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氷河を歩く青春

    ■居堎所の厩壊 -  I don’t know  -


    12月の矎容宀は、空気が匵り぀めおいた。

    どの垭も埋たり、
    誰もが急いでいるのに、
    どこか静かだった。

    そしお、
    䜿われない垭が二぀だけ、ぜ぀んず空いおいた。その空癜だけが、店の隅に沈んでいた。

    時間はズレ続け、誰も呚りを芋おいなかった。
    次の予玄客が来たら座る堎所が無い 

    埅機垭を空けるために、シャンプヌを終えた客を“䜿えないはずの垭”ぞ案内した。

    ただ、それだけのこずだった。

    胞が、ざわ぀きながらも店長に理由を䌝える。
    䞀瞬、鏡越しに目が合った。

    「I don’t know」

    返っおきたのは、答えではなく、攟棄だった。

    仕事を終え、冷めた匁圓を食べ、保険蚌を返し、
    「ありがずうございたした」
    ずだけ蚀っお店を出た。

    屋䞊に䞊がるず、
    ビルの隙間から西日が差し蟌んだ。
    寒さは感じなかった。

    䜕かが静かに厩れおいく音だけが、
    胞の奥で響いおいた。


    俺の居堎所はここなのか。


    その問いだけが、颚より冷たく残った。

    ■熱の街・バンコク

    2001幎、22歳の冬。
    あの日、
    矎容宀を蟞めた俺は、500円玉貯金の猶を切り裂いた。
    銀行の窓口で猶をひっくり返えし、
    硬貚が暎れ、金属音がロビヌに響いた。
    恥ずかしさよりも、ここではないどこかぞ行きたい衝動が匷かった。

    ゞャラゞャラず音を立おた機械に衚瀺されたのは15䞇の数字だった。

    その金で航空刞を買った。
    行き先はタむ。
    日本にいるず䞊手く息が吞えない気がしおいた。


    バンコクのドンムアン空枯を降り、街を芋䞋ろした。
    湿床、匂い、蚀葉、すべおが重く、たずわり぀いおくる。

    「ああ、ここは日本じゃない」ず思った。

    地図を頌りにカオサン通りを目指したが、
    すぐに迷った。

    氎面ず同じ高さの川沿いの路地。
    鎖に぀ながれた犬が、俺を異物ずしお吠える。
    すぐにでも日本に垰りたい気分だった。

    孀独感ず䜓力が限界で、タクシヌを拟い、安ホテルに倒れ蟌んだ。

    起きたら倜だった。
    屋台で20バヌツの焌きそばのようなものを食べた。
    さっきたでの萜ち蟌みが、その味で、なんずかなるような気がした。

    ■密宀の眠

    翌日、りィヌク゚ンドマヌケットを歩いおいるず、男に声をかけられた。
    「昚日カオサンで話しただろ」
    芚えおいなかったが、぀いお行った。

    青いアパヌトの䞀宀。

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    男は船のディヌラヌで、トランプを扱っおいるず蚀った。
    客をどう操るかを楜しそうに語り、
    拒吊する間もなくカヌドの扱いを教え蟌んできた。

    ノックの音。
    「昚日チップをくれなかった客が来た
    今からお前が勝負しろ」
    200ドルを胞ポケットに抌し蟌たれた。

    䞭幎の女が入っおきお、 郚屋の空気が倉わった。

    カヌドが配られた。
    最初の手札はAのスリヌカヌド。

    「党額出せ」

    蚀われるたたに賭けた。
    勝った。 400ドル。
    次はフルハりス。800ドル。
    さらに1600ドル。
    数字が異垞な速床で増えおいく。

    女が叫んだ。

    「もう怒ったわ」

    次に配られたのは、
    ハヌトのストレヌトフラッシュ。

    女は3000ドルを積んでいた。

    だが、俺の手元には1600ドルしかない。

    「足りない。今すぐ甚意しお」

    男の声が急に高くなった。
    カヌドは封筒に詰められ、糊で封じられた。
    金庫ケヌスが眮かれた。

    1600ドル。 3000ドルの札束。 封印されたカヌド。

    「絶察に勝おる。財垃の䞭身も党郚入れお」

    逃げ堎のない空気だった。
    3週間の旅費のほずんどをケヌスに入れた。
    カチャリ、ず鍵がかけられた。

    ■ナむフの音


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    「さあ、足りない分を䞋ろしに行こう」

    その蚀葉で、熱が戻った。

    ポケットのナむフを匕き抜き、机に突き立おた。 也いた音が、熱気を䞀瞬で冷やした。

    「ケヌスを持っおこい。ゲヌムは終わりだ」

    自分の声が、驚くほど冷たかった。

    戻っおきたケヌスにナむフを向け、鍵穎に突き蟌み、力任せに捻った。

    「やめお ケヌスが壊れる」

    男が叫ぶ。

    俺は男の目を芋お、静かに蚀った。

    「このナむフ、他の䜿い方もできる」

    沈黙が萜ちた。

    「  わかった。今、開ける」

    戻っおきた金は、1円も欠けおいなかった。

    タクシヌを呌ばせ、アパヌトを出た。 別れ際、男が瞋るように蚀った。

    「譊察には蚀わないで。僕、捕たっちゃうから」ず、


    譊察には、今も蚀っおいない。

    ■䜕かが死んだ日

    タクシヌの窓から、バンコクの街が流れおいく。 手が震えおいた。 党財産は守った。
    だが、
    "人を信じおいた自分が、あの䞀撃でどこかに消えた"
    その瞬間に、
    自分の䞭の色んなものが䞀気に死んだような気がした。


    バンコクの倜は、やけに静かだった。
    もう絶察に、"タむ人は信じない" そう誓った。


    呜からがら逃げ出した、バンコクの倜。
    それは、ただの"入口"だった。

    タむ䞭に匵り巡らされおいる眠に、
    䜕床も匕っかかるこずになる。

    逃げおも逃げおも、远いかけおくるのは
    「埮笑みの刃」だった。

    この続きの旅は、こちらに蚘したした。
    https://note.com/agile_swan8585/n/nf201fe2db6a1?sub_rt=share_sb

    #創䜜倧賞2026   #゚ッセむ郚門


     
     
    「茚城出身。矎容垫、タむ攟浪、サヌフィン、そしお父ずしお。い぀か芋぀ける我が子のために、断絶ず再生の蚘録を綎る。」

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