第5話:本当だった64歳11ヶ月説「辞め時」と「お金」のリアルな話
「定年を迎えたら、いつ仕事を卒業するのが一番お得なの?」 再雇用で働きながら、そんな疑問を抱えている方は多いはず。巷では「64歳11ヶ月で辞めるのが最強説」なんていうのもよく耳にしますよね。
実は私も、1歳上の柔道部の先輩からそんな話を薄らとは聞いていました。今年の4月で65歳になる私。昨年末あたりから「さて、本当のところはどうなの?」と腰を据えて調べてみたところ、私にとっての「正解」が見えてきました。
「時給最低賃金」で、あなたの魂は売れますか?
定年後の再雇用にあたって会社から提示された条件は「時給最低賃金」での雇用継続でした。
ふと自分に問いかけました。 「スキーやゴルフを楽しんでいる時も、会社やお客様から電話がかかってくる。そんな責任ある仕事を、最低賃金で続けたいだろうか?」答えは、「No」でした。 話し合いの結果、条件が合わず、最終的に「会社都合(特定受給資格者)」での退職としていただきました。
実は、この「会社都合」こそが、大きな恩恵を受ける鍵だったのです。
64歳と65歳、求職者給付金(失業手当)の「100日分」の差、ここが一番のポイントです。
64歳(11ヶ月)までに辞めるメリット: 私のように3年以上勤務(かつ被保険者期間が5年以上)していれば、会社都合の場合、150日分の「基本手当」がもらえます(20年以上なら240日!)
65歳になってから辞める場合: 「高年齢求職者給付金」という一時金に切り替わり、もらえるのは最大でも50日分だけになります。
さらに、「64歳(の誕生日前日より前)に退職し、65歳になってからハローワークへ行く」と、基本手当を受け取りながら、老齢年金も満額受け取ることができる「併給」が可能になります。私の場合、離職票が来たのが図らずも誕生日後でしたので、今後年金も満額申請する予定です。
高すぎる「健康保険」の救世主
退職後に頭を悩ませるのが高い国民健康保険料です。 通常、任意継続をすると保険料はこれまでの2倍(全額自己負担)になります。しかし、会社都合(特定受給資格者)で辞めた場合、国民健康保険の「法定減免」が7割もされます。
私の場合、算定所得から計算すると本来は年間約32万円の保険料でしたが、この減免(所得を3割として計算)のおかげで、約13.7万円まで下がりました!この軽減措置は、離職日の翌日の属する月から、その翌年度末まで最大2年間適用されます。ただ、福利厚生が整っている社保であったり、扶養者がいる場合はよく考えた方が良いです。国保には扶養の概念がありません。
最後に:あなたの「辞め方」は自分で選べる
「自己都合で辞めてしまった」と諦めるのはまだ早いです。 パワハラや介護、残業過多など、やむを得ない事情がある場合は、ハローワークの判断で「特定理由離職者」や「特定受給資格者」と認定され、給付日数が増えたり待機期間が短縮されたりするケースもあります。
定年後は「やりたいことを全部やる」ための大切な黄金期。 そのためにも、制度を賢く味方につけて、心も懐も余裕を持って次の一歩を踏み出したいものですね。

【引用リファレンス】
今回の内容の根拠となる公的機関の情報です。
基本手当の所定給付日数(会社都合) 離職日の年齢が45歳以上65歳未満で、被保険者期間が5年以上10年未満の場合、給付日数は150日となります。
65歳以降の失業保険(高年齢求職者給付金) 65歳以上の離職者は「高年齢被保険者」となり、一時金として30日分または50日分が支給されます。
年金と失業保険の併給(65歳以降) 65歳未満の「基本手当」受給中は年金が全額停止されますが、65歳以降は「老齢厚生年金」と「基本手当」のどちらも全額受け取ることができます。
日本年金機構:雇用保険の給付を受けるとき
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/tetsuduki/rourei/jukyu/20140716.html
国民健康保険の軽減制度(非自発的失業) 倒産・解雇などの理由(特定受給資格者)や、雇い止め(特定理由離職者)で離職した方は、所得を30/100とみなして保険料を計算する軽減措置があります。
厚生労働省:国民健康保険料の軽減制度について
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_21517.html