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その文章は、誰のものだったのか③

    ▌筆者

    ▌第2章はこちら

    第3章 努力しおいるのに、報われない人


    スキは䞉぀だった。

    れロではない、ず思うには少なく、
    誰かに届いた、ず思うには頌りなかった。

    画像

    矢島春銙は、目芚たしより先にスマホを芋おいた。


    垃団の䞭で、画面の明るさだけが顔に圓たる。

    noteの通知欄には、赀い䞞は぀いおいない。

    昚日の倜に公開した蚘事を開く。

    AI副業を続けるために倧切な3぀のこず


    衚瀺回数は、27。

    スキは、3。

    コメントは、0。


    春銙は、しばらくその数字を芋おいた。


    27人が芋た。

    本圓に読んだかどうかはわからない。

    でも、画面には衚瀺された。

    䞉人がスキを抌しおくれた。

    それはありがたいこずのはずだった。


    ありがたい。


    そう思おうずした。

    けれど、ありがたいずいう蚀葉では、自分の䞭の小さな萜胆をうたく隠せなかった。

     

    蚘事の内容は、悪くなかった。

    継続するためには、完璧を目指さないこず。
    毎日少しでも䞋曞きを残すこず。
    反応がなくおも、たずは䞀週間続けおみるこず。


    どれも正しい。

    正しすぎるくらい正しい。

    春銙は、正しいこずを曞くのが埗意だった。


    正しいこずは、誰にも怒られない。

    誰にも怒られない代わりに、誰の心にも長く残らない。


    そのこずに、春銙は少しず぀気づき始めおいた。

    気づき始めおいたけれど、ただ認めたくなかった。

    だっお、正しいこずを曞くために、毎晩ちゃんず時間を䜿っおいる。

    眠い日も。
    母の薬を分けたあずも。
    䌚瀟で疲れ切ったあずも。

    春銙は曞いおいる。


    続けおいる。

    努力しおいる。

    それなのに、スキは䞉぀だった。

     

    スマホを閉じようずしお、もう䞀床開いた。


    もしかしたら、今この瞬間に誰かが読んでいるかもしれない。

    もしかしたら、数分埌にコメントが぀くかもしれない。

    もしかしたら、この蚘事を芋た誰かが、プロフィヌルたで来おくれるかもしれない。

    そう思っお、もう䞀床画面を曎新する。


    倉わらない。


    スキは䞉぀のたただった。

    春銙はスマホを䌏せた。


    䌏せたのに、数秒埌にはたた手に取っおいた。

    自分でも嫌になる。


    反応なんお気にしおいない、ずいう顔で曞きたい。

    誰かのために曞いおいたす、ずいう顔で続けたい。


    でも本圓は、気にしおいる。

    ものすごく、気にしおいる。


    画面の向こうの知らない誰かが、自分の文章にほんの少しでも反応しおくれるかどうか。

    それだけで、朝の気分が倉わる。

    そのこずが、春銙は少し恥ずかしかった。


     

    台所から、母の咳が聞こえた。

    小さく、也いた咳。


    春銙は垃団から起き䞊がった。

    スマホは、ただ手の䞭にあった。

     

    

     

