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リバヌサむド■■南には犁止事項が3぀ある 四〇䞉号宀 【癜石】

    🐱藍䞊倮理🐱

     ゎヌルデンりィヌク䞭の平日に、癜石は早朝から管理担圓しおいる物件の倖回りをしおいた。ようやく垰っおきお遅い昌食をずっおいるずスマヌトフォンが鳎った。衚瀺されたのは亜郜里の電話番号だった。

     今床は䜕だろうず思う。この間の角倧垫の護笊のこずだろうか。あれは効いたのかなず思いながら電話に出た。

    『癜石さんっ、堀さんの郚屋。堀さんの郚屋に忘れ物をしたんですけど、堀さん、いなくお  、䞭にその  、荷物を』

     ず急に蚀われお䜕のこずか分からず聞き返すず、少しは萜ち着いた声音で亜郜里が答える。

    『四〇䞉号宀の堀さんの郚屋に忘れ物をしたんです。でも、堀さんがいなくお、荷物がそのたたで  、荷物を取りに行きたいんですけど、癜石さん、郚屋のドア開けおもらうっお出来たすか』

     やはり意味が分からない。四〇䞉号宀は空宀で、間違っおいなければ『堀』は倱螪しおしたった前䜏人だ。でもそれを䜕故亜郜里が知っおいるのだろう。

     亜郜里には倚分癜石ず同じような厄介な胜力があるのだず思っおいる。そのせいで圌女はい぀も怪異に振り回されおいる。

     䜕床四〇䞉号宀が空宀だず蚀い聞かせおも、亜郜里は信じおくれない。これでは埒があかないので、珟堎に行っお勘違いであるこず、亜郜里が芋たり聞いたり䜓隓したこずは倢のような幻だず、たずえ堀の幜霊がいたずしおも、しっかり珟実を知っおもらわないずいけない。

     ただ、䞭に入った、泊たったず蚀い続けおいるのは䞍思議だった。マスタヌキヌず郚屋の鍵は管理䌚瀟が保管しおいる。だから誰も䞭に入られない。もしかしお亜郜里を招き入れた第䞉者がいるのだろうか。そうだずしたら無芖できない。管理担圓者ずしおきちんず確認しおおかないずいけないず思った。

    「今からそちらに䌺いたす。䞍法䟵入されおいないか確かめたすので、そのたたお埅ちください」

     そう蚀っお、急いでマスタヌキヌを持っお『リバヌサむド■■南』ぞ向かった。


     四階の廊䞋の奥に立぀亜郜里を芋぀けた。

    「なかざ  」

     名前を呌がうず思ったが、すぐに癜石は口を぀ぐんだ。

     亜郜里の暪に誰か立っおいる。赀い色がゆらゆらず陜炎のように揺らめいおいお、よく芋るずそれが服の色だず分かった。服はワンピヌスになったり、サマヌセヌタヌやニットになったりしお定かではない。顔や手足はモノクロで、これも揺らめいお煙のようだ。肩たでの髪に柔和な顔぀きなのは、なんずなく芋お取れた。手には容噚を持っおいお、䜕床も亜郜里の顔を窺っおいる。悪意がある雰囲気でもなく、どちらかずいうず寂しげな様子だ。

     がんやりずした顔立ちにはどこずなく芋芚えがあっお、確かに亜郜里がしきりに口にする『堀』に䌌おいる。しかし、『堀』は半幎前に倱螪したはずだ。圌女がなぜ幜霊ずなっお亜郜里の偎にいるのか。倱螪したず思われおいる『堀』は実はどこかで死んだのだろうか。

     癜石は目の前で陜炎のように揺らめく『堀』を暪目に芋ながら、亜郜里の前に立っお少し䌚釈をした。

    「おはようございたす」

    「おはようございたす  」

     亜郜里は酷く䞍安そうだ。

    「四〇䞉号宀に入られたっお本圓ですか」

     癜石が持っおいるこれは特殊な鍵で結構高䟡なものだ。簡単には䜜られない。だから、亜郜里が懞呜に䞭に入ったず蚀うのは、癜石には到底信じられないこずだった。

     もう䞀床亜郜里に念を抌す。

    「『堀』さんずおっしゃっおたしたか 本圓に」

    「はい、堀さんです。ここに越しおきた日から芪切にしお䞋さっおたした」

     そうなるず、目の前にいる『堀』が䜕らかの圢で亜郜里に働きかけたず蚀うこずか。亜郜里は『堀』が生きおいるず信じおいるから、いくら倱螪したず䌝えおも信じないのだ。できるだけ諭すように蚀い聞かせる。

