
松村林処女狂句集『盆栽』
五月六日、語呂の日。
蛙始鳴の時候に、花霞めて詩湧く。
◇ ◇ ◇
【牡丹】
我乏し游べぬ黄金無き勤め
瘦せ枯れる負けるな意地は孤高に在り
冬の世の冬の世の辛さ厭だわ
【萩】
金消へて早底を突く夕餉かな
懐かしや束の間の富が無下の泡
古家や構わず冷え込む見栄の底
汁、今朝は胃に沁み入る葱の添え
【紅葉】
春 know me 日に増す野垂れ野垂れかな
晴れを呉れ癒やしに蕩めき庇護は皆無
労ぎ乞ふて稼ぎの無さよ陰湿り
喰へぬ復か慾しの馨し買えぬかな
やや喰へても惨め荒れ負ふ這ひけり
◇ ◇ ◇
書名:松村林処女狂句集『盆栽』
著者:松村林(まつむら・りん)
発行:令和八年五月六日
初出:X『宵居に詠う泡沫』掲載句および未発表句併録
主題:きみとぼくのわずかな木
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