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花びら|シロクマ文芸部

    花びらを好きだといった人が居た。
    花ではなく、花びらが、と彼女は言った。

    「花びらは私たちなのよ。一枚では花にはならない」

    出来上がった花ではなくて、何かの途中の花びらだから好きなのだと。

    私にはよく分からなかった。

    でも、それから花を見るとき、花びらを数えるようになった。
    一枚一枚が、まだ何かの途中なのだと思いながら。

    彼女とはもう会っていない。

    季節の風が花びらを運んでくる。
    それはかつてはひとつであったものだろうか。
    できあがる前に散った、途中のものたちだろうか。

    私はそれを見るたびに、彼女のことを思い出す。
    名前も連絡先も、風がどこかへ運んでいってしまったけれど





    小牧幸助さんのシロクマ文芸部に参加します。



    #シロクマ文芸部 #花びら #桜 #春 #記憶 #別れ
    #ショートショート #創作 #創作小説 #詩 #名前のない物語 #余韻

     
     
     
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