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芋出し画像

私、透明人間なんかな。


    くっきりずした月が眩しかった。

    äž­å­Š3幎生の私はこっそりず玄関のドアを開ける。
    廊䞋の向こうには、こた぀で寝息を立おおいる母。

    気づかれないように。そっず。


    「ほんたに気づかぞんの」


    ドアノブを握ったたた振り返る。


    「私、ここにおるで」



    子どもの頃の私は、寂しかった。

    いや、違う。


    ご飯はちゃんずあったし、
    䌑みの日には4人で出かけおた。

    サンタさんも毎幎きた。


     なんやろな。
    私っお、なんなんやろ。


    ある日。
    暪では匟が寝息を立おおいる。

    「今日もかな」

    私はずっず倩井を芋䞊げおいた。

    「いい加枛にしお」
    「ほっずけ」


    「ほら、やっぱりね。」


    どこか冷静に、でも涙は流れた。

    静たった頃、
    私はリビングをそっず芗いた。

    揺れる母の背䞭。
    芋おられんかった。

    母は「ごめんね 」ず蚀いながら
    私を抱きしめた。

    倩井を芋䞊げなくなった頃、
    父が仕事に行っおる間に3人で家を出た。

    リュックの䞭はお菓子ず盞棒の人圢。

    がらんずした郚屋は、芋んかった。


    転校先の小孊校では
    自分の誕生䌚を開くのが流行っおいた。

    プレれントを甚意しお、その子の家に行く。
    たった”それだけ”が私にはできんかった。

    家に残されたプレれントず、私。

    包装玙を砎らんように
    そっず、銙り付きのペンを抜き取る。

    カサカサず揺れるプレれントは
    友達の元ぞ届いたり、届かなかったり。


    流れるように、
    母の財垃からお金を抜くようになった。

    「これくらいバレぞんやろ」


    やめる理由は、出おこんかった。


    䞭孊生になった頃、
    母は毎日21時ごろたで仕事をしおた。

    垰っおきた母は、
    倒れ蟌むように、こた぀ぞ入っおいく。

    私は、深倜に䜕回も抜け出した。

    怒られた蚘憶は 䞀切ない。


    疲れおきっおたもんな。
    うん、そうやんな。



     私っお、透明人間なんかな。


    授業の終わりを告げるチャむムがなる。

    「ありがずうございたした。」

    顔を䞊げる前に、私は教宀を出おトむレに向かう。

    ×5。

    私にずっおは、䞀番萜ち着く堎所やった。


    「鬌ごっこしよ〜」

    「今日の鬌はだヌヌヌれだ。」



    「 きゅヌう、じゅうっ」

    勢いよく振り返るず、
    静かな校庭に、1人残った鬌。


    私は急いで孊校から逃げ出しおいた。

    「次は私かもしれん」

    鬌になるのだけは、ごめんやった。


    反抗期真っ只䞭。
    私はギランバレヌ症候矀になった。

    思うように歩けなくなり、
    教宀の机が私の進路の邪魔をした。

    病名刀明ず同時に、即入院。

    母は廊䞋で、静かに泣いおいた。

    そしお私に蚀った。


    「ただ、生きおいおくれたらそれでいい」



     あれ嬉しかったっけな



    その堎では私の奥たで届かんかった。


    信じきれぞんかった。

    だっお私、透明人間やんな

    「生きおるだけでいい」なんお、
    そんな綺麗事、信じれるわけないやん。


    そしお私は、䜕事もなかったように孊校ぞ戻った。


    高校生になった。
    気づけば、私はバむト先にいた。

    バむトでは、名前を呌ばれる。

    「ありがずう」

    そう蚀われるだけで、
    なんか、めっちゃニダけた。

    シフトに入れば、ポゞションが甚意された。
    圹割があった。

    高校には、ポツンず垭があるだけやった。


    母は䜕回も先生に呌び出されおいた。

    でも、私ぞの「どうしたん」は䞀床もなかったな。

    先生からも。

    母からも。


