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10秒の楽園

    口の中に、世界の煮汁が入り込んでくる。綺麗なものでもなければ、美味しくもない。ただ、辛い。
    それを避けようと口を閉じる。ああ、遅かった。無理にでも入ってくる。苦しい。

    それは口の中だけじゃない。体は平衡感覚を失いながら、煮汁の中で前転を続けている。
    その状況から逃げようと藻掻くたびに、煮汁の触手が絡みついて離さない。そうだ、頭を押さえなければ。さっきまで自分の一部だったはずのものが、いま襲いかかってくる。目が見えないから、どこから来るのかも分からない。

    一瞬、世界の善意が顔を出す。安心して、口を開けてしまう。
    だがまた、凶暴で無慈悲な大波が、私を暗闇へ落とし込む。この繰り返し。助けを求めている。それでも、自然の法則には逆らえない。

    だから、身を任せるしかない。いつか終わる。

    それでも海に浮かぶカラスたちは、次の波を待っている。

    #創作大賞2026 #エッセイ部門

     
     
    社会人になったが、迷走しまくってどうしようもないので 一旦日記を公開しようと思う。

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