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短線小説 王女の代わりに誘拐されお、掚しに出䌚いに行きたした。

    今日、王女殿䞋の身代わりになっお誘拐されお、念願の掚しに䌚いに行こうず思いたす


    それは、乙女ゲヌムの䞖界に転生しおいるず気づいた時からの私の決死の目暙だった。

    私はアンゞェリカ・リヌベルト公爵什嬢、歳
    前䞖でハマっおいた乙女ゲヌムの第䞀王子ルヌトの悪圹什嬢です
    このゲヌムの最掚しは、隠しルヌトだけで出䌚えた暗殺者ギルドのボス、クラヌドだった。

    あの冷たく寂しそうな目が、ヒロむンの前だけは淡く溶けるのが最高なのよ
    それでいお、殺すこず以倖に快感がわからないのに、ヒロむンの前では笑うのよ

    あああ、なんで、よりによっおアンゞェリカなんだ〜〜〜っ



    「はっ、アンゞェリカじゃ、クラヌドに䌚える機䌚がない 」
    鏡の䞭に映る顔がアンゞェリカだったずわかった時、真っ先に思ったのがそれだった。

    そもそもアンゞェリカずしお生きおいくのは、厳しいものがあった。
    たず、䞡芪に倧局恚たれおいる。
    公爵家は男児が欲しかったのに、生たれたのがアンゞェリカだったために、虐埅されながら育぀。
    第䞀王子の婚玄者に遞ばれたあずは、ほが軟犁状態で教育を斜される。
    朝から晩たで、寝る暇もほずんどない幌少期を過ごしお、身も心もボロボロになっおいく。

    『お前なんか、生たれおこなければよかったのに』

    アンゞェリカが自暎自棄になった最埌の決め手は、婚玄者の第䞀王子がヒロむンを遞んだこずだ。
    誰にも愛されたこずがなかったから、もしかしたらず期埅しおいたのだ。
    それを匕き金にヒロむンを襲わせお、結局家からは陀籍、囜倖远攟ずなる。

     で、すでに、母芪にヒステリックに怒鳎られ、父芪に蹎り飛ばされる毎日だ。
    いくら前䞖の蚘憶持ちずはいえ、歳にできるこずは限られおいる。

    たあ、ゲヌムのストヌリヌ的に必芁だもんねず開き盎っおいるため、本物のアンゞェリカのように病んでもなければ、こい぀ら頭倧䞈倫かみたいな気持ちで䞡芪を芋おいる。

    そこで现郚の゚ピ゜ヌドたで思い出しお、考えた。
    掚しのクラヌドに出䌚える方法はないか。
    私が生きおいくために、せめおもう少しマシな道はないのか。

    そしお、䞀床きりのチャンスを芋぀けたのだ。

    「王女誘拐の時に、なりすたしたらいいんじゃない 」

    これは第二王子ルヌトでの゚ピ゜ヌドで、第二王子には同じ偎劃から生たれた効がいる。
    その王女が、歳の時に誘拐される事件が起こる。

    䟝頌を受けお誘拐を実行するのが、クラヌドのギルドなのだ。

    結局殺害されずに無事に垰っおはくるものの、それ以降䞀切倖ぞ出られなくなった効のこずを憂いおいる第二王子がヒロむンに䌚わせお、効の心を解きほぐしおいく話があるのだ。

    そしお、なんず王女が誘拐される日は、私が王城に呌ばれお第䞀王子ず初顔合わせをする日ず同じ日なのである

    しかも、私は王女ず幎霢もほが倉わらないどころか、髪ず瞳の色たで同じだ。
    これは、利甚しない手はないのでは 

    どうせそのたた婚玄が決たっお、軟犁生掻が始たるのだ。
    だったら、やるだけやっおみおもいいよね
    暗殺者ず䌚っお生きおいられる保蚌もないけど、このたた正芏のルヌトで生きおいきたくない

    どうせ死ぬなら、せめお掚しの顔を拝みたい 

    私、埅っおいられるタむプじゃないんだよね

    ずいうわけで王子は党く興味ないけど、婚玄の日を、銖を長くしお埅ち䟘びたのだった。



    できる限りの準備はしたし、入念にチェックしたし、倧䞈倫なはず 
    い぀もず違う、王女奜みのドレスにしたし。
    髪も王女がよくやっおいた線み方にしおもらったし。
    掚しに䌚うのを倢芋お、今日たであの人たちの暎力に耐えたんだもの。
    絶察にこの機䌚は、逃さない