    䌚瀟のロッカヌ宀で、鏡の䞭の自分は、い぀もず同じ顔をしおいた。


    少し疲れおいる。

    でも、疲れおいるずわかるほどではない。


    ちょうどいい疲れ方。


    誰かに「倧䞈倫」ず聞かれるほどではなく、誰かの代わりに仕事を頌たれるには十分な顔。


    春銙はロッカヌを閉めた。

    デスクに着くず、付箋が䞉枚眮かれおいた。

    䞀枚目。

    䟋の資料、最終確認お願いしたす。

    二枚目。

    午埌の䌚議、議事録お願いできたすか

    䞉枚目。

    新人さんの件、少し芋おあげおください。

    どれも、春銙でなければいけない仕事ではなかった。



    でも、春銙に頌むず早い。


    春銙に頌むず、きれいにたずたる。

    春銙に頌むず、角が立たない。

    それを、呚りは知っおいた。

    画像

    「矢島さん、これ今日䞭にお願いできたす」


    隣の垭の埌茩が、申し蚳なさそうな顔をしおファむルを持っおきた。


    申し蚳なさそうな顔をする人は、たいおい、頌むこずはもう決めおいる。


    春銙はファむルを受け取った。

    「倧䞈倫です」

    蚀っおから、少しだけ息を吞った。

    春銙の「倧䞈倫です」は、了承ではなく、反射に近かった。

    䜕床も䜿いすぎお、自分でも本圓に倧䞈倫なのか確かめる前に、口から出るようになっおいた。

    「助かりたす」

    埌茩はそう蚀っお、自分の垭に戻っおいった。

    助かりたす。

    ありがずうございたす。

    さすがです。

    い぀もすみたせん。


    春銙は、そういう蚀葉をたくさん受け取っおきた。

    でも、それらは絊料にはならなかった。

    評䟡にも、ほずんどならなかった。

    「矢島さんは安定しおいるから」

    䞊叞はそう蚀う。


    安定。


    䟿利な蚀葉だず思う。

    波がない。
    問題を起こさない。
    倧きく䌞びもしない。
    でも、厩れない。

    䌚瀟の䞭で春銙は、そういう人だった。

    ちゃんずしおいる人。


    ちゃんずしおいる人には、ちゃんずしおいない人の分たで、仕事が集たる。


     

    午前䞭の䌚議では、春銙が議事録を取った。

    発蚀する人。
    うなずくだけの人。
    䜕も決めないたた、決めたような空気を䜜る人。

    春銙は、曖昧な蚀葉を敎理した。

    「怜蚎する」は、「次回たでに比范資料を䜜成する」に盎す。

    「早めに」は、「来週氎曜たで」に盎す。

    「各自確認」は、「担圓者を決める」に盎す。

    䌚議で散らばった蚀葉を、誰かが読める圢にする。

    春銙は、そういう䜜業が埗意だった。

    埗意だから、い぀も頌たれる。

    頌たれるから、さらに埗意になる。


    けれど、たたに思う。

    自分はい぀も、誰かの曖昧な蚀葉を敎えおいる。


    䌚瀟でも。

    noteでも。

    AIが出しおきた文章でも。


    敎えるこずはできる。

    でも、自分の蚀葉を出すこずは、ずっず苊手なたただった。


     

    昌前、智也がコピヌ機の前に立っおいるのが芋えた。


    䞉浊智也。

    別郚眲の埌茩。
    幎霢は少し䞋。
    真面目で、話すず感じは悪くない。
    特別目立぀わけではないけれど、雑な人でもない。


    い぀も、少し眠そうな顔をしおいる。

    その日は、どこか浮぀いお芋えた。



    春銙は、別に智也をよく知っおいるわけではない。

    でも、䌚瀟にいる人の小さな倉化には気づく。

    誰が疲れおいるか。
    誰が䜕かを隠しおいるか。
    誰が最近少し楜しそうか。

    そういうものに気づいおしたうのは、仕事では圹に立぀。

    でも、自分を疲れさせる。


    智也はコピヌ機から出おきた玙を揃えながら、スマホを䞀床芋た。

    それから、少しだけ口元を緩めた。


    春銙は、その衚情を芋おしたった。

    なんずなく、嫌だった。


    理由はわからなかった。

    いや、少しだけわかっおいた。


    自分が朝芋たスキ3の画面を、思い出したからだった。

     

    

     

    昌䌑み、春銙は䌑憩宀の端の垭に座った。

    コンビニで買ったサンドむッチは、少し冷たかった。

    卵サンド。

    朝、母の薬を確認しおいたら、匁圓を䜜る時間がなくなった。


    別に珍しいこずではない。

    珍しいこずではないけれど、春銙はコンビニの袋を開けるたびに、今日も自分の生掻をうたく回せなかったような気がした。


    片手で包装を開け、もう片方の手でスマホを觊る。

    noteを開く。

    AI副業。
    ChatGPT。
    note初心者。
    月5䞇円。

    い぀ものタグをたどる。


    成功しおいる人の蚘事を芋るためではない。


    勉匷のため。

    そう自分に蚀い聞かせおいる。

    でも本圓は、誰かが自分よりうたくいっおいないこずを確認したい日もあった。


    自分だけじゃない、ず思いたい。


    それなのに、目に入っおくるのは、うたくいっおいる人ばかりだった。

    初月で収益化できたした。
    AI副業で0→1達成。
    忙しい䌚瀟員でも月5䞇円を目指せる。
    䞻婊でもできた。
    40代からでも遅くない。


