メインコンテンツへスキップ
見出し画像
Photo bynanjyoushi_zaka

魔法のハピバ

    来年は母親の七回忌である。
    とかくこの国は故人を大切にする反面、意外と誕生日は忘れがちな気がする。
    私はなるだけ覚えるようにはしてる、特に後輩のは。

    私が幼かった頃、小学生くらいまでは誕生会をやってくれてた。
    友達を呼んでささやかなパーティーを催したり、友達に呼ばれたり。
    中学生になると、誕生日を祝ってくれるのは家族だけになる。
    高校生になると誕生日イベントは恋人同士のものな気がして、親からの祝いがちょっぴりうっとおしくなる。

    そんな18歳になる誕生日、私はスーパー「LIFE」でアルバイトをしていた。
    そこの社員さんに、何気ない雑談の中でその日が誕生日ということを言ってしまった。
    社員さんは何気なく受け答えしてくれたが、バイトが終わり、
    「お疲れさまでーす」と帰ろうとすると。
    「ほい、誕生日やろ。おめでとう」
    と、LIFEに入ってた不二家でケーキを買ってくれた。
    この数年ぶりに他人から祝ってもらえたのが、泣きそうなほど嬉しかったのを覚えてる。
    こんなことがあって以来、ささやかでも後輩の誕生日は祝うことにしてるが。
    ささやかなだけに、「誕生日おめでとう」と言うのが、行為と釣り合わない。
    そんな折、私の50歳の誕生日の朝の出来事。長女が起きぬけの開口一番「パパ、ハピバ」と放ってみせた。

    「ハピバ」

    なんてライトでポップでささやかな祝福の言葉だろう。

    「ちょっと一言だけ言わせてもろてええかな…ハピバ」
    とおどけた感じで小さなお菓子を渡すと、年齢とワードのギャップでたいへん喜んでもらえる。
    略して崩して原形さえ理解できない若者の言葉だが、「ハピバ」はポップに祝える魔法の言葉と学んだ気がした。

    この記事が参加している募集

     
     
    閲覧いただきありがとうございます。 いつか「麒麟です」の温度感で「詩人です」と名乗れるように修行中です。 日常に落ちてる感情を救い上げたり、眠れない夜に生まれた妄想フィクションを元に書いてます。 忙しい夜に、少し立ち止まれる言葉があれば幸いです。 気に入ったらまた覗いてください。

    あなたへのおすすめ