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一人でも平気な僕だが、二人が良いのか、も?


    痛って!


    夕食の食器を洗っていた僕の小指から血が流れてきた。

    え、なんで?

    流しの洗い物の中に果物ナイフが刃を上にして置いてある。


    これだ。


    僕は、数年前から主夫。
    家事の記事を書くたびに説明を入れなくてはならないのも面倒だが、激務だった営業を早めに卒業して、質素に暮らしている。

    GW初日の夕飯を終え、
    奥様の食べた食器類も下げた。

    リビングの低いテーブルを拭いて、
    さぁ、洗い物タイム。

    僕は洗い物のルーチンがあって、カトラリーから洗いはじめるのだ。

    箸類を拾い上げようとしたその時、なんだかチクリとした。

    「ん?」

    少しの間ジャブジャブ洗っていたが、お皿に点々と何かしずくが落ちてきた。

    左手を見ると、小指から血が伝ってぽたぽた皿に落ちる。

    流しを確認すると、スプーンの置いてあったところに果物ナイフが刃を上に向けて立っていた。

    なんで?

    「あ~指切っちゃった~。」

    僕が流しで声をあげると、
    妻はリビングで永瀬廉の動画を観ている。

    「どうも~キンプリで~っす。」

    さすがにムッとした。

    僕は、安全の為、刃物の類は使い終わったらすぐ洗って片づける。
    この果物ナイフは、妻が出したものだ。

    そういえばさっき、洗い物をする前にクッキー生地で挟まれたバニラアイスを半分僕にくれたっけ。

    僕がテーブル拭いていた時にアイスを切って、
    ナイフをぽ~んと流しに投げたのだ。

    それを僕が気づけずにやってしまったのだ。

    僕が悪いのか。

    「どはははは。」
    妻がすぐそこで永瀬廉のアーカイブを見てリラックスして笑っている。

    「指切れた~」
    僕は助けを呼ぶように声をかけた。

    「どははは。」

    「血~出た~なんか無い? カットバンとかさ。」

    妻は僕の方をのっそり見た。

    【妻の優先度メーター】
    僕の怪我 < 永瀬廉

    血が落ちてる。

    【妻の優先度メーター】
    僕の怪我 ≦ 永瀬廉

    「なに、血~出てんじゃん、なんかで止めたら。」

    「いや、左の小指だから、助けてくんねぇ?」

    「は~っ」
    妻がためいきをついた。

    正直、カットバンでふさぐより少し深く切っていた。

    すると、妻がのそのそ、薬箱をあさってカットバンを僕に差し出す。

    「いや、あのね、貼ってもらったら助かるかなぁ。」

    【妻の優先度メーター】
    僕の怪我 ≧ 永瀬廉

    傷を見た妻は少し厳しい顔をした。
    「ダメだねぇ、ぼ~っと皿洗ってたんじゃない。」

    なんか、腑に落ちないが、僕では上手く貼れそうにないので、カットバンを貼ってもらった。
    (……そのカットバン小さくね?)

    久しぶりにムッとしたが、怪我したときには妻が居てくれると助かる。

    その原因は妻のような気もしたり、しなかったり……モヤモヤするが。

    自分がバリバリ働いていたころ、
    家でふんぞり返りはしてなかったけど、

    こういう小さなイライラは妻にもあったんだろうなと、そういう風に考えたりもして、怒るのを辞めた。


     
     
    『カペリンの奇跡』というガンダム二次創作小説、65話で完結。『岩手物語』オリジナル小説スタートしました。小説は週二回アップできるかなぁ。エッセイは不定期です。 よろしくお願いします。

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