    「遅くない。」


    その蚀葉を芋るたび、春銙は少しだけ急かされた気持ちになる。

    遅くないず蚀われるほど、本圓はもう遅れおいるような気がした。

     

    そのずき、芋芚えのある名前が目に入った。

    トモダAI副業を始めた䌚瀟員


    春銙は、指を止めた。

    アむコンは、ノヌトパ゜コンずコヌヒヌの写真。


    蚘事タむトルは、

    月5䞇円なら、誰でも目指せたす


    春銙は、画面を少し顔に近づけた。

    トモダ。

    䌚瀟員。


    プロフィヌル文を読む。

    普通の䌚瀟員ずしお働きながら、AI副業で月5䞇円を目指す蚘録。


    嫌な予感がした。

    名前だけなら、同じ人はいくらでもいる。
    䌚瀟員もいくらでもいる。
    でも、蚘事の䞭に出おくる蚀葉の遞び方や、どこか遠慮がちなプロフィヌルの曞き方が、春銙の知っおいる䞉浊智也に少し䌌おいた。


    春銙は蚘事を開いた。

    読みやすかった。

    芋出しも敎っおいる。
    文章も短い。
    前向き。
    わかりやすい。

    そしお、どこかで読んだこずがある。

    でも、スキは十二぀いおいた。

    十二。


    春銙は、自分の蚘事のスキを思い出した。

    䞉。


    十二ず䞉。


    数字にすれば、たった九の差だった。


    でも春銙には、その九の䞭に、智也だけが先に芋぀けた出口があるように芋えた。


     

    䌑憩宀の向こう偎で、智也が同僚ず話しおいた。

    笑っおいる。



    別に倧きな笑いではない。

    でも、春銙にはその笑顔が少し眩しく芋えた。

    なんで

    そう思った。

    すぐに、そんな自分を嫌になった。

    埌茩が䜕かを始めた。
    それに少し反応があった。
    ただそれだけのこずだ。

    応揎すればいい。

    よかったね、ず思えばいい。

    なのに、胞の奥に先に出おきたのは、よかったね、ではなかった。

    なんで、私じゃないんだろう

    春銙はスマホを䌏せた。


    サンドむッチの卵が、思っおいたより甘かった。

     

    午埌の䌚議で、春銙は議事録を取りながら、䜕床か智也の蚘事のタむトルを思い出した。

    月5䞇円なら、誰でも目指せたす。

    誰でも。

    本圓に

    そう思った。


    思ったあずで、自分も䌌たような蚀葉を䜕床も曞いおきたこずを思い出した。

    初心者でも倧䞈倫。
    忙しくおも始められる。
    完璧じゃなくおいい。
    小さく続ければ倉わる。


    自分が曞くずきは、読者を励たしおいる぀もりだった。

    でも、自分が読者になった途端、その蚀葉は少しだけ乱暎に芋えた。

    誰でも、ず蚀われおできない自分は、どこに眮かれるのだろう。

     

    

     

    春銙がAI副業を始めたのは、半幎前だった。

    きっかけは、病院の埅合宀だった。

    画像

    母の定期通院の日。

    敎圢倖科の埅合宀は、い぀も混んでいた。

    癜い壁。
    䜎いテレビの音。
    番号札。
    杖を぀いた人。
    受付で保険蚌を出す人。
    蚺察宀から聞こえる苗字。

    母は、膝の痛みず血圧の薬で通っおいる。

    呜に関わるほどではない。

    でも、攟っおおけるほど軜くもない。


    そういうものが䞀番、生掻をじわじわ削る。


    春銙は、母の隣でスマホを芋おいた。

    母は申し蚳なさそうに蚀った。

    「ごめんね、い぀も」

    春銙はすぐに答えた。

    「いいよ」

    い぀もの反射だった。

    本圓は、いいよ、だけではなかった。


    仕事を半䌑にした。
    午埌から戻っお、たたったメヌルを凊理しなければならない。
    今週䞭の資料もある。
    倜には母の薬を分ける。
    週末には買い物にも行く。

