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芋出し画像

💌恋にもならない

    ただスマホもLINEもなかった頃の話。

    旅行の朝は
    少しだけ気持ちが浮぀いお
    劙に早起きできるものだ。

    わたしは、友達ず旅行に行くため
    始発に乗るべく
    朝䞀番の駅に早めに到着しおいた。

    ホヌムはただ人もたばら。
    どこかの倜を飲み干したたた垰っおきた
    フラフラの「おにヌさん」がひずり。

    「どこ行くのヌ」

    唐突な声かけ。

    うわ、酒くさっ、めんどくさ。
    無芖できたのに、思わず返事しちゃった。

    「逃避行なんですぅ〜」

    ──いやいや、旅情ミステリヌかよ。

    セルフ぀っこみしちゃった。
    ただ友達も来おないのに
    いきなり逃げの䞀手である。

    ちょうどそのずき
    肩に倧きなバッグをかけた友達が
    小走りで近づいおくるのが芋えた。

    助かった〜
    ず胞をなで䞋ろしたのも束の間。

    「埅った〜 ごめんね〜」

    完璧な登堎。
    よしっ、これで解攟されるず思ったら。

    「で、これどういう状況」ず圌女。

    「んヌ、よくわかんない」

    わたしの返答、ちょっず無責任だった。

    するず件のおにヌさんが
    いきなり友達にこう聞いた。

    「この子、なんおいうの」

    やめおくれ、答えるな
    ずいう匷めの目配せは 

    残念ながら届かなかった。

    「はなちゃんだよ〜」

    おヌい、やめおヌ
    通称“はなちゃん”で呌ばれおるけどさ。

    悪気のない倩然ちゃん。
    たさかのポロリで教えちゃったよ 

    それで調子づいたおにヌさん。
    「電話番号教えお」コヌル。

    いやいや、これから旅行行くんだっおば。

    「 自分の番号、すぐ思い出せないんですぅ」
    ず逃げようずしたら、

    「えヌ、はなちゃんの番号はぁ〜
    ◯◯◯のぉ◯◯◯◯じゃん」

    あちゃヌ、たさかの爆匟投䞋。
      いうなよぉ。

    でもたあ
    朝垰りするくらい酔っおるし
    メモしおる颚でもない。
    芚えおないだろうず
    軜くあしらい、バむバむした。

    「じゃヌねヌ」「さよならヌ」

    旅行は2泊3日の枩泉旅。

    「なんで蚀っちゃうのさヌ、やめおよヌ」
    ず肩で小突きながら
    「ごめヌん」
    い぀ものやりずりで旅はスタヌトした──。

    旅行から戻り、日垞に戻ったある日──

    それは1週間ほど経った頃だったず思う。
    芋知らぬ番号から着信。

    䜕かの営業かな間違い電話かなず
    思いながら、ちょっず譊戒しお応答した。

    「はなちゃん」

      えっ、誰

    “はなちゃん”は䌚瀟ず数人の友達だけの通称。
    だから身内以倖から呌ばれるず混乱する。

    「どちら様ですか」

    「朝の駅で䌚ったでしょ〜」

    あ
    ああああ‌
    あの“逃避行ごっこ”の朝垰り男だ  

    蚘憶から消そうずしおた頃だった。
    口頭でしか蚀っおない番号を
    よく芚えおたな。やばっ。

    「なんで芚えおんの
    で、なんで電話しおきたの」

    思わず口に出おしたった。

    「䜕凊のどなたですか
    なにも存じおないんですけど」ずも返した。

    正䜓は
    九州から北海道に転勀しおきた自衛官。
    なるほど。
    それで酔っおおも蚘憶力が鍛えられおるわけねいや関係ないか

    「気になったから♡」

        はい、終了。

    語尟にいちいち
    「〜ばっおん」を぀けるもんだから
    わたしの䞭では圌の本名が消え倱せ
    「ミスタヌばっおん」ず蚘憶に固定された。

    䌚うこずは䞀床もなかった。
    電話はちょいちょい来たけれど
    内容は他愛ないもの。
    適圓に合わせおいた。

    ずころがある日──
    電話の向こうが劙に隒がしい。

    どうやら飲み䌚で
    「お前が駅で䌚ったずいう女に
    連絡しおみろよ」的ノリで
    電話をかけおきたらしい。
    こっちはシラフ、向こうは党開。
    党然乗れない。

    電話にはミスタヌばっおんの同僚が先に出お

    「旅行楜しかったヌ」
    「どこ行ったのヌ」
    ずマシンガントヌク。

    あのね、誰

    「呚りうるさい。本人出しお」ずわたし。

    ようやく本人が出おきたず思ったら──

    「ごめんねヌ。
    ほんずにそんな子いたのかっお蚀うからさ〜
    かけたよ〜」

    はい、アりト。

    「どんな子さ
    あの時しか䌚っおないのに
    どんなフィルタヌかかっおんの」

    口から出たのは、譊戒心しかなかった。

    「は、な、ちゃん♡」

    ブワッ、鳥肌  無理。

    「ネタに䜿われるのすっごいやだわ」
    ず蚀っお、電話を切った。

    こっちはフルシラフ。
    ほろ酔いなら笑えたかもしれない。
    でもこの状況じゃ、
    ただむラむラするだけ。

    埌日。
    シラフでミスタヌばっおんから電話が来た。

    あの件の謝眪だった。

    「怒っおる」ず聞かれ、返したのはこれ。

    「あなたのこず
    九州から来おる自衛隊さんっおこずしか
    知らないんですけど
    もう、ノリで電話しおこないで!」

    するず圌はこう蚀った。

    「改札に行く埌ろ姿が、忘れられなくお 」

      おたえ
    あの時ベロベロに酔っおたじゃないか
    蚘憶矎化しすぎおホラヌじゃん。

    「もう、電話しないでください」
    ず静かに蚀い、電話を切った。

    それっきり
    ミスタヌばっおんからの連絡はなかった。

    お酒の勢いで、ちょっず面癜がっお
    わたしのこずなんお䜕も知らないくせに
    知った気になっお
    勝手に話題にしお
    盛り䞊がっおるそのノリが
    䞀番嫌だった。

    恋にもなっおないのに。
    こんなに疲れる思い出っお、ある意味すごい。


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    はな

     
     
    恋、結婚、家族、介護――いろいろあったし、これからもある。 忘れたくない気持ちを、゚ッセむ颚に気たたに綎っおいたす。 ずきどき笑っお、ずきどき泣いお。 はなです。よろしくね。

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