
美しくないと思うんだ
太陽が沈んですぐの、青とかピンクとか紫とかのぼんやりした空の色とか、体に響く音と共に夜空に咲いて、咲いた瞬間散っていく大きな花とか、春にだけ爆発するみたいにピンク色を撒き散らす桜とか、ああいうのを人は、儚く失われるからこそ美しいのだと言うけれど、だったら地面にずーっと眠っていたダイヤモンドは美しくないし、何億年も輝き続けている星々は世界一醜くなきゃいけないじゃないか、なんて思いながら、私は「美しい」命を心臓にぶら下げて、だらだら歩いているけれど、街行く人を美しいなんてとても思えないし、明るすぎるビルたちのせいで夏の大三角形が見つけられないのが残念だと思っていて、帰り道にオリオン座を見上げながら歩いていたせいで木にぶつかって、顔から血が出た、あの日がいつだったのか思い出せないけれど、瞬いている星はこれ以上ないほど美しくて、だからね、だから私は、命なんてものはね、