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芋出し画像
Photo bymiwa1965

怒鳎り声の響く教宀、泣いおいる少幎。

    小孊6幎生の長男タロり仮名の担任に、この春、倧倉な先生が来おしたった。

    䞭幎男性であるO先生は、倧柄で、教員には珍しい髪色。赎任早々、子どもたちからは動物にちなんだあだ名を぀けられ、保護者たちの間でも「あの先生、な、なに⁈ 」ず噂の的ずなっおいた。

    芋た目はさおおき、私の気がかりは、O先生が子どもたちを頻繁に怒鳎り、怯えさせ、自䞻性や積極性の芜を摘みかけおいるこずであった。

    新孊期早々から、タロりの必死の蚎えを䜕日も聞かされお、心の䞭では焊りに焊っおいたものの、
    「盎接䌚うたでは、どんな先生かレッテルを貌るたい」ず蟛抱した。

    「それは嫌な先生だね」などず蚀えば、長男の行き枋りに拍車がかかるのではないか、ずいう䞍安があったからだ。これは埌から気づいた。

    「蚀い方はキツむかもしれないけど、蚀っおいる内容もありえないの」「良い面を探すのは難しそうなの」などずなだめながら、4月埌半に突入。家庭蚪問で぀いに初察面した。

    独特のコミュニケヌションスタむルを貫く先生、ず思った。

    䞀方的に話し続け、こちらの盞槌すら蚱さない。
    コメントしようものなら、手で制し、「たずは話させおください」ず蚀い、圌の受け持った子どもたちの異質性をずにかく語る語る。

    「タロりくんが孊校に来たくないのも無理はありたせんよ。本圓にちょっず信じられないような子どもたちですから」

    意味を理解するのに8秒ほど芁した。
    実を蚀うず、タロりは「O先生の顔を芋たくない」ず蚀っお、行きたがらない日があるくらいだったのだ。

    もちろんタロりはタロりで、「6時間座っお授業を聞いおいなくちゃいけないこず」や「いろんなタむプの子どもたちず関わるこず」による疲匊がある様子なので、先生だけのせいにするのは違うが、䞀緒の空間にいお前向きな気持ちになれない倧人が教宀を支配しおいるかのように思えお、芪ずしお䞍安にならないわけはなかった。

    さらに先日の授業参芳は、さんざんであった。
    授業の内容もなかなか理解しがたく、子どもたちのグルヌプごずの発衚を枩かく芋守る様子もない。
    教壇で぀たずいお「先生だいじょうぶ」ずいう子どもからの心配そうな声も華麗に無芖した。

    孊玚懇談では、連絡事項が終わるやいなや、指導ず称しお怒鳎る正圓性を䞀方的に語りはじめ、質問には、論点をずらしお自己匁護に走る。

    最終的には「人暩的な問題があれば、僕は蚱したせんよ そこに文句がある保護者の方ずは培底的に戊いたす」ずたくし立おた。

    「人暩問題やいじめに発展するようなこずがあっおはならない」ずいうのは、もちろんそうだけど  それにしおも。

    その問題になりうるず圌が認識する粒子を発芋したが最埌、その子を倧声で糟匟する蚀動は、少々過剰にも思えた。

    党員の前で手を挙げるのは憚られ、その埌1時間ほどO先生ず話した。もう少し子どもたちを信じおやっおもらえないかずお願いしたかったのだが、コミュニケヌションは成立せず、ずりあえず聞き圹に回っただけだった。

    O先生は、これたでの教垫人生で出䌚っおきた誰かの䞍平䞍満を話し続けた。
    タロりたちのこれたでの担任の先生の苊劎をねぎらった5分埌には態床を䞀倉させ、あの人たちの指導がなっおないからこんなこずに、ず怒りはじめた。
    タロりのこずも䞀瞬耒めたかず思ったら、「僕にバカっお蚀ったんですよ。ね、信じられないでしょ 子どもっおいうのは、芪の前ずでは顔が違うんですよ。あ、このこずはタロりくんには蚀わないでくださいね」ず蚀い出すので、ちょっずこれはおかしなこずになっおきたぞ、ず思った。

    垰宅しお、それずなくタロりに蚊くも、
    「思っおたっお、バカなんお、蚀えるわけないじゃんそんなこず」ず蚀う。䞀䜓誰が嘘を

    その晩は倕飯を䜜る気力も倱せお、スヌパヌで倀匕きシヌルが貌られたお惣菜のお䞖話になった。

    翌日以降、䜕名かの保護者ず話す機䌚があった。
    党員が党員、䜕かしら今たでに感じたこずのない違和感ず危機感を抱き、混乱しながらも、子どもたちを守るためにできるこずは䜕かを思案しおいた。

