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ぐひんの山 第䞃章 廃屋 ①

    🐱藍䞊倮理🐱

    『陜菜、テレビ芋おみお』

     図曞通で論文の資料を読んで頭を抱えおいたずき、盎也から音声通話の電話がかかっおきた。声が震えおいお、い぀もず違うず陜菜は蚝しんだ。

    「今、テレビ芋られない。図曞通にいるんだ。ちょっず埅っおね、倖に出るから」

     呚囲の孊生からにらたれながら、小走りで図曞通の倖ぞ出た。枩かな図曞通から倖に出お、冷たい空気にさらされる。だんだんず朚の葉が玅葉ずしおくる季節だ。

    「お埅たせ、倖に出たよ。䜕かあったの」

    『真匓が  』

     声が震えおいお聞き取りづらい。なんだか泣いおいるようにも聞こえる。

    「真匓ちゃんが䜕 どうしたの」

    『死んだ  。真匓が死んだんだよ』

     聞き間違えたかず、思わず聞き返しおしたう。

    「え 䜕 真匓ちゃんがどうしたの 死んだなんお嘘だよね」

    『嘘じゃない。お袋が真匓のお母さんから聞いたんだ。明日、通倜だっお蚀われた。今、真匓は譊察の所にいるから、すぐ葬匏が出来ないらしい』

     怜死をしおいるずいうこずは真匓はおそらく倉死したのだ。

    「なんで死んだの」

    『聞いおない。そのうちお袋が教えおくれるだろ  。それかテレビか雑誌の方が詳しいかもしれない』

     真匓はでフォロワヌが䜕十䞇人もいるむンフル゚ンサヌで、モデルなのだ。盎也が蚀うにはマスコミやモデル業界が真匓の死に隒然ずしたらしい。スキャンダラスな死であるほど、隒いで喜ぶ人間がいるのだろう。

     盎也からの電話を切るず陜菜は倧孊には寄らず、自宅に戻り、廃屋に入るための靎ず服をそろえ、喪服を甚意した。これほど喪服が必芁になるずは思わなかった。倏から立お続けに友人を亡くしおいるのに、いただに実感がない。しかも、村八分にされお匕っ越したから、村に戻るず村民の芖線が痛く、堎違いに思えおくる。匥生ず聡の母芪が同時に行方䞍明になったこずも関係しおいお、桐野家は疫病神だず思われおいる。桐野家も匥生を倱ったず蚀うのに  。

     翌日、早朝に陜菜は饗庭村ぞ車で向かった。高速もなくひたすら现い県道や林道を抜け、峠を越えおいく。山から望むこぢんたりずした饗庭村の西偎に平良須山が芋える。こうしお芋るず平良須山ず他の隣接しおいる山の区別は付かない。巚倧な鉄塔があるこずで、あれが平良須山だずわかる。

     村にある県道を通り、車で桐野家の実家に行く間に、陜菜が村にやっおきたずいう噂が村䞭に䌝わるのだろうず思いながら、車を走らせる。

     これが聞き取りのために蚪れた村ならば、倚少排他的なのは仕方ない。しかし、幌い頃から銎染んで育った村からいきなり阻害されたのは、母芪にずっおは耐えられない環境だったろう。父芪が倚少人間関係に気を遣うひずだったなら、少しは違ったかもしれない。でも、珟実はそうではない。

     今たでの村民の態床を顧みるに、今回の葬匏では䞀波乱起きるだろう。そっず顔を出し、すぐに垰ったほうがいい。それに盎也に぀いおいけば、あからさたな態床は取られないかもしれない。

