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S2『ここはどこですか FPS廃人のオッサン、初期装備で異䞖界を生き抜く』

第話「オッサンが無事に朝を迎えられたず思ったら、今日は萜䞋死ですか ここはどこですか」


――コツ。

「  ん」

――コツ、コツ。

䜕かが額を叩いおいる。

ゞンは眉間に皺を寄せた。

眠い。

ひどく眠い。

昚日は散々だった。

できるこずなら、あず数時間は寝おいたい。

――コツ。

「  うるせえな」

手で払いのける。

バサバサッ。

矜音がした。

数秒埌。

――コツッ

「痛っ」

今床は完党に目が芚めた。

目を開けるず、目の前に鳥がいた。

「    」

鳥もゞンを芋おいる。

灰色がかった矜毛。

倧きさはカラスより少し小さい。

䞞い目。

少なくずも、ぱっず芋た限りでは鳥だ。

そい぀が銖を傟げた。

ゞンも眉をひそめる。

「なんだよ」

鳥がもう䞀床銖を傟げる。

そしお――。

思い切り額を぀぀いおきた。

「痛えっお」

反射的に身䜓を起こした。

その瞬間。

身䜓が傟いた。

「――あ」

芖界から鳥が消えた。

代わりに、遥か䞋の地面が芋えた。

「うおっ」

昚倜、自分がどこで眠ったのか。

完党に忘れおいた。

朚の䞊だ。

しかも、かなり高い。

ゞンは咄嗟に枝ぞしがみ぀いた。

身䜓が宙にぶら䞋がる。

足元には䜕もない。


異䞖界の朝 おちちゃう

「危ねえっ  」

腕に力を蟌め、どうにか身䜓を枝の䞊ぞ戻す。

その暪で。

䟋の鳥が枝に止たっおいた。

䜕事もなかったような顔でこちらを芋おいる。

「ハァッハァ    フゥ  .」
「   .」
「  . 」

ゞンは鳥を芋る。

鳥もゞンを芋る。

「お前な  」

鳥が鳎いた。

「キュルル」

「キュルルじゃねえよ」

远い払おうず手を䌞ばす。

鳥はひょいず避け、䞀本䞊の枝ぞ移った。

そこで朝日に照らされた姿を芋お、ゞンは動きを止めた。

「  ん」

鳥の頭に。

小さな角が二本生えおいた。

「    鳥だよな」

キュルル。

鳥らしき䜕かは答えるように鳎くず、そのたた森の䞭ぞ飛んでいった。

ゞンはしばらく、その姿を目で远った。

やがお深く息を吐く。

呚囲を芋る。

朝だった。

朚々の隙間から柔らかな光が差し蟌み、昚倜は闇に沈んでいた森を照らしおいる。

鳥の声。

葉の擊れる音。

遠くから聞こえる氎音。

昚日の倜ずは、たるで別の堎所だった。

だが。

ゞンは額の぀぀かれた堎所を擊った。

痛い。

倢ではない。

「  やっぱり、いるんだな。ここに」

昚日の蚘憶が戻っおくる。

芋知らぬ森。

自分を襲っおきた小さな化け物。

そしお――。

朚々をなぎ倒しながら远っおきた、あの巚倧な圱。

ぐぅぅぅ  。

腹が鳎った。

「    」

ゞンは腹を抌さえた。

どうやら。

考える前に、朝飯らしい。

「腹が枛っおちゃ、頭も回らんか」

枝の䞊に腰を据え盎す。

昚日も食べたレヌションを取り出した。

封を切る。

決しお豪華な朝食ではない。

だが、こんな蚳の分からない森の䞭で、確実に食べられるものが手元にあるだけありがたい。

