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シン・モモタロウ(1話バッドエンド型タイムリープにしたら、鬼退治の意味がひっくり返った)

    どもども、柴犬アンやで。

    今日はな、物語の1話で読者をどっぷり沈める方法について、前足で床をカリカリしながら考えてたんよ。

    タイムリープものって
    もうたくさんあるやん

    主人公が死ぬ。

    仲間が死ぬ。

    世界が滅ぶ。

    そして過去へ戻る。

    今度こそやり直す。

    これは強い。

    そら強い。

    読者は最初から、

    この未来を変えてくれ。

    この子たちを救ってくれ。

    そう思いながら読むからや。

    でもな、アンは思ったんよ。

    ただのバッドエンドからの
    タイムリープやと
    もう読者は慣れて
    きてるんちゃうかって

    死んだ。

    戻った。

    今度こそ勝つ。

    この流れだけやと、王道ではあるけど、読者の心を1話で底まで沈めるには、もう少し牙がいる。

    いや、柴犬やから牙というより、奥歯でじわじわ噛む感じやな。

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    そこで考えたのが、

    1話バッドエンドからの
    タイムリープの進化系

    やねん。

    普通のタイムリープは、

    負けたから戻る物語

    になりやすい。

    でも、もっと強くするなら、

    勝ったせいで世界を
    壊した主人公が
    勝利条件そのものを疑う物語

    にする。

    ここが大事やと思う。

    たとえば普通の型はこう。

    最終決戦。
    仲間が死ぬ。
    主人公が負ける。
    世界が滅ぶ。
    主人公が死ぬ。
    過去へ戻る。
    今度こそ勝つ。

    これは分かりやすい。

    でも進化型は違う。

    最終決戦。

    仲間が一部死ぬ。

    それでも主人公はラスボスを倒す。

    勝った。

    世界は救われた。

    死んだ仲間も、ザオリク(完全な蘇生)みたいな奇跡で蘇る。

    読者は思う。

    よかった。

    本当に戻ってきた。

    これで帰れる。

    でも、そこから落とす

    蘇った仲間が、少しずつおかしくなる。

    声は同じ。

    顔も同じ。

    記憶もある。

    でも、何かが違う。

    目の奥が暗い。

    笑い方が一拍ずれる。

    名前を呼ばれても、すぐ返事をしない。

    そして分かる。

    戻ってきたのは仲間やけど、仲間だけやない。

    闇も一緒に戻ってきた。

    ここでバッドエンド1
    仲間が闇堕ちする

    次に、仲間同士が殺し合う。

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    これはただの戦闘やない。

    ここが肝や。

    操られて暴れるだけやと弱い。

    本当に痛いのは、その子の中に元からあった小さな黒い気持ちが、闇に大きくされることやと思う。

    守りたい気持ちが、独占になる。

    認めてほしい気持ちが、嫉妬になる。

    空から全体を見ていた冷静さが、見下しになる。

    つまり、闇は外から入ってきた悪ではない。

    心のすみっこにあった小さな影が、いきなり大きくなる。

    だから怖い。

    だから悲しい。

    そして仲間は全員、もう一度死ぬ。

    しかも今度は、主人公のせいで死ぬ。

    主人公が蘇らせたから。

    主人公が奇跡にすがったから。

    主人公が「これで救える」と思ったから。

    ここでバッドエンド2
    仲間全員再死亡

    さらに、闇は仲間だけで止まらない。

    世界へ戻る。

    なぜか。

    ラスボスが、本当は世界中の闇のココロを吸収していた存在だったからや。

    ここがめちゃくちゃ大事。

    ラスボスは悪の発生源ではない。

    世界中の人間が持ちきれなかった怒り、嫉妬、憎しみ、悲しみ、嘘、欲、誰にも言えない黒い本音。

    それを全部吸い込んでいた。

    だからラスボスは残忍で、恐ろしくて、化け物みたいになっていた。

    でも、本当は世界の闇を1人で引き受けていた。

    怖い存在やけど、同時に世界のフタでもあった。

    そのラスボスを、主人公は正義のつもりで倒す。

    闇の塊を斬る。

    すると、闇は世界へ戻る。

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    人間に戻る。

    村に戻る。

    家族に戻る。

    仲間に戻る。

    みんなの心に戻る。

    だから世界が闇堕ちする
    ここでバッドエンド3

    世界崩壊。

    この構造の怖さは、ラスボスが強かったから負けたんやないところや。

    主人公は勝った。

    勝ったのに、世界を壊した。

    敵を倒したのに、闇をばらまいた。

    仲間を蘇らせたのに、仲間を2度殺した。

    つまり、主人公の正義が間違っていた。

    ここが読者に刺さる。

    普通の物語なら、読者はこう思う。

    次はもっと強くなれ。

    でもこの物語では、こう思う。

    次は勝ち方を変えろ。

    いや、そもそも勝つって何や。

    ラスボスを倒すことが、本当に勝利なんか。

    ここまで来たら、物語はただのタイムリープやなくなる。

    勝利条件崩壊型タイムリープ

    になる。

    アンはこの言葉、かなりしっくり来てる。

    勝利条件崩壊型タイムリープ。

    つまり、

    敵を倒せば救われる

    という前提が1話で壊れる物語やねん。

    そして、この型を
    桃太郎で考えると
    ものすごく分かりやすい

    桃太郎って、誰でも知ってる。

    桃から生まれる。
    おじいさんとおばあさんに育てられる。
    きびだんごを持って旅に出る。
    犬、猿、きじが仲間になる。
    鬼ヶ島へ行く。
    鬼を倒す。
    宝を持って帰る。
    めでたし、めでたし。

    でも、この「めでたし」を壊すとどうなるか。

    シン・モモタロウ
    百喪堕陋(モモモダロウ)