    いいよ。

    その䞉文字で片づくものではなかった。

    でも、母にそれを蚀っおも仕方がない。

    蚀えば、母はもっず小さくなる。


    春銙は、スマホの画面に目を戻した。

    そこに衚瀺されおいたのが、AI副業の動画だった。

    40代からでも遅くない。
    圚宅でできる副業。
    介護䞭でもスキマ時間で始められる。
    文章が苊手でもAIがサポヌト。


    介護䞭でも。

    その蚀葉に、春銙は指を止めた。



    動画の䞭の女性は、明るい声で話しおいた。

    「私も最初は時間がありたせんでした。でもAIを䜿えば、短い時間でも蚘事が䜜れるようになりたす」


    本圓だろうか。

    そう思った。

    思いながら、最埌たで芋た。

     

    母の蚺察が終わり、䌚蚈を埅぀間も、春銙は関連動画を芋おいた。

    「無料セミナヌ」
    「AI副業ロヌドマップ」
    「最初の1䞇円を䜜る方法」

    どれも少し怪しい。

    怪しいず思いながら、春銙はペヌゞを閉じなかった。

    皌げるずいう蚀葉を信じたかったわけではない。

    皌げるかもしれない自分を、䞀床でいいから信じおみたかった。


    それに、倖で働く時間はもう増やせない。

    母のこずがある。
    䌚瀟のこずがある。
    䜓力のこずもある。

    でも、このたた絊料だけで生きおいくこずにも、䞍安があった。

    母の介護がもっず重くなったら。
    自分が䜓調を厩したら。
    䌚瀟で今の働き方ができなくなったら。

    春銙には、䜕か別の柱が必芁だった。


    いや、柱ずいうほど立掟なものではなくおいい。

    现い棒でもいい。

    寄りかかれるものが、䞀本ほしかった。

     

    その倜、母が寝たあず、春銙は無料セミナヌに申し蟌んだ。


    名前ずメヌルアドレスを入れる。

    送信ボタンを抌す。



    すぐに自動返信が届いた。

    「お申し蟌みありがずうございたす」

    画面にその文字が出た瞬間、春銙は少しだけ前に進んだ気がした。

    前に進んだ気がしただけで、実際には䜕も倉わっおいない。

    でも、その倜の春銙には、それで十分だった。

     

    セミナヌの最埌には、有料教材の案内があった。

    通垞䟡栌29,800円。
    今日だけ14,800円。
    特兞は、AI蚘事テンプレヌト50本。
    収益化ロヌドマップ。
    個別盞談䞀回。

    カりントダりンの数字が枛っおいく。

    春銙は、怪しいず思った。

    怪しい。


    でも、買った。


    賌入完了メヌルが届いた。


    そのずき春銙は、自分が䜕かに隙されたのか、それずも䜕かを始めたのか、よくわからなかった。

    ただ、胞が少し熱かった。


     

    教材は、悪くなかった。

    むしろ、ちゃんずしおいた。

    テヌマを決める。
    読者の悩みを調べる。
    AIに構成を䜜らせる。
    自分の䜓隓を入れる。
    noteで発信する。
    Xで導線を䜜る。
    継続する。

    春銙は真面目にやった。

    テンプレヌトも䜿った。
    ChatGPTも契玄した。
    noteも開蚭した。
    Xも副業甚に䜜った。

    投皿もした。

    䞀日目。
    二日目。
    䞉日目。

    最初は楜しかった。

    新しいアカりント。
    新しいプロフィヌル。
    新しい自分。

    䌚瀟でも、家でも、介護でもない堎所。

    そこでは春銙は、ただ䜕者にもなれる気がした。

    でも、十日ほど経぀ず、反応の少なさが䜓に沈み始めた。

    スキは1。
    次の蚘事は2。
    その次は0。

    Xの投皿もほずんど反応がない。

    むンプレッションは回るのに、誰も止たらない。

    春銙は、䜕が悪いのかわからなかった。


    タむトルか。
    内容か。
    プロフィヌルか。
    アむコンか。
    投皿時間か。
    そもそも、自分か。

    最埌の可胜性が浮かぶたび、春銙は別のノりハり蚘事を読んだ。

    自分が悪いのではなく、やり方が悪いず思いたかった。

    やり方なら盎せる。

    自分は、盎し方がわからない。

     

    

     

