
言葉になる前の声|第3回
仮のまま、透明
早く決めたほうがいい。
早く形にしたほうがいい。
早く答えを出したほうがいい。
そう言われているわけではないのに、
なぜか私たちは、
いつも少し急いでいます。
何者なのか。
何が好きなのか。
何を選ぶのか。
どこへ向かうのか。
ちゃんと決まっていないと、
自分だけが遅れているような気がしてしまう。
けれど、
まだ仮のままでいる時間にも、
ちゃんと意味はあると思います。
仮の言葉。
仮の気持ち。
仮の未来。
それらは、いい加減なものではなく、
まだ壊さないように持っている途中のものです。
透明でいることは、
空っぽでいることとは違います。
まだ色を決めていないだけ。
まだ誰かの言葉で塗りつぶされていないだけ。
まだ、自分の中で何かが育っている途中なだけ。
人と比べると、
輪郭が薄くなったように感じる日があります。
あの人はもう進んでいる。
あの人はもう選んでいる。
あの人はもう形になっている。
そう見えるたびに、
自分の未完成さが、少し苦しくなる。
でも、完成していないからこそ、
まだ変われる余白があります。
決めていないからこそ、
見える道があります。
透明なままの時間は、
何もしていない時間ではありません。
次の色を待っている時間です。
自分の声が、自分の中で少しずつ濃くなるのを待っている時間です。
この回の歌は、
まだ何者でもない自分を、
責めないための歌です。
急がなくていい。
決めきれなくてもいい。
仮のまま、透明なまま、
それでもちゃんと、ここにいる。
楽曲歌詞
タイトル:仮のまま、透明
早く決めたほうがいい。
早く形にしたほうがいい。
そう言われているわけじゃないのに、
なぜかいつも、
少しだけ急いでしまう。
何者なのか。
どこへ向かうのか。
何を選べば、自分らしいのか。
まだ分からないままの私を、
置いていかないでいたい。
まだ名前のないまま
揺れている
いつか形になるのを
待てずに
誰かの色に
合わせそうになって
自分の輪郭が
少し薄くなる
正しさよりも
消えない違和感を
今日はまだ
ここに置いておく
急がなくても
消えたりしない
私の中で
まだ光っている
仮のままでいい
透明なままでいい
まだ答えにならない私を
急がせなくていい
空っぽじゃない
選ぶ前の光
何も決めない強さを
そっと抱いている
君が選んだ道を
まぶしいと思った夜
比べるたびに
声が遠くなった
でも薄いからこそ
風の向きに気づけた
まだ白い余白に
明日が入ってくる
完成しないことを
負けだと思わないで
透明な時間にも
ちゃんと温度がある
誰かの答えで
埋めなくていい
私の声は
遅れて届くから
仮のままでいい
透明なままでいい
まだ名前のない願いを
捨てなくてもいい
消えたんじゃない
見えにくいだけ
色になる前の私を
今日は信じてみる
早くなくていい
強くなくていい
誰かの言葉で
決めなくていい
迷っていることも
止まっていることも
私が私を
探している証
仮のままでいい
透明なままでいい
まだ答えにならない私を
抱きしめてもいい
空っぽじゃない
始まる前の光
何も決めない静けさを
そっと守っている
仮のままでいい
透明なままでいい
まだ言葉にならない夢を
急がせなくていい
このままでも
途中のままでも
色になる前の私が
ここで息をしている
透明なのは、
何もないからじゃない。
まだ、
誰かの色で
塗りつぶされていないだけ。
今日だけは、
この静けさを
守ってみる。