    鬼ヶ島で、犬、猿、きじが
    鬼に殺される

    桃太郎は勝つ。

    鬼を倒す。

    でも、犬も猿もきじも戻らない。

    桃太郎は袋の底に残ったきびだんごを握る。

    これで旅が始まった。

    これで仲間になった。

    だったら、これで戻ってきてくれ。

    そう願って、死んだ犬、猿、きじにきびだんごを食べさせる。

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    ここで、きびだんごの意味が反転する。

    原作では、仲間になるしるし。

    でも進化型では
    死者を呼び戻す禁じられた奇跡

    絆のしるしが、呪いの入口になる。

    犬が目を開ける。

    猿が咳き込む。

    きじが羽を震わせる。

    桃太郎は泣きそうになる。

    よかった。

    本当に戻ってきた。

    読者もここで安心する。

    でも、その安心を壊す。

    犬は桃太郎のにおいではなく、血のにおいを追う。

    猿はいつもの軽口ではなく、冷たい笑い方をする。

    きじは空へ飛ばず、じっと桃太郎の目を見る。

    そして犬が言う。

    「桃太郎さんを守れるのは、わしだけでええ」

    猿が言う。

    「いちばんええとこ持ってくのは、いつも桃太郎さんや」

    きじが言う。

    「仲間ごっこは楽しかったね」

    これは、ただの洗脳やない。

    3匹の中にあったものが
    黒くねじれて出てきている

    忠義が独占になる。

    知恵が嫉妬になる。

    空から見る目が冷たさになる。

    桃太郎は呼ぶ。

    犬。

    猿。

    きじ。

    戻れ。

    でも戻らない。

    3匹は桃太郎に襲いかかる。

    そして、やがて仲間同士でも殺し合いを始める。

    桃太郎は止めるしかない。

    斬るしかない。

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    でもこれは、正義の剣やない。

    別れの剣。

    救えなかった痛みの剣。

    桃太郎は
    鬼よりも大事な仲間を
    自分の手で斬る。

    ここで読者は沈む。

    鬼に殺されたことが悲劇やない。

    桃太郎が助けようとして蘇らせたこと。

    その優しさが仲間を闇へ戻したこと。

    最後は桃太郎自身が、仲間を斬らなければならなかったこと。

    ここが地獄なんよ。

    さらに、そのあと世界が壊れる。

    鬼は、ただの悪者ではなかった。

    鬼は、人間の闇を鬼ヶ島に集めて閉じ込めていた。

    人間の欲。

    怒り。

    恨み。

    見下し。

    奪いたい気持ち。

    誰かを責めたい気持ち。

    そういう黒いココロを、鬼が引き受けていた。

    だから鬼は恐ろしかった。

    だから鬼は残忍だった。

    でも同時に、鬼は世界の闇の袋でもあった。

    桃太郎はその袋を刀で切ってしまった。

    すると、闇は村へ戻る。

    人間へ戻る。

    おじいさんとおばあさんのいる家にも戻る。

    宝を喜ぶはずの村人たちが
    宝を奪い合う

    笑顔だった人たちが、疑い合う。

    やさしかった声が、とげになる。

    村そのものが鬼になる。

    桃太郎はそこで気づく。

    鬼を退治したんやない。

    人の闇を、村へ持ち帰ってしまったんや。

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    これは強い。

    昔話の正義が、ひっくり返るからや。

    そして桃太郎も死ぬ。

    世界が壊れて、桃太郎も死ぬ

    でも、そこで終わらない。

    次に目を開けると、桃太郎は桃の中にいる。

    過去へ戻った。

    まだおばあさんは桃を拾っていない。

    犬も、猿も、きじも死んでいない。

    鬼ヶ島にも行っていない。

    やり直せる。

    普通なら、ここで読者は安心する。

    よかった。

    戻れた。

    今度こそ救える。

    でも、それだけで終わったら弱い。

    1話のヒキとして強いのは、

    戻ったのに
    持ち帰ってはいけないもの
    まで持ち帰っている

    ことや。

    桃の中で、桃太郎は自分の額に固いものがあるのに気づく。

    小さなツノ。

    腕には、墨を水に落としたみたいな黒い模様がある。

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    胸の奥には、鬼の声が残っている。