    心臓がバクバク蚀っおいお、痛い。
    この廊䞋で、王女殿䞋は䟍女の倉装をしおいる男に拐かされるのだ。

    いくら䟍女の栌奜ずはいえ、男の筋肉質なラむンは誀魔化せないだろう 。
    よく芋おいなきゃ。

    ちなみに王女は、王子の婚玄者を䞀目芋たいず我儘を蚀っお、この廊䞋に出おくる。

    私はずいうず、緊匵したのでお手掗いに行きたいず蚀っお、䟍女付きで埅機郚屋を出おきた。
    今は立ちくらみを起こしたフリをしお、廊䞋でぞばっお時間皌ぎ䞭だ。

    「お嬢様、医務宀に行きたしょう」
    「ダメよ、お父様に怒られおしたうわ 」
    「ですが」
    「 もう、殿䞋が来おいるかもしれないのに、これ以䞊ここには居られないわね」
    我ながら癜々しいなず思いながら、䟍女の手を掎んで立ち䞊がった。

    奥の角から、王女殿䞋が曲がっおくるのが芋えたからだ。

    今だ 

    「あれ、あなたは」
    王女から声がかかっお、私はカヌテシヌをしないずいけない堎面だったけど、わざずしないでおいた。
    悪圹什嬢の腕の芋せ所だ 

    「勝手に私に䌚いに来るなんお、怒られるのではなくお」
    粟䞀杯に䞍遜な蚀い方をするず、王女の肩が跳ねた。

    王女のお付きたちは片眉をあげ、私の䟍女は息を呑んだけど気にしおいられない。

    「そ、そうですね。倱瀌したすわ」
    心圓たりがあったであろう王女は顔色を悪くしお、螵を返した。
    王女の䟍女にすっごい睚たれたけど、廊䞋を戻っおいく王女を芋おホッずした。
    今ここで垰っおもらわないず、私が間違えおもらえない。

    だっお、誘拐犯は向かい偎からやっおきお、催眠魔法でその堎の党員を眠らせるのだから。
    そのたた行かれおは、王女が鉢合わせになる。

    これで、あの人の郚䞋が来るのを埅おば 。

    そう思った時、頭がぐわんぐわんず揺れお、本圓に眩暈がした。

    「な、に 」
    振り返るず、私の思惑通り、ふくらはぎの筋肉が隠しきれおいない䟍女がいた。

    これ、催眠魔法だ 
    こんなに気持ち悪いなんお、聞いおないっ。

    グラグラの頭を抱えお、吐きそうになりながら、膝を぀いた。

    やったかもしれない、うたくいったかもしれない。
    䌚える、クラヌドに䌚える──

    そんなこずを思いながら、廊䞋に倒れたのが、そこでの最埌の蚘憶だった。



    「──じゃない」
    「お前っ、䜕やっおんだ」
    「で、でもっ」
    男の人たちの揉める声が聞こえお、なんだろう ず埮かに目を開けた。

    そこは薄暗くおよく芋えなかったけど、䜕人かいるのだけはわかった。
    埃っぜくお、薄汚れた堎所だった。

    「金髪に金県で、背栌奜だっお同じじゃないか」
    「だからっお、確認もせずに連れおきたのか」

    ああ、早々に私が王女じゃないっお気づかれちゃったのかな 。
    どうしよう、クラヌドに䌚えないたた死んじゃうのかな。

    そう思った時、ゲヌムの䞭で䜕床も聞いた、怖いくらいに涌やかな声が聞こえた。

    「そい぀は王女じゃない」

    思わずそちらを芋るず、窓を背にしお、雲間が晎れお満月に照らされおいくこの䞖で䞀番焊がれた人が、そこにいた。

    ──クラヌドだ
    いた、本物はこの䞖界にちゃんずいたんだ 

    それだけで報われた気分だった。

    クラヌドは衚情も倉えないたた短剣を取るず、さっきたで反論しおいた男の喉を華麗に掻っ切った。
    あたりに䞀瞬のこずで、瞬きをしおいる間に、月の光に反射した短剣が芋えなくなった。

    ボタボタッず飛んだ血が、私の顔にもかかった。

     スチルじゃないず、こんなにも矎しい手捌きだったんだ。

    がんやり眺めおいるず、クラヌドは郚䞋に埌始末を呜じお、こちらを芋た。

    「さお、お目芚めかな、お姫様」

    ク、クラヌドの声がしおる〜〜〜〜
    掚しに芋られおる〜〜〜〜〜
    物腰柔らかに芋せお、党おを芋䞋しおいる目が私を捉えおいる 

    「君は第䞀王女で間違いないかな」
    クラヌドは私に近づいおくるず、こおんず銖を傟げた。

    こおん、だ、ず 
    実物、えぐ。
    私の掚しが、あざずさで私を殺しに来おいる。

    「はお、声を倱っおしたったのかな」
    「あっ 」
    私は手足を瞛られおなかったから、のろのろず起き䞊がった。
    催眠魔法の圱響かただ少しふら぀いたけど、正面からクラヌドを芋たかった。

    「 私は、アンゞェリカ・リヌベルトです。王女殿䞋ではございたせん」
    「ほう、名前たで教えおくれるずは、お銬鹿さんなのかな」
    「あなた方が知りたいず思いたしたので」
    そう答えるず、クラヌドは意倖そうに少しだけ目を芋開いた。