    「『堀』さんは確かにこの郚屋を借りられおたしたけど、もう半幎前の話ですよ。それ以降、この郚屋は空宀のたたです」

     亜郜里の衚情が䞍安から䜕か懞念するような衚情に倉わる。

    「堀さんに䜕かあったんですか」

     こんな蚀い方をしたら亜郜里が傷぀くかもしれないず思い぀぀も、癜石は淡々ず告げた。

    「『堀』さんは倱螪されおただ芋぀かっおないんです」

    「え」

     驚いたのか、目を䞞くしお亜郜里が癜石を芋぀めた。

     ずにかく䞍法䟵入した圢跡などを確認しないずいけないず思っお、「本圓に四〇䞉号宀は空宀なんです」ず蚀いながら鍵を開ける。

     ガチャリずドアの鍵が開いた。

     錻先にハりスクリヌニングした宀内の匂いず、埮かなホコリの臭いが抌し出されおきた。

     短い廊䞋を抜けるずロフトのある宀内が目に入る。その郚屋の真ん䞭に灰色のスヌツケヌスずバッグがぜ぀んず眮かれおあった。

    「䞭里さん」

     癜石は玄関に突っ立っおいる亜郜里を呌んだ。

     慌おお亜郜里が郚屋に入っおきお、癜石の前にある荷物を指した。

    「ほら、わたしの荷物  」

     宀内に荷物があるず蚀うこずは、『堀』に郚屋の䞭に入れおもらったずいう亜郜里の蚀葉に嘘はないのだ。けれど、本圓に可胜なのだろうか。ただ、目の前に䜇む陜炎を垯びた『堀』の存圚を認めたくないず癜石は考えた。

    「どうしたんですか」

     亜郜里が䞍安そうな衚情で癜石の顔を窺った。

    「『堀』さんず話したのは本圓ですか」

    「ほ、本圓です」

    「どんな方ですか。特城は 本圓にここに入居されおからずっずお付き合いがあったんですか」

     するず、しどろもどろに亜郜里が説明し始めたが、䜕か蚀いかけお、あっず気付いたような顔になった。

    「あ、赀い服。赀い服を着おたした」

     それきり考え蟌むように黙り蟌んだ。癜石はその様子を芋お、亜郜里がここにいる『堀』を実際に存圚しおいるず思い蟌んだのだず結論づけた。そしお、念を抌すように亜郜里に蚀った。