    倧奜きな曲が挏れ聞こえる。

    掚しのコスプレをしお、
    䌚堎前でファン仲間ず話しおいた。

    「よかったら写真撮っおください」

    私は、満面の笑みで答える。

    「もちろん」

    カッシャッッ

    シャッタヌの音が鳎るたびに
    私の胞は高たった。

    掚しになりきっおポヌズをずる。
    心地よい感芚に溺れおいった。


    突然、掚しのバンドは解散した。


    衣装は党郚、今もゎミ袋の䞭で眠っおる。


    県倖の倧孊進孊の条件ずしお、
    あの父ず、暮らすこずになった。

    怒鳎り合い。
    干枉しない生掻。

    掗濯するタむミングさえ、
    駆け匕きやった。

    コンビニさえも遠く感じる。

    気づけば、座怅子に沈み蟌む毎日。


    お腹ず背䞭がくっ぀きそう。

    トヌスタヌにもたれかかる
    父の朝食甚の食パンを芋぀けた。

    6枚切りの超熟。


    翌日の1枚だけ残しお、
    あずはこっそり拝借する。

    お菓子代わりに
    いちごゞャムをスプヌンですくっお食べる。


    私は、食パンずゞャムで生きおいた。


    静かなキッチン。

    冷蔵庫をそっず開けるず、
    たたヌに、私の奜きなドヌナツが入っおた。

    父が遞んだ、ドヌナッツ。



     これ 盗んでるわけちゃうよな

    ドキドキしながら、私はそれを取り出した。


    黒いスヌツに、履き慣れないパンプス。

    《みんな同じ栌奜しおるやん。》

    満員電車に揺られながら
    皮肉なツむヌトを繰り返す。

    毎日同じようなコンビニ匁圓ず
    「意味がわかりたせん」が垞連の業務日誌。

    い぀しか私は垃団から出れなくなった。

    でも
    圹割も、ポゞションも、あの感芚も。
    私は手攟したくなかった。


    気づけば、スマホの光さえ眩しくお、
    文字を打぀こずも億劫になっおいった。


    あの頃ず違う。
    もうシャッタヌの音で胞は高鳎らなかった。

    ”玠”の私を芋おほしい。



    私は、ラむブハりスの最前列にいた。

    薄暗い空間で、1人リップを塗り盎す。


    スポットラむトが宙を舞う。

    ただ、ひずりを芋぀めおいた。
    䞀瞬も目を離さない。
    瞬きさえ、惜しかった。



    翌日、私は駅にいた。


    「昚日も最前にいおくれたね。」


    私は今日も、最前列にいた。


    毎週末、「おかえり」ず出迎えおくれる倫。
    テヌブルには、出来立おのご飯が䞊んでいた。

    突然、「公挔䞭止のお知らせ」で溢れた私のスマホ。

    海倖ドラマを2人で䞊んで芋る。
    空のお皿にポテチが流れ蟌む。
    私は、圓たり前にそれを食べる。

    あれ、これ、私のポテチや 。


    そしお家族が増えた。

    私は理想の母芪になりきっお育児をした。
    い぀しか、あたたかい感芚に溺れおいった。


    寝かし぀け前。
    0歳の息子を膝に乗せお、絵本を読む。

    犬のペヌゞになるず、
    嬉しそうに指をさした。

    「あヌ」

    小さな䜓ごず振り返り、
    䜕かを”私に”䌝えようずしおる。

    私を芋぀める、目がそこにはあった。


    䞭孊生の頃、母は私に蚀った。


    「ただ、生きおいおくれたらそれでいい」


    あの日、病院に眮いおきた蚀葉。

    今なら、あの蚀葉を
    迎えに行けそうな気がする。

     ただ、準備䞭やけど。


    名前を呌ばれる。
    写真を求められる。
    ドヌナッツがある。
    最前列にいる。
    ポテチがある。

    私を芋぀める。


    ずっず、透明人間やず思っおた。

    私はい぀でも、ここにいた。


     
     
    【noteクリ゚むタヌズ・アワヌド 最優秀賞受賞】 「私、透明人間なんかな。」 人生、揺れ続けおる。でも生きおる。倢もある。 そんな人生のキロク。 誰かに届けばいいな、なヌんお。

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