞の開封を埅っおいる。叶は倩氎に促されお、䞊座のざぶずんに正座した。

 叶、䞀倜、倩氎の順に䞊ぶ。倩氎の隣に顧問匁護士が埅機しおいた。

「お願いしたす」

 䞀倜が顧問匁護士に頭を䞋げる。

「お集たりの皆様、お埅たせいたしたした。今から、菟䞊矎千代様の遺曞を開封いたしたす。遺蚀曞は埌日、裁刀所立ち䌚いの元に開封いたしたす。では  」

 叶は拳を固く握っお、膝に乗せた。二十人ほどの芪族たちの芖線が䞀斉に叶を向けられる。自分自身を射貫くような圧力を感じ、叶は顔を䞊げるこずができなかった。

「菟䞊矎千代は、次期圓䞻を叶ずする。叶は必ず䞉日埌に䞀倜ず婚玄の儀を執り行うこず。その䞉日間、叶は氎葉の鎮魂祭をおこなうこず。たた氎葉の慰霊碑を建おるこず」

 芪族たちがざわめく。叶の耳に、「なんで今頃氎葉の」ずか、「慰霊碑たで」ず䞀番の謎である氎葉の鎮魂祭に぀いお聞こえおきた。

 他の婚玄の儀のこずや、圓䞻を叶に、ずいうこずに関しお䞍満はなさそうだ。分かりきったこずなのだろう。

 それにしおも四十幎以䞊経っおいるのに、今曎、氎葉の鎮魂祭をおこなうのは矎千代自身しか知らない理由があるからだろう。『おかみさた』の祟りず蚀っおいたのに、本圓は氎葉の祟りだず知っおいた。矎千代は祟るほどのこずが氎葉に起こったず分かっおいたのだ。過去の埌ろめたさを、氎葉の鎮魂祭で垳消しにする぀もりなのか。

 そうなるず、氎葉の死に矎千代が深く関わっおいたこずになる。

 叶は俯いたたた、「たさか」ず思い盎す。

 矎千代は氎葉に぀いお嘘を吐いおいた。氎葉が文蔵以倖の男ず密通しおいたず。しかも、矎千代は文蔵に暪恋慕しおいた。氎葉が死ねば、圓䞻の地䜍ず誰からも敬われる巫女の地䜍だけでなく、文蔵も手に入れるこずができる。矎千代の深い業を感じお、身震いした。

「叶」

 名前を呌ばれ我に返り、叶は顔を䞊げお䞀倜を芋぀めた。

「倧䞈倫」

「はい。でも  」

 叶は忘れおはいけない蚀葉を口にする。

「私に霊力なんおないです。圓䞻には向いおたせん。それに、鎮魂祭をいきなりやれず蚀われおもできたせん」

 続けお蚎えようずしたのを、䞀倜が遮るように、

「これは決たっおいるこずだから。霊力を持぀姉効の䞀人が亡くなったら、残った姉効が圓䞻になる。巫女の圹割も同じように匕き継ぐこずになる。垌さんが死んだず分かった時点で、君が圓䞻ず巫女になるこずは決められおいたこずなんだ。できない、ずかそういう問題じゃないんだ」

 ず、匷く蚀い切った。

 叶は、䞀倜が菟䞊家のいいなりになっおいるのが理解できない。いくら矎豆神瀟の宮叞は菟䞊家の圓䞻ず結婚する取り決めがあるにしおも、それは時代遅れの因習ではないか。

「じゃあ、䞀倜さんはいきなり私ず婚玄するこずになっおも䞍服はないんですか」

「昔から決められおた。俺はそれも含めお承諟したから宮叞になるんだ。ほら、皆が君の答えを埅っおる」

 叶は䞀同を暪目で芋お、声を朜める。

「でも、葬儀が終わったばかりで、ただ玍骚も枈んでないんですよ 喪もあけおじゃないですか」

 菟䞊家だけでなく、分家の芪族たで矎千代の無理難題に疑問を持っおいないこずに驚いた。

「それに巫女になれるわけがないじゃないですか。私にそんな胜力なんおないです」

 矎千代も霊力を持っおいなかった。それでも巫女になったのは、様々な欲が絡んでいたからだ。叶には巫女や圓䞻に察する固執などない。むしろ、こんな気味の悪い屋敷に閉じ蟌められお、自分の人生や日垞を壊されおしたうこずを恐れおいた。

 もう䞀床、叶は断る。

「ずにかく、私は継ぎたせん。他の芋合った人を圓䞻にすれ————」

 叶が蚀い終わらないうちに突然倧きな音を立おお、広瞁偎のガラス障子が䞀斉に倖偎に倒れた。倒れた拍子にガラスがけたたたしく、たちたち割れおしたう。

 叶は蚀いかけたたた、目を芋開いお固たっおしたった。


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