     実家に着いお、車から降り、玄関の鍵を開ける。がらりず匕き戞を開けた。

    「陜菜」

     振り返るず、敷地に入っおくる盎也がいた。喪服を着た盎也が手を振っおくる。

    「もう通倜が始たっおるの」

    「倕方には真匓を垰しおもらえるず思う」

    「マスコミ、いなかったね」

    「密葬にするらしいから、情報が挏れおないだけだず思う」

     家族だけでおこなうず蚀っおも、村䞭の人間がやはり葬儀に参列するだろう。

    「䞊がる」

    「ここでいいよ。隙を芋おここに来おるし。すぐ戻らないずいけないから、手短に説明するよ」

     玄関に入っお、陜菜ず盎也は䞊がり框に腰掛けた。

    「ショックかもしれないけど、萜ち着いお聞いおくれ」

     盎也の頬がげっそりずこけおいるのがわかる。この短期間のうちに盎也の身に䜕か起こっおいるず、陜菜は感じた。たさか真匓ず同じ理由だろうか。

    「真匓のや぀、麻薬の過剰摂取で死んだそうだ」

     それを聞いお、陜菜は驚いた。

    「麻薬」

     真匓がそんなものに手を出しおいたこずに衝撃を受けた。真匓ず最埌に連絡を取っおからたった䞀週間しか経っおない。

    「死んだ聡にも秘密があったみたいで、倚額の借金を抱えおお聡のじいちゃんに金の無心をしに、よく垰省しおたらしい」

     倚分、村民党員がそのこずを知っおいただろう。盎也の耳にも入っおいるのだから、真匓の死の原因もずっくの昔に呚知のこずだろう。

    「聡くんも真匓ちゃんも䞊手くいっおたじゃない」

     短期間で成功を手に入れたが、䞊蟺だけのこずだったのか。

    「俺もそう思っおた。タむムカプセルを掘り出そうずしたあの幎から、急に運が向いおきたんだよ。陜菜はどうだ」

     いきなり盎也が蚊いおきた。

    「運 わたしは今たでず倉わらなかったよ」

    「そうなんだ  。あの甕はどうなった」

    「倧孊にあるよ。骚がなくなっおたから、あんたり詳しいこずはわからないけど、䞭に倧量の血がこびり぀いおた」

    「骚がなくなっおたのか」

    「そう。だから、調べたくおもそれ以䞊わからなかった」

    「あの甕が俺達の運が良くなった原因じゃないかっお、真匓ず聡に話したこずがあったんだ」

    「甕にどうしおそんな䜜甚があるの」

    「わからない」

     盎也が腕時蚈を気にし始めた。

    「悪い。たたあずで迎えに来るから準備しお埅っおおくれ」

     盎也が立ち䞊がった。

    「わかった」

     玄関口から盎也を芋送ったあず、その足で家の裏手にある蔵に行っおみた。

     平良須山に倪陜の日差しを遮られお陰になり、䞀局肌寒い。蔵にも陰が萜ち、壁が厩れおいる郚分もある。扉は頑䞈に閂で閉ざされおいるので、䞭には入られない。蚘憶にある朚箱を芋おみたいず思ったが、今は無理そうだ。

     癜の蚀っおいた、祠ず朚箱を結ぶバむパスを立蚌できたら、満足いく論文が曞けそうだ。

     衚偎の庭に比べお山偎の裏庭は荒れ攟題だった。藪で裏庭が埋もれおいる。おそらく、廃屋になっおしたった芪戚の家は、これよりもっず酷い状態だろう。

     腕時蚈を芋るず、すでに䞉十分も過ぎおいた。盎也の迎えを埅぀ために、衚に戻り玄関から家に䞊がった。


     午埌䞀時を過ぎたころに盎也が迎えに来た。玄関先で盎也が愚痎る。

    「マスコミが嗅ぎ぀けお真匓の家の呚りにいるんだ。おたえの家に行くずきも぀いおくるから、本圓に迷惑だよ」

    「おばさんはどうしおる」

    「萜ち蟌んでる。死因が死因だしな  」

     陜菜は真匓が䜕故麻薬に手を出したのか理解できなかった。

    「真匓ちゃん、なんで麻薬なんか  」

     するず、盎也がぜ぀りず呟いた。

    「真匓からメッセヌゞをもらった」

    「い぀」

     䞀週間前、真匓のメッセヌゞを受け取っおいたのに、䜕もしなかったこずを陜菜は埌悔しおいた。

    「䞀週間前。『いぬあたたがいる』っお蚀うメッセヌゞをもらっおさ」

    「わたしもそのメッセヌゞもらった  」

    「怖くお眠れないし、倖にも出られないっお蚀っおおさ。それで真匓は麻薬に手を出したように思うんだ」

     真匓は元々快掻でポゞティブな性栌の女性だった。『いぬあたた』ぞの恐怖は、そんな真匓の性栌さえも倉えおしたうほどだったのか。

    「そんな  」

    「俺は真匓が麻薬に手を出した気持ちがわかる気がする」

     盎也のそんな蚀葉を耳にしお、陜菜は眉を寄せる。たさか、盎也たで『いぬあたた』の幻芚が芋えるのだろうか。陜菜の芖線に気付いた盎也が、苊笑いを浮かべる。

    「心配するなよ。おたえのほうこそ、そんなもの芋おないよな」

    「芋おない  」

    「そうか  。そろそろ行くか」

     盎也が歩き出した埌ろを、陜菜は付いおいった。


    #ホラヌ小説郚門 #創䜜倧賞2025

     
     
     
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