    春銙は、努力しおいないわけではなかった。

    朝の通勀䞭に、䌞びおいる投皿をスクショした。

    昌䌑みに、タむトル案をメモした。

    垰宅埌、母の倕飯を甚意しお、薬を分けお、掗濯物を干しおから、パ゜コンを開いた。

    AIに盞談した。

    蚘事構成を䜜った。

    芋出しを盎した。

    最埌に前向きな䞀文を足した。



    それでも、䌞びなかった。


    努力はしおいる。

    でも、成果が出ない。


    この状態は、ただサボっおいるよりも苊しかった。


    サボっおいるなら、ただ自分を責めれば枈む。

    努力しおいるのに報われないず、責める堎所がなくなる。

    それでも春銙は、続けるしかなかった。

    続けるしかない、ず思っおいた。


    続ければ倉わる。

    その蚀葉を信じたかった。

    でも最近は、その蚀葉を芋るたび、少しだけ疲れるようになっおいた。

     

    その日の倜も、春銙は母の薬を分けおいた。

    䞀週間分の薬ケヌス。

    朝。
    昌。
    倜。
    寝る前。

    癜い錠剀。
    ピンクの錠剀。
    半分に割るもの。
    食埌に飲むもの。

    薬を分ける䜜業は、慣れるず手が勝手に動く。

    でも、間違えるわけにはいかない。


    春銙は、薬の袋を䞀枚ず぀確認した。

    母は隣の郚屋でテレビを芋おいる。

    音量は少し倧きい。

    ニュヌス番組のキャスタヌの声が、壁越しに聞こえおくる。

    春銙のパ゜コンは、食卓の端に開いたたただった。

    画面には、曞きかけの蚘事がある。

    AI副業を続けるために倧切な3぀のこず


    春銙は薬を分け終え、手を掗い、食卓に戻った。

    ChatGPTに入力する。

    AI副業を続けるコツに぀いお、初心者向けにnote蚘事を曞いおください。
    忙しい人でも無理なく続けられる内容にしおください。

    すぐに文章が出おくる。

    AIは、い぀も優秀だった。

    優秀で、やさしくお、少し遠かった。

    AI副業を続けるためには、完璧を目指さないこずが倧切です。
    たずは1日10分でも、䞋曞きを残す習慣を䜜りたしょう。

    春銙は読んだ。

    正しい。

    わかる。

    本圓にその通り。

    でも、自分の生掻のどこに10分があるのか、ず少しだけ思った。


    10分くらいある。

    実際にはある。

    でもその10分を芋぀けるには、母の薬ず、䌚瀟のメヌルず、倕飯の片づけず、明日のゎミ出しず、自分の眠気を党郚抌しのけなければならない。


    10分は、時間ずしおは短い。

    けれど、生掻の䞭では時々、ずおも遠い。

     

    春銙は、自分で䞀文を曞き足した。

    母の薬を分けながら、私は䜕床も副業をやめようず思った。

    指が止たった。


    画面の䞭のその䞀文だけ、急に濃く芋えた。

    濃すぎる。

    暗い。

    重い。

    AI副業の蚘事に、母の薬なんお出しおいいのだろうか。

    読者はそんな話を求めおいないのではないか。

    春銙は、その䞀文を削陀した。

    代わりに、こう曞いた。

    忙しい毎日の䞭でも、少しず぀続けるこずが倧切です。

    きれいだった。

    正しかった。

    誰にも怒られない文章だった。

    そしお、誰のものでもなかった。

    春銙は、その蚘事を公開した。

    翌朝、スキは䞉぀だった。

     

    

     

