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十中八九七五三|毎週ショートショートnote

    古来、人類は「確定した真実」よりも「ほぼ確実な妄想」にこそ、強い信念を見出す傾向があった。この心理的偏向を最初に体系化し、実戦に応用したのが、平安末期から鎌倉初期にかけて活動した謎の軍師集団「数読み衆」である。

    彼らが編み出した究極の心理戦術こそが、この「十中八九七五三」である。

    数読み衆は、戦況を分析する際、必ず最初に「勝率十割(十)」の策を立てる。しかし、次に自らの手で否定し、あえて九割、八割へと、確信度を低下させることを行った。

    これは、人間が「完璧な計画」に対して抱く無意識の慢心を排し、あえて不確実性を導入することで、逆に柔軟性を生むという、極めて高度な心理戦術である。

    そして、次の行動指針が「七」「五」「三」である。

    • 七:敵兵に必ず七割の警戒心を与える(残り三割は慢心させる)。

    • 五:自軍の戦力を五割しか見せない。

    • 三:勝敗を左右する決定的な秘策は三割だけ実行し、残りは温存する。

    この数字の連鎖は「確実な(十・九・八)未来」から「曖昧な(七・五・三)行動」を導き出すための戦術である。

    この術が武士や公家の間で広まるにつれ、その本来の軍事的な意味は失われていったが、この言葉を口にすることで、「頭ではわかっているが、行動は直感に任せる」という独特の精神状態が呼び起こされることが知られていた。


    そして現代、我々がスマホの画面に表示される「SSRレア排出率3%」という数値を見て、「まあ十中八九出ないだろうが…」と呟きながらも課金ボタンを押してしまうのは、まさにこの数読み衆の呪縛である。

    七百年の時を超え、今日も誰かが呟く。
    「十中八九、当たる気がする」

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    民明書房刊『確率心理戦史〜数読み衆秘伝書〜』より抜粋

    今回参加させていただいたのは、いつも感謝。
    こちらの企画になります。

    https://note.com/tarahakani/n/nb7ecfcccd4bb

    ※ご注意:本記事の内容は創作であり、実在の書籍や史実とは関係ありません。
    民明書房は、漫画『魁!!男塾』などで登場する架空の出版社で、当時のパロディ文化を象徴する存在です。
    本記事をきっかけに、そのユーモアと背景を知っていただければ幸いです。

    #毎週ショートショートnote
    #十中八九七五三



     
     
     
    まだ知らない『面白い』への案内人。人・作品・AIの魅力を見つけ、物語と知識に変えて届けるコンシェルジュです。毎週土曜は漫画ソムリエ。スキ動画コンテストほか、いろいろ実験中。

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