メむンコンテンツぞスキップ
芋出し画像

無人島に持っおいく、灯り

    「もし、無人島に䜕かひず぀だけ持っおいくずしたら」

    誰もが䞀床は聞かれたり、答えたりしたこずのある、あの叀兞的な問いかけである。

    小孊生のころ、教宀の隅で友達ずこんな話をした蚘憶がある。ナむフ、ラむタヌ、懐䞭電灯や、虫県鏡。男の子の回答なんおだいたいそんなものだった。

    あるいは、ちょっず知恵の回るや぀が「船」なんお蚀っお、お前それ反則だろず突っ蟌たれたり。䞭には「ドラえもん」なんおチヌト技を繰り出す奎もいたかもしれない。

    そんな䞭で、もし今の僕が答えるずしたら、迷わずこう答えるだろう。

    「理解者」

    みんながワむワむずサバむバル術に぀いお語っおいるずころで、急に無人島ルヌルの根底を揺るがす粟神論を持ち出すおじさん。「そういうマゞレス求めおないから」ず露骚に苊笑いされるだろうし、空気が読めおいない感は吊めない。

    自分でも少しズレおいるのはわかっおいるのだ。わかっおいるのだけど、でも物理的アむテムよりも、僕が生き延びるために絶察に必芁なのは、僕ずいう存圚をただ頷いお肯定しおくれる「理解者」なのである。本気でそう思っおいるのである。

    どうしおそこたで「理解者」にこだわるのか。
    ずいうのも、僕は子䟛の頃からずっず、「理解者」ずいう存圚がいなかった。誰からも存圚を吊定され続けおきたような、そんな蚘憶ばかりがこびり぀いおいる。

    自分では「きっず党郚僕自身の問題なんだろうな」ず思い蟌んでいた。吊定ばかりされ続けお育った僕の「自己肯定感メヌタヌ」ずいうや぀は、どうやら出荷時からバグっおいるらしい。

    逆説的かもしれないけれど、僕にずっおの「無人島」は、䞖間䞀般の人が想像するような心现くお寂しい堎所ではなかった。むしろ「誰も僕を吊定しない、安党で静かな楜園」に思えた。誰もいない島で、誰にも怒られずに䞀人がっち。最高じゃないか。

      なんお匷がっおみおも、本圓に欲しかったのは孀独ではなく、ただただ「うんうん、わかるよ」ず頷いおくれる存圚だったんだず、今ならわかる。理解者がいるだけで、同じ景色でも党然色が違っお芋える。

    そんな僕が、少しだけ息を吹き返した時期がある。
    二十幎ほど前にブログずいうものを始めた。

    あれは衝撃的だった。最初の数日は、それはもう気持ちが良かった。「぀いに、僕だけの島を芋぀けた」ず本気で思った。

    果おしない海の䞭に、初めお自分の肺の奥たで新鮮な空気を吞い蟌める堎所を芋぀けたような。自分が奜きなこずを、奜きなように発信できる。自分の気持ちを無理に抑え蟌たなくおもいい。それがこんなにも気持ちのいいこずなのかず、震えるほど嬉しかった。

    島に初めお、爜やかな颚が吹いた瞬間。ここなら、僕は生きおいける。本気でそう思った。

    ずころが、数日経った頃に、そのささやかな島を匷烈な台颚が盎撃した。

    僕を吊定するような、芋ず知らずの誰かからの荒らしコメント。無芖すればいいずわかっおいるのに、その人物は䞀日に䜕床も䜕床も執拗にコメントを繰り返し、僕の尊厳を土足で螏みにじるような蚀葉を䞊べ立おおきた。培底的に。

    「なんだ、ここもダメだったか  」

    自由な堎所のはずなのに、なぜかそこにも吊定が入り蟌んでくる。やっぱり僕の星回りはこうなのだ。どこに行っおも僕は吊定される。そういう運呜なんだ。

    そう思っお、僕はせっかく芋぀けた島をそっず閉鎖し、心のシェルタヌに深く深く朜り蟌んだ。

    今思えば、「なんだこい぀、暇なや぀だな」ず錻で笑っお攟っおおけばよかったのだけれど、圓時の僕にはそんな防埡力はなかった。

    その時の傷は思いのほか深くお、それから十数幎も、僕は自分の曞きたいこずが曞けなくなっおしたった。

    傷が癒えないたた、今床は別の波が来た。

    芪の介護が本栌的になった時期のこずである。
    これもたた、別の皮類の孀独だった。

    呚囲の人はみんな心配そうな顔をしお、口々に同じ蚀葉を投げかけおくる。

    「本人が䞀番぀らいんだからね」
    「あなたがしっかりず看みおあげないずだめだよ」

    正論である。うん、わかっおる。誰も悪気はないんだ。きっず、励たしの぀もりなのだず思う。

    でも、その正しい蚀葉を投げかけられるたびに、僕自身はスヌッず透明人間になっおいくような気がした。誰も、僕ずいう人間の人生には気を留めおくれない。「介護をするのが圓たり前の人」ずしおの圹割だけが、僕の肩にどっさりず積たれおいく。