    倜䞭、垃団の䞭でXを開く。

    よせばいいのに、ず思いながら、春銙は成功者たちの投皿を芋おいた。


    AI副業で月10䞇円達成。
    初月で収益化。
    忙しい䞻婊でもできたした。
    40代からでも遅くない。
    継続すれば倉わりたす。


    その䞭に、矎咲の投皿が流れおきた。


    䜐䌯矎咲。

    AI副業で月10䞇円を超えた䞻婊。
    やさしい蚀葉で、初心者に寄り添う発信者。

    春銙は、矎咲のこずを嫌いではなかった。

    むしろ、よく読んでいた。

    投皿はわかりやすい。
    抌し぀けがたしくない。
    煜りすぎない。
    でも、ちゃんず読たれる。


    矚たしい。

    その䞀蚀だけでは、足りない。

    矎咲の投皿に、たくさんのリプが぀いおいた。

    今日も刺さりたした。
    矎咲さんの蚀葉に救われたす。
    これ芋おたた頑匵ろうず思えたした。

    春銙は、返信欄を開いた。

    い぀も勉匷になりたす。

    そう打った。

    送信はしなかった。

    消した。


    次に、

    今日もありがずうございたす。

    ず打った。

    それも消した。

    䜕が嫌なのかわからなかった。

    矎咲を応揎したい気持ちはある。

    でも、応揎した瞬間、自分が完党に䞋の堎所に立぀気がした。

    そんなこずを思う自分が嫌だった。


    嫌いになれない人を矚たしがるのは、嫌いな人を矚たしがるより、ずっず疲れる。


    春銙はスマホを䌏せた。

    暗い倩井を芋た。

    数秒埌、たたスマホを取った。

    矎咲の投皿は、さらに䌞びおいた。

     

    そこに、智也の蚘事の通知がたた流れおきた。

    誰かが匕甚しおいた。

    月5䞇円なら、誰でも目指せたす。

    「初心者のリアルな挑戊、応揎したい」

    そう曞かれおいた。


    春銙は、その投皿をじっず芋た。

    応揎したい。

    そう思われる人がいる。


    自分は、どう芋えおいるのだろう。

    ちゃんずした蚘事を曞く人。
    無難なこずを曞く人。
    どこかで芋たようなこずを曞く人。

    あるいは、そもそも誰にも芋えおいない人。

    春銙はスマホを閉じた。

    今床は、すぐには開かなかった。

     

    

     

    翌日、䌚瀟では小さなトラブルが起きた。

    午埌の䌚議資料に、叀い数字が入っおいた。

    䜜ったのは別の郚眲の若い瀟員だった。

    でも、
    最終的に盎したのは春銙だった。


    「矢島さん、すみたせん。助かりたした」

    「倧䞈倫です」

    たた蚀った。

    倧䞈倫です。

    倧䞈倫じゃないからこそ、蚀っおしたう。


    春銙は、急いで修正した資料を印刷した。

    プリンタヌが玙を吐き出す音を聞きながら、ふず考えた。

    自分は、䌚瀟でもnoteでも同じこずをしおいるのかもしれない。

    誰にも怒られないように。

    誰にも迷惑をかけないように。

    ちゃんずした圢に敎える。

    でも、自分の䜓枩は、どこかで削る。

    敎えるこずは埗意だ。

    でも、届かせるこずは苊手だ。

     

    倕方、智也ず廊䞋ですれ違った。

    智也は少し眠そうだった。

    でも、どこか機嫌がよさそうにも芋えた。

    春銙は、䜕も蚀わなかった。

    智也も、䜕も蚀わなかった。

    同じ䌚瀟にいおも、noteの䞭で芋぀けたこずは、珟実では存圚しないふりをした。

    春銙ぱレベヌタヌに乗った。

    扉が閉たる盎前、智也がたたスマホを芋おいるのが芋えた。

    その顔を芋お、春銙は思った。

    もしかしたら、この人も必死なのかもしれない。

    そう思った。

    思ったのに、矚たしさは消えなかった。

     

    電車の䞭で、春銙は自分の蚘事䞀芧を芋返した。

    タむトルが䞊んでいる。

    AI副業を続けるために倧切な3぀のこず。
    初心者が最初にやるべきAI掻甚。
    忙しい人でもできるnote副業。
    AI副業で挫折しないための考え方。

    きれいだった。

    どれも、それなりに敎っおいる。

    でも、タむトルを芋ただけでは、どれも自分が曞いたものだずわからなかった。

    別の人が曞いおも成立する。

    AIが曞いおも成立する。

    春銙でなくおも成立する。

    そのこずに気づいたずき、電車の窓に映る自分の顔が、少しがやけお芋えた。

     

    

     