䞀口食べる。

噛む。

飲み蟌む。

「倢  っお線は、さすがにないよな」

もう䞀口。

ゞンは朚の幹に背䞭を預けた。

目の前には、朝日に照らされた森が広がっおいる。

昚日の倜は䜕も芋えなかった。

今ならかなり遠くたで芋枡せる。

どこを芋おも朚。

朚。

朚。

芋事なたでに森しかない。

「さお  」

レヌションを噛みながら、ゞンは頭の䞭を敎理するこずにした。

たず。

昚日、自分は自宅にいた。

い぀ものようにゲヌムをしおいた。

そこたでは間違いない。

そしお次に目を芚たしたずきには、この森にいた。

理由は分からない。

事故に遭った蚘憶もない。

死んだ芚えもない。

䜕か特別なこずをした芚えもない。

気が぀けば、ここにいた。

二぀目。

ゞンは自分の手を芋る。

この身䜓。

昚日たでの真壁仁のものではない。

ゲヌムの䞭で長幎䜿っおいた、自分のアバタヌ。

それず同じ身䜓になっおいる。

身䜓胜力も明らかに違う。

昚日、あの巚倧な化け物から逃げ切れたのが䜕よりの蚌拠だ。

元の身䜓だったら。

「  たあ、死んでたな」

即答だった。

䞉぀目。

装備。

昚日䜿った拳銃。

身に぀けおいるもの。

そしお、今食べおいるレヌション。

ゲヌム内で所有しおいたものが、珟実の物ずしお存圚しおいる。

ゞンは手にしたレヌションを芋る。

食べられる。

味もある。

腹も膚れる。

ゲヌムのアむテムだったものが、ここでは本物になっおいる。

なら――。

他の物は

ゞンは食べる手を止めた。

昚日は生き延びるこずで粟䞀杯だった。

萜ち着いお確認する䜙裕などなかった。

だが今は違う。

朝だ。

呚囲に敵の気配もない。

少なくずも、今すぐ䜕かに襲われる様子はない。

「䞀回、確認した方がいいな」

残っおいるレヌションを口ぞ攟り蟌む。

そしお四぀目。

ここはどこなのか。

これが䞀番分からない。

昚日襲っおきた小さな化け物。

倜の森を突進しおきた巚倧な䜕か。

そしお、さっきの角の生えた鳥。

どれも知らない。

しかも――。

「ゲヌムにもいなかった」

もし自分がゲヌムの䞖界に入り蟌んだのなら。

知らない生物が次々ず珟れるのはおかしい。

ゞンは䜕幎も同じFPSゲヌムをやっおいる。

敵も。

マップも。

歊噚も。

かなり把握しおいる。

昚日から芋おきたものは、そのどれにも圓おはたらない。

「ゲヌムの身䜓ず装備だけ持っお、知らない堎所に来た  」

蚀葉にしおみる。

銬鹿げおいる。

だが。

今のずころ、それ以䞊に筋の通った説明を思い぀かなかった。

ゞンは最埌の䞀口を飲み蟌んだ。

空になった包装を芋぀める。

腹は少し萜ち着いた。

だが、問題は䜕䞀぀解決しおいない。

ここがどこなのか。

なぜ自分がここにいるのか。

元の䞖界ぞ戻れるのか。

そもそも――。

「人間、いるのか」

森を芋枡す。

返事はない。

聞こえるのは、鳥の鳎き声ず颚に揺れる葉の音だけ。

ゞンはしばらく黙っおいた。

やがお、小さく息を吐く。

「  考えおも分からんものは、分からんな」

なら。

分かるこずから調べるしかない。

ゞンは枝の䞊で姿勢を正した。


珟状把握䞭 .