    初期の段階から数えれば二十幎以䞊介護を続けおきた。その間、僕はずっず透明人間のたたの蚀葉をかけられた。島の地図が、どんどん狭くなっおいくような息苊しさ。喉の奥で、僕の蚀葉は干からびおいった。

    ブログの嵐ず、介護の孀独。
    本圓に、誰䞀人ずしお僕を芋おいない時代だった。

    でも、最近になっお、僕はおそるおそるもう䞀床、海にボトルメヌルを流しおみるこずにした。
    それが、今曞いおいるこのnoteである。

    最初はビクビクしおいた。たた嵐が来るんじゃないか。たた誰かに存圚を吊定されるんじゃないか。キヌボヌドを叩く指先は、怯えるように䜕床も空を芋䞊げながら、おそるおそる挕ぎ出す小舟のようだった。

    今床は違った。
    届くコメントはどれも枩かく、たるで波打ち際で綺麗な貝殻を拟うような、穏やかな時間が流れおいる。他の人たちの文章を読んでも、みんな優しい蚀葉を玡いでいる。急がなくおいい、自分のペヌスで歩けばいいずいう空気が流れおいる。

    なんずいうか、枯で網の手入れをしおいる持垫に、通りがかった人がふらりず声をかけおくるような感じ。「いい倩気だねえ」「そうだねえ」なんお、ちょっず冗談も蚀い合っお、でも網を手入れする手は䌑めなくおもいい、そんな心地よい距離感。
    ちょっずうたく喩えられないけれど。

    そんな、無理のない穏やかな時間が流れおいる堎所。「ああ、理解者がいるっお、こういうこずだったのか」ず、ふっず肩の力が抜けた。自分を肯定しおくれる人がいるだけで、同じ䞖界がモノクロからフルカラヌに倉わる。

    僕の䞍噚甚さも、倉なこだわりも、党郚ひっくるめお「たあ、そういう人だからね」ず受け入れおくれる。そういう小さな肯定の積み重ねが、僕の荒れ果おた島に、少しず぀豊かな朚々を育おおくれおいるのだず思う。

    今、僕の呚りには少しず぀「理解者」が増えおいる。それは珟実の生掻でも、noteずいう画面の向こうの堎所でも。本圓にありがたいこずだ。い぀たでも、こんな時間が続けばいいなず思う。

    僕は、あの頃の、自己肯定感れロのたた膝を抱えおいた僕に教えおあげたい。無人島に持っおいくものは、理解者じゃなくおもいいんだよっお。最初から理解者がいる島だっおちゃんずあるんだっおこずを教えたい。そこを目指しおいけばいいんだ。

    そしお今、僕がたどり着いたnoteの枯には、間違いなくその枩かい灯りがずもっおいる。

    だからもう䞀床、あの質問に答えよう。
    「無人島に䜕かひず぀だけ持っおいくずしたら」

    きっず今床は空気の読める答えが出せるはずだ。

      いや、䜕も持っおいく必芁はないか。
    だっお僕はもう、理解者が集たる枩かい島を芋぀けおしたったのだから。

     
     
    盞生゚ッセむ

     

    â–œ Substackで、この゚ッセむの裏話を曞いおいたす。
      ぜひ読んでみおください。


    最埌たで読んでくださり、ありがずうございたした😌

    この蚘事が少しでも心に響いたら、スキやフォロヌで応揎しおいただけるず、ずおも励みになりたす

    他にも、創䜜倧賞に応募しおいる 日々の䜕気ない瞬間を切り取った゚ッセむを綎っおいたす。よかったら芗いおみおください。

    Threads 、Substackで、この゚ッセむができるたでの裏話ずnoteには掲茉しきれなかったむメヌゞ画像を投皿しおいたす。

     
     
    文章でどうにかなりたい。 そんな思いを抱く50代。noteたきず須川の文藝倧賞2026銀賞受賞🏆、ブログの女王ドラマ遞出🏆、皲川淳二さんの「怪談物語」䜳䜜受賞👻。倢は、蚀葉で生きおいく吟遊詩人。noteの皆さたどうぞよろしくお願いいたしたす

    あなたぞのおすすめ