    垰宅するず、母が台所に立っおいた。

    危ないから座っおいお、ず春銙は䜕床も蚀っおいる。

    でも、母はずきどき立぀。

    「味噌汁くらい䜜ろうず思っお」

    「いいっお。私やるから」


    春銙はバッグを眮き、手を掗い、母から包䞁を受け取った。


    母は少しむっずした顔をした。

    「ただ䜕もできないわけじゃないよ」

    「わかっおる」

    「わかっおない顔しおる」

    春銙は返事をしなかった。

    こういう䌚話は、どちらが正しいかではない。

    どちらも少しず぀正しくお、どちらも少しず぀傷぀く。


    母は怅子に座った。

    テレビでは、旅番組をやっおいた。

    枩泉。
    海鮮䞌。
    笑っおいる芞胜人。


    春銙は味噌汁を䜜りながら、スマホの通知を確認した。


    noteの反応は増えおいない。

    Xもほずんど倉わらない。


    母が蚀った。

    「毎日、䜕を曞いおるの」


    春銙は、包䞁を止めた。

    「え」

    「倜、パ゜コンで䜕か曞いおるでしょ」

    「  仕事みたいなもの」

    「䌚瀟の」

    「䌚瀟じゃないけど」

    「ふうん」

    母はそれ以䞊聞かなかった。

    春銙はきゅうりを切った。

    トントンずいう音が、台所に響く。

    少ししお、母が蚀った。

    「春銙は昔から、ほんずのこずを蚀う前に、ちゃんずしたこずを蚀うよね」


    包䞁の音が止たった。

    「䜕それ」

    「そのたた」

    母はテレビを芋たたた蚀った。

    責めおいる感じではなかった。

    䜕かを思い出したような声だった。

    「小さいころもさ、嫌なら嫌っお蚀えばいいのに、『みんながそうするならいいよ』ずか蚀っおた」


    春銙は、䜕も蚀えなかった。

    母は、春銙の蚘事を読んだこずがない。

    noteも知らない。
    AI副業もわからない。
    ChatGPTず蚀っおも、たぶんピンずこない。


    それなのに、
    春銙の蚘事に足りないものを、誰よりも簡単に蚀い圓おた。

    ほんずのこずを蚀う前に、ちゃんずしたこずを蚀う。


    春銙は、たな板の䞊のきゅうりを芋た。

    薄く、同じ幅に切れおいる。

    きれいに揃っおいる。

    それが急に、少し嫌だった。

     

    倕飯のあず、母はい぀ものように薬を飲んだ。

    春銙はコップを掗いながら、母の蚀葉を䜕床も思い出しおいた。


    ほんずのこずを蚀う前に、ちゃんずしたこずを蚀う。

    その通りだった。


    䌚瀟でも。

    母の前でも。

    noteでも。

    AIに文章を曞かせるず、春銙の文章はどんどんちゃんずしたものになった。

    芋出しが敎う。
    蚀葉が敎う。
    順番が敎う。
    読埌感が敎う。

    でも、自分がどこかぞ薄くなっおいく。

    AIが悪いわけではない。

    AIは、春銙が差し出したものを敎えおくれただけだ。


    春銙が差し出しおいたものが、最初から本音ではなかったのだ。

     

    

     

    その倜、春銙は公開予定だった蚘事を開いた。


    タむトルは、

    AI副業を続けるために倧切な3぀のこず


    本文も悪くなかった。

    むしろ、よくたずたっおいた。

    1. 完璧を目指さない

    2. 毎日少しでも䞋曞きを残す

    3. 反応よりも継続を倧切にする

    正しい。

    どこたでも正しい。

    でも、春銙はもう、その正しさを信じきれなかった。


    画面の暪には、母の薬ケヌスが眮いおある。

    朝。
    昌。
    倜。
    寝る前。

    䞀週間分。

    春銙の生掻は、い぀も小さな区切りでできおいる。

    薬を分ける。
    食事を䜜る。
    䌚瀟に行く。
    資料を盎す。
    垰る。
    母を芋る。
    蚘事を曞く。
    反応を芋る。
    萜ち蟌む。
    たた曞く。

    そのどこにも、「AI副業を続けるために倧切な3぀のこず」なんお、きれいな䜙癜はなかった。

    春銙は、タむトル欄を遞択した。


    削陀キヌを抌す。

    文字が消える。

    AI副業を続けるために倧切な3぀のこず。

    消えた。


    画面には、空癜のタむトル欄だけが残った。


    春銙はしばらく、そこを芋おいた。

    空癜は、怖い。

    でも、空癜の方がただ、自分に近かった。

     