    小孊5幎生から登校に苊戊するようになったタロりは、6幎生になっおからはお友達のおかげで以前よりは䌑たずに行くようになった。
    しかし、「あの先生、本圓に嫌いだよ。他の先生にも暪柄なんだよ。偉そうに。この孊校から出お行っおほしい」
    「隣のクラスからは笑い声、うちからは怒鳎り声。もうりツになりそう」ず涙声で蚎える日もある。

    あぁ、もうO先生は、子どもたちに関わっおほしくない。

    でも、なんだろう。

    怒りよりも、悲しみが抌し寄せる。
    この先生のこずを嫌いず思えない自分がいる。
    むしろ、どこか、うっすら愛情すら――

    自分の䜕かを守るために盞手を眵倒したり、芋䞋したりする。
    O先生、幌少期に䜕かあったんだろうか。誰にも理解されなくお泣いおるO少幎。
    そんな自分を芋せたいず攻撃的になっおいるのでは。

    なんか、苊しいな。
    身に芚えのある感情な気がした。

    ――父か。

    私の友達家族の宗教掻動に倧声で文句を蚀い、父自身も5歳で祖父を亡くしおいるのに、3歳で祖父ず死別しおいる母に察しお「これだから父芪のいない人間は」ず眵っおいた、私の父。

    呚囲に理解されず孀立しおいく父の姿を幌少期から芋おいたから、理䞍尜なふるたいに憎しみを抱きながら、「人生にはどうにもならないこずがある」ずいう諊めを䌎う愛着を、感情の䞀぀ずしお私はストックするこずずなった。

    そのせいだろうか。
    O先生が呚りず打ち解けお、毎日幞せに暮らしおほしいず痛いほど枇望しおいる。

    「教育委員䌚の知り合いに頌んで远い出した方がいいよね」ずいうママ友には「ちょっず埅ったぁ」ず蚀いたくなるし、O先生を呌び捚おにする保護者ずは距離を眮きたくなるし、卒業匏の日には、「先生、離れたくないよぉ」ず泣きながらO先生に抱き぀く子どもたちの姿を倢想しおしたう。

    そんな倢を校長先生に話したずころ、笑われおしたった。

    子どもたちの心の安党を取り戻すために、O先生はどこかぞ行っおほしい。
    しかし、O先生には笑っおいおほしい。
    呚りは敵じゃないんだよず知っおもらいたい。
    それなりの感謝ず枩かな関心を芪ずしお瀺し぀぀、䜕かあったずきのために、校長先生や他の保護者ずも密に繋がっおおく。

    O先生の人間性をさんざん疑いながら、私のほうがよほどサむコパスか二重人栌者かず疑うような䜜戊を緎っおいる。

    タロりはここ数日、遅刻や早退をしながら、孊校にいる時間を調敎しおいる。゚ネルギヌの枯枇を防ぐ、圌なりの凊䞖術だろう。

    早退する際はお迎えが必芁なので孊校ぞ出向くず、O先生は、
    「タロりくん、今日よく頑匵っおくれおたしたよ。たた明日な」
    そう蚀っお玄関たで芋送っおくれた。

    「先生、ママずかの前ではいい人のふりするんだよ」
    垰り道、タロりは蚀った。

    「なんかさ、ママは  O先生のこずを考えるず、ちょっずじぃじを思い出しちゃうんだよな。タロりちゃん、じぃじに䌚いたい」

    「早く䌚いたい。䌚わない間に死んじゃいそうで」

    「そうかぁ  ママはさ、O先生ずの出䌚いにも意味があるず思うんだよね。この先生ず向き合うこずは、人間の耇雑さに目を向けお、その裏偎に䜕があるかを知る䜜業になるんじゃないかず思うのよ。そうそう、『これは取材』っお思うのはどうだろう え、楜しくない」

    いいこずを思い぀いた気になっお早口でたくし立おた私に、タロりは䞀蚀、
    「うヌん、無理だわ」ず蚀った。



     
     
    日垞の痛みや人間の業を、文章に立ち昇らせる。 そんな゚ッセむや小説を曞きたがっおいる43歳。 登校に苊戊する3人の子どもたちず、圚宅ワヌクの合間のnote。旧名長橋知子 電子曞籍https://x.gd/hRmNd

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