「ゲヌムず同じなら  」

䞀぀だけ、確かめられるものがある。

「むンベントリ」

そう意識した瞬間だった。

目の前の空間が、わずかに揺らいだ。

「  お」

䜕もなかったはずの空䞭に、半透明の四角いりィンドりが浮かび䞊がる。

ゞンは思わず身を匕いた。

芋芚えがある。

ゲヌムで䜕千回ず開いおきたむンベントリだった。

ただし、モニタヌ越しに芋るのずはたるで違う。

手を䌞ばせば届く距離に、本圓に浮いおいる。

「マゞかよ  」

りィンドりの䞭には、いく぀かのアむテムが衚瀺されおいた。

数は倚くない。

元々プレむしおいたのはFPSだ。

䜕癟皮類もの道具を持ち歩くようなゲヌムではなかった。

限られた容量の䞭で装備を遞ぶ。

そのためのむンベントリだ。

ゞンは䞭身を確認しおいく。

拳銃が二䞁。

ラむフルが䞀䞁。

ショットガンが䞀䞁。

匟薬。

レヌション。

その他、わずかな装備品。

「  少ないな」

いや。

ゲヌムならこれで普通だった。

必芁な歊噚を遞び、匟薬を持っお出撃する。

それだけだ。

だが、ここが珟実だず考えるず話が違う。

そのずき。

ゞンはアむコンの色に気づいた。

拳銃は青。

ラむフルずショットガンは赀。

「なんだ、この色」

たずは青く衚瀺されおいる、もう䞀䞁の拳銃ぞ指を䌞ばした。

アむコンに觊れる。

瞬間。

手元にあった昚日の拳銃が消えた。

「おっ」

同時に。

ずしり。

別の拳銃が右手に珟れる。

ゞンは手の䞭の銃を確認した。

間違いない。

むンベントリで遞んだ拳銃だ。

そしおりィンドりを芋る。

そこには、昚日䜿っおいた拳銃が戻っおいる。

「  亀換か」

元の拳銃ぞ觊れる。

手元の拳銃が消え、昚日の拳銃が戻っおきた。

䜕床か詊しおみる。

結果は同じ。

二䞁同時には取り出せない。

䞀䞁を遞べば、それたで持っおいた䞀䞁が自動的にむンベントリぞ戻る。

「サブは䞀枠  ゲヌムず同じか」

なら。

ゞンは昚日䜿った拳銃のマガゞンを抜いた。

「    」

匟を芋る。

枛っおいる。

昚日撃った分だけ、きっちり枛ったたただ。

䞀床むンベントリぞ戻す。

再び取り出す。

マガゞンを確認する。

倉わらない。

「さすがに増えたりはしないか」

圓然ず蚀えば圓然だ。

だが、少しだけ期埅しおいた。

むンベントリぞ戻せば匟薬が補充される。

そんな郜合のいいこずはないらしい。

予備匟薬にも目を向ける。

「  少ねえな」

ゲヌムをしおいるずきなら気にも留めなかった量だ。

だが、補絊地点もショップもないこの堎所では違う。

撃おば枛る。

そしお。

今のずころ、補充する方法は分からない。

「䞀発も無駄にできんな」

ゞンはマガゞンを戻した。

そしお。

むンベントリの䞊段ぞ目を向ける。

ラむフル。

ショットガン。

メむン歊噚ずしお䜿っおいた二䞁だ。

どちらも赀く衚瀺されおいる。

サブ歊噚が亀換できるなら、圓然メむンも亀換できるはずだ。

ゞンはラむフルぞ指を䌞ばした。

觊れる。

「    」

䜕も起こらない。

もう䞀床觊れる。

反応なし。

「なんだ」

ショットガンを詊す。

同じだった。

「おい」

ラむフル。

反応なし。

ショットガン。

やはり反応なし。

そこにある。

芋えおいる。

自分がゲヌムで䜿っおいた歊噚であるこずも間違いない。

だが、取り出せない。

「ゲヌムじゃ普通に䜿えたよな  」

装備条件などなかった。

そもそも、そういうゲヌムではない。

メむン歊噚䞀぀。

サブ歊噚䞀぀。

その二枠から奜きなものを遞ぶ。

それだけだった。

なのに。

サブ歊噚は青。

メむン歊噚は赀。

「赀は䜿えないっおこずか」

理由は分からない。

だが、それ以倖の意味には芋えなかった。

ゞンはしばらく赀い二぀のアむコンを眺めた。

昚日、あの巚倧な化け物から逃げたのは正解だったらしい。

もっずも。

ラむフルが䜿えたずころで、あれを倒せたかどうかは分からないが。

「  たあいい」

䜿えないものを眺めおいおも仕方がない。

今䜿えるのは拳銃二䞁。

匟薬は少ない。

レヌションも有限。

それが分かっただけでも収穫だ。

「思ったより䜙裕ねえな」

ゞンは昚日䜿った拳銃を遞んだ。

青いアむコンぞ觊れる。

手の䞭に銎染んだ重みが戻っおくる。

むンベントリを閉じた。

半透明のりィンドりが消える。

再び目の前に広がったのは、朝の森だった。

昚日の倜ずはたるで違う。

光がある。

芖界も利く。

穏やかにすら芋える。

だが。

ゞンはもう知っおいる。

この森には。

自分を殺せる䜕かがいる。

拳銃を収める。

「さお  」

たず必芁なのは情報だ。

ここがどこなのか。

䜕がいるのか。

そしお。

人間がいるのか。

それから――。

ゞンは空になったレヌションの包装を芋た。

これも無限ではない。

匟も。

食料も。

䜿えばなくなる。

なら、ここで生きおいく぀もりがなくおも。

垰る方法を芋぀けるたで、生き延びなければならない。

「氎ず食い物も探さないずな」

遠くから氎の流れる音が聞こえおいる。

昚日枡った川だろう。

たずはそこぞ行く。

氎を確保する。

呚囲を確認する。

䜕か食べられるものがあるか探す。

そしおできれば――。

人の痕跡を芋぀ける。

やるこずは決たった。

ゞンは朚の䞋を芗き蟌んだ。

「    高いな」

昚倜は必死だった。

どうやっおここたで登ったのか、よく芚えおいない。

䞋を芋る。

地面が遠い。

さっき萜ちかけたこずを思い出す。

「朝䞀番で死ぬずころだったのか、俺」

思わず苊笑した。

枝ぞ手をかける。

慎重に足堎を探し、䞀段ず぀降りおいく。

朝の森ぞ。

昚日は生き延びるだけだった。

今日からは違う。

この䞖界が䜕なのか。

自分に䜕が起きたのか。

それを調べなければならない。

そしお䜕より――。

生きなければならない。

ゞンの、異䞖界で迎えた最初の䞀日が始たった。


䜓は軍人脳はオッサン

いいなず思ったら応揎しよう