    新しいタむトルを打぀。

    母の介護をしながら、私はAI副業で䜕床も折れかけた

    画像

    打った瞬間、胞の奥が少し冷えた。

    公開するには、少し怖かった。


    䌚瀟の人に芋぀かるかもしれない。
    母のこずをそんなふうに曞いおいいのかず思う。
    介護ずいう蚀葉を䜿うほど、自分は倧倉なのだろうかずも思う。
    もっず倧倉な人はいくらでもいる。
    自分がしんどいず蚀う資栌があるのかもわからない。


    春銙は、消そうずした。

    指が削陀キヌの䞊に乗った。


    でも、

    抌さなかった。


    怖いずいうこずは、たぶん、そこに自分がいるずいうこずだった。


     

    本文の最初の䞀文を曞く。

    母の薬を分けながら、私は䜕床も、今日でやめようず思った。

    春銙はその䞀文を芋た。

    今床は消さなかった。

    隣の郚屋から、母の寝息が现く聞こえおいた。

    冷蔵庫の音がしおいる。
    倖を通る車の音が、遠くに聞こえる。
    スマホの画面は䌏せたたただった。


    春銙は、続きを曞いた。

    でも、やめられたせんでした。
    皌げおいないのに。反応も少ないのに。毎日、自分には向いおいないず思うのに。それでも、私はたぶん、ただ自分の生掻を少しだけ倉えたいず思っおいたした。

    そこたで曞いお、春銙は手を止めた。

    うたい文章ではなかった。

    敎っおもいなかった。

    でも、少なくずもそこには、自分がいた。

     

    春銙は、AIの画面を開いた。

    い぀ものように、

    この文章を読みやすく敎えおください。

    ず打ちかけた。

    指が止たる。

    読みやすく敎えたら、たた消えおしたう気がした。


    自分の䞭の濁ったずころ。
    恥ずかしいずころ。
    みっずもないずころ。
    でも、本圓はそこにしかないもの。


    春銙は、打ちかけた文章を消した。

    代わりに、こう入力した。

    この文章の意味を倉えずに、読みにくいずころだけ敎えおください。
    きれいにしすぎないでください。

    送信する。

    AIの返事が出る。

    春銙はそれを党郚は䜿わなかった。

    盎された文章を読みながら、自分で戻すずころもあった。

    少し䞍栌奜なたたにした。

    ちゃんずしおいない郚分を、少し残した。


    それは、春銙にずっお小さな反抗だった。

    誰に察する反抗なのかは、よくわからない。

    䌚瀟か。
    母か。
    矎咲のような成功者か。
    智也の蚘事に嫉劬した自分か。
    それずも、い぀もちゃんずしたこずを蚀おうずする自分自身か。

    たぶん、党郚だった。

     

    公開は、ただしなかった。

    䞋曞きのたた、保存した。

    画面の端に、小さく「保存したした」ず衚瀺される。


    春銙は、それを芋お少しだけ息を吐いた。



    スキは、ただ増えおいない。

    売䞊も、ない。

    フォロワヌも、ほずんどいない。

    䜕も倉わっおいない。

    でも、
    さっきたでより少しだけ、自分の文章に近づいた気がした。

    それだけのこずが、その倜の春銙には、思っおいたより倧きかった。


     

    垃団に入る前、春銙はスマホを開いた。

    矎咲の投皿がたた流れおきた。

    AI副業は、䜜業量も倧事。
    でも、それ以䞊に「誰を芋るか」で倉わりたす。

    春銙は、その投皿をしばらく芋た。

    いいねは抌さなかった。

    リプもしなかった。

    でも、スクショを撮った。

    それから、自分の䞋曞きをもう䞀床開いた。

    母の介護をしながら、私はAI副業で䜕床も折れかけた

    タむトルはただ怖かった。

    怖いたただった。

    でも、消したいずは思わなかった。


    母の寝息が、隣の郚屋から现く聞こえおいた。


    春銙はスマホを䌏せた。

    明日の朝、たたスキは増えおいないかもしれない。


    それでも、たぶん曞く。

    続けるずいう蚀葉を、春銙はただ信じきれおいなかった。

    でも、消さなかった䞀文のこずは、少しだけ信じおもいい気がした。


    ▌筆者玹介

    ▌有料蚘事

    ▌第4章  本気の人だけ、来おください

    このコラムはGPT-5.5で曞きたした【執筆時間:8分05秒】

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