
北海道立三岸好太郎美術館 -「蝶と貝殻」に至る作品の変遷
花粉から逃れて札幌にやってきた、その滞在の記録。
北大から、三岸好太郎美術館へ。
作風の変遷
まず興味深かったのは、三岸好太郎の作品の変遷。

流行や時代の変化を捉えて、いろいろな手法を自分のものにしていった、そんな変遷がうかがえた。

作品たちとともに、その変化の旅を追体験してきたわけだけど、主に札幌を描いたこれらの風景画のところで、なんとなく作風の方向性が見えてきたように感じられた。







「ひっかき」という手法
解説文を読んでいて、これも興味深かったのは、娘が幼稚園で習った、ひっかきという手法を自分の作品に取り入れたというエピソードだ。
思い起こすと、わたしも、かすかな記憶の彼方で、そんなことを習ったような気がする。画用紙にクレパスでいろいろな色を厚く厚く塗って、そこに、楊枝のようなもので描くというあそびだ。
画家の手にかかると、そんな子供のあそびが、ひとつの手法として昇華される。
たとえばこの作品。


指揮者のタクト、楽団員の動きが描かれる。まるで音楽が流れているようだった。

こちらの、金魚を描いた作品も同じ。

二面性の興味深さ
この『オーケストラ』は代表作なわけだが、展示方法に興味をおぼえた。
片方の面には、この作品が展示され、

背後に回り込めば、禍々しいこの作品が現れる。

「悪童」と呼ばれることをよしとした作家の、多面性を示したのだろうか。たんなる思い付きでなく、なんだか意味が感じられた。
筆彩素描集『蝶と貝殻』へ
展示は終盤へと向かう。



筆彩素描集『蝶と貝殻』と、そこに収められた作品たち。







このあたりは、今回の展覧会のテーマ、美術史家・外山卯三郎との交流の、クライマックスでもある。


できるだけ読みやすく加工、トリミングしたのが下の画像。

代表作『飛ぶ蝶』へ
やっぱり、この作品にはオーラが感じられた。


ピンで留められた蝶たちのうち、一羽がひらひらと舞っていく。

そしてそのイマジネーションの源泉は、詩にあるようだ。



小さな美術館の、小さな展示。

そっと心に入り込んできた。

近代美術館との共通券を買っていた。
次回は、その話を。
先に書いておくと、こちらもまた、素晴らしい出逢いとなった。
