
アカリウム深層 新種発見|土下座魚(ドゲザウオ)|日本の謝罪文化、その意外なる起源
アカリウム深層で、新種発見しました。
今回発見されたのは、深海の底でひたすら頭を下げ続ける、極めて珍しい魚類である。
その名も「土下座魚」。
一見すると奇妙なその姿には、我々日本人の生活に深く関わる、驚くべき秘密が隠されていたのである。

土下座魚(ドゲザウオ)
学名:Humilichthys dogezaensis
生息水深:1,000〜3,000メートル
体長:15〜30センチメートル
古来より、日本人は謝罪の際に頭を下げることを美徳としてきた。
しかし、その起源が深海生物の求愛行動にあったことは、ほとんど知られていない。
今回発見された「土下座魚」は、極めて臆病な性質を持ち、他個体と遭遇すると即座に海底へ額を押しつける。
特筆すべきは、その求愛姿勢である。
雄は雌の前で胸びれを左右に広げて海底を支え、背びれを激しく振動させる。
これにより発生する低周波は、人間の耳には、
「モウシワケゴザイマセン……」
と聞こえるという。
求愛が受け入れられると雌は発光するが、失敗した雄はさらに頭を下げ、ついには海底の泥に埋没する。
この習性が地上に伝わったのは、江戸中期、宝暦年間(1751〜1764年)のことである。
紀州沖で遭難した廻船の船員が、漂流中に海面へ浮上してきた奇妙な深海魚を発見。
その頭を深々と下げる姿を船主への謝罪に用いたところ、思いのほか許しを得られたという。
この作法は紀州の商人を通じて大坂、江戸へと伝播し、やがて日本独自の謝罪文化として定着した。
なお、現代でも謝罪の際に「頭が上がらない」と表現するのは、土下座魚が深海の水圧によって物理的に頭を上げられないことに由来する。
日本人が謝罪の際に深々と頭を下げる習慣は、この土下座魚の生態に起源を持つとする説が、今なお礼法史研究家の間で根強く支持されている。
民明書房刊『深海謝罪学概論 ―頭を下げた魚類たち―』より

※初めて土下座魚の生態の録画に成功した映像
あとがき
深海には、まだまだ我々の知らない生き物がいるようです。
今回発見された土下座魚ですが、本人は謝罪しているつもりなどなく、ただ必死に求愛しているだけなのかもしれません。
つまり、本人に謝る気がなくても、周囲が勝手に謝罪と受け取っていたわけですね。
なんとも世知辛い深海社会です。
なお、本記事に登場する生物、歴史的逸話、研究、書籍および観察映像はすべて創作です。
今回参加させていただいたのは、赤髪のあかりさんの「アカリウム深層 新種発見」企画です。
久しぶりの民明書房ネタで、楽しく創作させていただきました。
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