    「赀い服以倖はご存じないようですね  。でも、これは本圓に嘘ではないんです。『堀』さんは倱螪されおしたっお以降、この郚屋は空宀なんです」

     それでも、亜郜里は䜕床もブツブツずビヌフストロガノフずかなんずか蚀い募っおいる。おそらく、『堀』が手に持っおいる容噚の䞭身のこずだろう。

     きっず、ここに存圚しないものを食べさせられお、亜郜里はこんなにや぀れおしたったのだろう。亜郜里自身はきっず本圓に矎味しいず思っお霞を食べおいたに違いない。

    「信じたすよ。堀さんは䞭里さんの前に珟れたんでしょうね。その蚌拠に、四〇䞉号宀の郚屋に䞭里さんの荷物がありたしたから」

    「はいっ、はい」

     亜郜里が笑顔で䜕床も「そうです、良かった」ず繰り返しおいる。きっず、癜石に信じおもらえたず安心したのだろう。

     䞍意に䜕故亜郜里がこんな倧荷物を持っおいるのか疑問に思う。この郚屋ぞ『堀』に招き入れられお、ずっず䜏むこずにしたわけではなさそうだ。癜石は䜕気なく蚊ねた。

    「でも、䜕故ここに荷物があるんですか 垰省されるんですか」

     噛みしめるように信じおもらえたこずを喜んでいたが、垰省ずいう蚀葉に反応しお、衚情を匷ばらせた。俯き加枛に絞り出すような声で話す。

    「䞉〇䞉号宀に垰りたくないんです  。あそこが怖いんです。せっかくもらったお札も駄目になっちゃっお  。あの郚屋怖いんです。他の郚屋を玹介しおください」

     亜郜里が懇願するような目で癜石を芋た。

    「本圓に今すぐにでもあの郚屋から出たいんです。瀟宅じゃないずダメなら他の郚屋をお願いしたいんです、䞉〇䞉号宀以倖だったらどこでも良いので」

     残念だが、亜郜里の芁望には応えられそうになく、正盎に癜石は珟状を告げる。圌女が䞉〇䞉号宀に戻りたくない理由は、䜕床も電話しおきたこずに関係しおいる。圌女は知らないかもしれない倧きな穎。あの穎が郚屋の居心地を悪くしお、思いがけない珟象を匕き起こしおいるかもしれない。『堀』が芋えたなら、亜郜里も穎に気付いお、ずんでもない目に遭っおいるのではないか。そしお、亜郜里が癜石に蚎えたこずで、角倧垫の護笊の効き目がなかったこずを悟った。

    「瀟宅の郚屋を倉えられたいそうですが、今入居可胜な空宀は、二〇䞉号宀のみです。しばらく䞉〇䞉号宀で我慢しおいただけたすか」

    「無理です」

     亜郜里が即答した。声が震えおいる。今にも泣きそうな顔で癜石を芋おいる。

    「あの、お金がないからできるだけ安い郚屋を玹介しおもらえたすか ダメならお金なら借りおでも䜜りたす。お願いしたす」

     䜕床も癜石に頭を䞋げおくるので、癜石もこんな状況でさすがに䞉〇䞉号宀に䜏み続けろずは蚀いにくくなった。ここより安い物件など事故物件しかない。仮に他の郚屋に䜏めおも同じ事が起こる可胜性が高い。しかし、それも可胜性でしかないから、ここよりたしかもしれない。どちらずも蚀いがたかった。

    「それじゃあ、どこか安い物件があるか探しおみたす。それたで䞉〇䞉号宀でお埅ちいただけたすか」

    「無理です。戻るくらいなら近くの公園で埅ちたす」

     どうしおも䞉〇䞉号宀に戻りたくないずいう亜郜里の硬い意思を感じお、癜石は苊肉の策を申し出た。

    「じゃあ、■■公園で埅っおおください」

     癜石は亜郜里ず䞀緒に郚屋を出お、すぐに曞類をたずめるためにマンションを出お䌚瀟に戻った。


     亜郜里の芁望に応えるために物件を探すのは良いずしお、やはりたずもな物件はない。

     事故物件が倚いか、女性の䞀人暮らしには合わないアパヌトしかない。亜郜里にそんな物件を遞ばせられない。必ず今より面倒な目に遭う可胜性が高い。

     仕方ないのかず癜石は力なく笑った。

     倱螪したず思っおいた『堀』のこずが思い浮かぶ。圌女はずっずああしおマンションの自分の郚屋だった四〇䞉号宀に䜏み続けおいたのだろうか。もし、他の倱螪者も同じなら、どこかに『堀』ず同じく隠れおいるのだろう。たたたた『堀』は思いが匷くお亜郜里に接觊できたのかもしれない。

     この䞖ず重なっおはいるが、この䞖ではないどこかがあのマンションには存圚しおいお、『堀』はそこにいる。死んでもいない、生きおもいない。倱螪したのが実はこの䞖でもあの䞖でもない堎所に入り蟌んだからだずしたら、亜登里はこの䞖のどこでもない䞖界ず接觊しおしたったこずになる。

     このたたここにいたら、亜郜里は䞀䜓どうなっおしたうのだろう  。それを考えお、癜石は背筋が寒くなった。

    #ホラヌ小説郚門 #創䜜倧賞2025

     
     
     
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