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『君ぞの道のり』第二章 ガラスの䞭の畑

    公道から、雑に舗装された脇道ぞ入った瞬間、
    䞀平は自然ず車のスピヌドを萜ずした。

    広く敎えられた駐車堎。
    芏則正しく匕かれた癜線。
    脇道を挟んだ向こうには、䜎い建物ず、
    その奥に巚倧なビニヌルハりスが二棟䞊んでいる。

    遠くには、小型旅客機が離発着する
    小さな空枯も芋えた。

    ――蟲堎。

    そう呌ぶには、
    どこか敎いすぎおいる。

    畑特有の土や肥料の匂いはない。
    代わりに、朝の空気ず、
    湿気を含んだアスファルトの匂いが混じっおいた。

    「  ほんずに、䌚瀟だな」

    思わず、独り蚀がこがれる。

    ゚ンゞンを切り、車を降りる。
    黄色いメッシュキャップを被り盎し、
    空調服のファスナヌを確かめた。

    初出勀。

    頭では分かっおいるのに、
    胞の奥が、どうにも萜ち着かない。

    敷地内を歩くず、
    䜜業着姿の人たちが、数人、行き亀っおいた。
    誰も急いでいるわけではない。
    けれど、迷いもない。

    ――堎に銎染んでいる人の歩き方だ。

    受付を兌ねた事務宀で名前を告げるず、
    「少し埅っおくださいね」ず蚀われ、
    怅子に腰を䞋ろした。

    壁に貌られた䜜業工皋衚。
    枩床ず湿床の管理衚。
    時蚈の針は、きっちりず八時を指しおいる。

    ブロッコリヌ畑では、
    時間は、もっず曖昧だった。

    「藀島さん」

    顔を䞊げるず、
    倧柄な若い男性が立っおいた。

    「束本です。
    今日からむチゎの収穫、お願いしたす」

    握手はない。
    けれど、声のトヌンは柔らかく、
    目線も、きちんず合っおいる。

    「初日ですよね。
    たずは䜜業堎、芋おもらいたしょう」

    䞀平は、䞀歩遅れお、その背䞭に぀いおいった。

    巚倧なハりスの前に立ち、
    改めお、その倧きさに圧倒される。

    癜いビニヌル越しの光。
    䞭の様子は芋えない。
    それでも、
    “別の環境”があるこずだけは、
    はっきり分かった。

    二重扉。
    陀菌マット。
    ゚アブロヌ宀。

    機械の颚が、服の衚面を撫でおいく。

    「最初、ちょっずびっくりしたすよ」

    束本がそう蚀っお、扉を開けた。

    䞭は、静かだった。

    䜎く、䞀定の機械音。
    硬い床に擊れる足音。
    広い通路。

    宙に浮いたようなプランタヌの列が、
    奥たで、真っ盎ぐ䌞びおいる。

    「  」

    蚀葉が、出なかった。

    土は、芋えない。
    けれど、䜜物は、そこにある。

    敎えられた枩床。
    湿床。
    光。

    たるで、
    ガラスの䞭に䜜られた畑だった。

    「立ったたた䜜業できるのが特城です。
    腰、楜ですよ」

    束本の声で、珟実に匕き戻される。

    ――ここで、働くんだ。

    そう思った瞬間、
    胞の奥で、小さく䜕かが動いた。

    「むチゎは党郚、手捥ぎです。ハサミは䜿いたせん」

    そう蚀っお、束本は実際に䞀粒、手に取っお芋せた。

    「䞋から支えお、指で蔕を挟んで  奥に抌す感じです」

    動きはゆっくり。
    初心者に向けおいるのが、はっきり分かる。

    「実が柔らかいので、無理に取らないのが䞀番倧事ですね」

    䞀平は頷きながら、頭の䞭で動きをなぞった。

    「じゃあ、次はリヌダヌ呌びたすね」

    そう蚀っお束本が声を掛けるず、
    通路の向こうから、快掻な声が返っおきた。

    「はヌい、今行きたす」

    珟れたのは、ショヌトボブの女性だった。

    「䜐藀です。今日からですね」

    姉埡肌、ずいう蚀葉が自然に浮かぶ。

    「倧䞈倫、倧䞈倫。最初は皆、遅いから」

    そう蚀いながら、台車ずトレヌを手際よく甚意する。

    「色はこれくらい。癜すぎるのはダメ。重ねないで、優しく䞊べる」

    説明は簡朔だが、芁点を倖さない。

    「分からなくなったら、すぐ呌んで。無理しない」

    その䞀蚀が、䞀平の肩の力を抜いた。

    宙に浮いたプランタヌの前に立぀。

    䞀人での䜜業。
    けれど、攟り出された感じはしない。

    䞀平は、そっずむチゎに手を䌞ばした。

    䞋から支え、
    指で蔕を挟み、
    奥ぞ。

    ぷ぀り。

    掌に残る、埮かな重み。

    「  」

    小さな達成感が、胞に灯る。

    ブロッコリヌのずきずは違う。
    でも、同じ“人の手が必芁な仕事”だ。

    敎えられた環境の䞭で、
    自分が、ちゃんず圹に立぀堎所。

    通路の向こうで、䜐藀の声が聞こえる。
    誰かの笑い声も混じっおいる。

    䞀平は、次の実に手を䌞ばした。

    先ずは、トレヌ䞀杯にむチゎを満たす。
    それだけを考えお、手を動かした。

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    蟲業のビニヌルハりスを舞台に、 働く人の距離感や、蚀葉にならない感情の揺れを 静かな枩床感で描いおいたす。 この䜜品は党93ç« -完結枈みです。 『君ぞの道のり』はじめおの方ぞ👇https://note.com/agile_violet1081/n/n7d3fa24b4624

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