    「やっと戻ったか。今度は、何を斬る」

    過去へ戻れた。

    でも、まっさらではない。

    前の地獄が、体に刻まれている。

    桃太郎は、鬼を倒した英雄として戻ったのではない。

    鬼のしるしを持った
    赤ん坊として生まれ直す

    ここがめちゃくちゃ強い。

    なぜなら、今度の桃太郎は「鬼は外の悪者」と言えなくなるからや。

    自分の頭にもツノがある。

    自分の体にも闇がある。

    つまり、鬼は向こう側にいるだけやない。

    自分の中にもある。

    人間の中にもある。

    世界の中にもある。

    この瞬間、桃太郎はただの鬼退治の主人公ではなくなる。

    人間と鬼のあいだに
    生まれ落ちた
    2周目の主人公になる

    1話の最後は、こういうヒキが強いと思う。

    おばあさんが桃を割る。

    中から赤ん坊が出てくる。

    でも、その赤ん坊の額には小さなツノがある。

    肩から腕には、黒い影のような模様がまとわりついている。

    おじいさんとおばあさんは息をのむ。

    「この子は、鬼の子かい」

    赤ん坊の桃太郎は泣く。

    その泣き声は、鬼ではない。

    ただの赤ん坊の声。

    でも桃太郎の心の中では、前の人生の犬、猿、きじの声が消えずに残っている。

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    そして、胸の奥で鬼の声が笑う。

    「それで、今度は
    誰に闇を背負わせる?」

    ここで1話終了。

    これは、かなりヒキが強い。

    読者は2話を読まずにいられない。

    桃太郎は人間なのか。

    鬼なのか。

    なぜツノが生えているのか。

    きびだんごはまた使えるのか。

    犬、猿、きじとは今度も仲間になるのか。

    鬼ヶ島へ行くのか。

    それとも、鬼が何を引き受けていたのかを知りに行くのか。

    そして何より、

    鬼を倒さずに
    世界の闇をどうするのか

    この問いが立つ。

    アンが思うに、1話バッドエンドからのタイムリープを進化させるなら、ただ主人公を死なせたら終わりではない。

    読者にこう思わせないといけない。

    戻れたのに、もう詰んでないか。

    ここやねん。

    過去へ戻った。

    仲間は生きている。

    世界も壊れていない。

    でも主人公の体には、未来の闇が残っている。

    胸の奥には、倒したはずのラスボスの声がする。

    目の前には、まだ悪者になる前の誰かが泣いている。

    これなら、読者はページを閉じられない。

    1話の役目は、ただ驚かせることやない。

    物語全体の問いを立てることや

    本当に倒すべきものは何か。

    闇は消せるのか。

    誰か1人に闇を背負わせない世界は作れるのか。

    勝利とは、敵を斬ることなのか。

    それとも、誰も怪物にしないことなのか。

    この問いが1話で立てば、読者はどっぷり沈む。

    桃太郎で言えば、

    鬼を退治して終わりな

    ではない。

    鬼を生まない世界を作れるか。

    これになる。

    犬、猿、きじを仲間にするだけではない。

    その子たちの闇も、弱さも、痛みも、ちゃんと見る物語になる。

    きびだんごを配って従わせるのではない。

    本当に一緒に歩くとは
    何かを問う物語になる

    桃から生まれためでたい子ではない。

    前の失敗と闇を体に刻んで戻ってきた子が、今度こそ誰も鬼にしない道を探す物語になる。

    アンは、こういう1話が読みたい。

    勝ったと思ったら壊れる。

    救えたと思ったら呪われる。

    戻れたと思ったら、もう闇がついてきている。

    それでも主人公が、次は剣だけではなく、心を見る。

    鬼を倒すためではなく
    鬼を生まないために旅へ出る

    この1話は、読者をどっぷり沈められると思う。

    そして最後に読者は、こう思うはずや。

    今度こそ、犬も猿もきじも死なせんといてくれ。

    今度こそ、きびだんごを呪いにせんといてくれ。

    今度こそ、桃太郎を鬼にも英雄にもせず、帰れる子にしてくれ。

    ここまで思わせたら、1話のヒキは勝ちやと思う。

    柴犬アン、前足で拍手や。

    パチパチ、肉球つきで。

     
     
    マニアを卓越して、柴犬変態を目指しています Shiba Inu novel / talking dog / Animal Fiction

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