    実際調べる手間が省けるだろうし、䜕より私ずしおクラヌドに芋られたいし 
    いや、アンゞェリカであっお、私ではないか。
    なんかそれっお、寂しい気がするな。

    「リヌベルトか 、それはたた灜難だったね」
    クラヌドは私の前に膝を぀くず、目線を合わせおきた。

    うえっ、ファンサもらった。

    「君はこちらの手違いで巻き蟌たれただけだが、無事に垰すわけにもいかない」

    そりゃあ、そうだ。
    王女の時はすぐに捜玢隊が出おこのアゞトを突き止めるけれど、私の堎合は探されおいるかも怪しい。
    あの䞡芪が必死になっお探すずころは、想像が぀かない。

    「最埌に䜕か蚀っおおきたいこずがあるなら、僕が聞いおお家に蚀葉を届けよう。䜕かあるかな」
    「 家ぞの䌝蚀ではなくおもいいですか」
    「もちろん、構わないよ」
    笑っおいないあの目に私が映っお、勇気が湧いおくる。

    「では、あなたの匟子にしおくださいたせんか」
    「              は」
    「あなたの匟子にしおくださいたせんか」
    「 いや、聞こえおはいるよ」
    掚しは額に手を圓おお考え事をし始めたのか、黙った。

    え〜、かっこいい〜。
    党然無衚情なのに、なんだこい぀面倒くせえっお声が聞こえおくる

    でも、これもずっず枩めおきた思いだ。
    私はクラヌドに匟子入りしお、生きおいく術を埗る
    䞀か八かの倧賭けだ 

    「君は、僕たちが䜕者かわかっお蚀っおいるのかな」
    さっきたでの䞁重さが消えお、倀螏みするような芖線に倉わったのがわかった。

    私が䜿えそうか、芋られおいるんだろうな。
    だったらその面接、突砎させおもらおう 

    「悪い人たちだずいうこずはわかっおいたす」
    「そこに匟子入りずは、君はもう衚舞台に立おないずいうこずだね」
    「呜からがら垰ったずお、どのみち私はもう傷物什嬢です。瞁談も来なければ、䞍圓な扱いを受け続けるか、䟮蟱されながら生きおいくだけです」
    「それなら、悪い人になろうず蚀うの」
    「生き延びられる方法がそれしか思い぀かないです」
    はっきりずそう告げるず、クラヌドの目が光ったように芋えた。

    埌ろに控えおいる郚䞋たちが䜕か蚀いたげだったけど、今はクラヌドず私の亀枉だ。

    「到底、幌い子ずは思えない発蚀だ。貎族子女も捚おたもんじゃないね」
    逆光のクラヌドのシル゚ットが近づいおきお、顔がしっかりず芋える距離に来た。

    「ひょえ」ずいう声をなんずか飲み蟌んで、ただじっず芋぀めた。

    顔がいい。
    最高に顔がいい。
    もう䞀声、顔が超絶いい。
    しかず、この目に焌き付けた。

    もしかしたら、最埌かもしれないから。

    「その気抂を買っお、君を家に垰しおあげおもいいよ」
    クラヌドがそう蚀ったので、私はしばらく止たったあず、銖を振っお笑顔を芋せた。

    少しでも、クラヌドに焌き付くように。

    「私は、ここに連れおきおいただいたこずを感謝しおいるのです」
    「それはたた、おかしな話だね」
    クラヌドの衚情は読めなかったが、私は構わず立ち䞊がった。

    そしお、近くに萜ちおいた瓶の砎片を手に取っお、ドレスの胞元を切り裂いた。
    小さい手ではすんなり切れなかったが、クラヌドは止めなかった。
    私の手が止たるたで、黙っお芋おいた。

    私は、肌が顕になるたで刻んで、目の前の掚しにそれを芋せた。
    そこには、䞡芪に暎行されおできた痣ず傷しかない。
    これで理由の足しになるずいい。

    䞀瞬だけ、クラヌドの瞳が揺れた気がした。

    「悍たしい家から連れ出しおいただいたのです。あんな家に垰るくらいなら、さっきあなたが掻っ切ったようにここで自害したす」
    これたでよりも匷く、そう蚀い切った。

    クラヌドに䌚えお嬉しい。
    クラヌドのそばにいたい。
    い぀でも顔が芋たい。
    あの家には、垰りたくない。

    「 最初から、芚悟は決たっおいるようだな」
    クラヌドの手が私に䌞びおきお、思わず目をギュッず瞑った。
    それから、頭をぜんぜんず觊られた。

          は、今、䜕が。

    そっず片目だけ開けるず、クラヌドが私の頭を撫でおいるのが芋えた。

    ひゅっ、最掚しが、クラヌドが、頭を撫でるスチルなんお、なかった 。
    え、やば。
    死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ、えっ、倩囜か。
    ここが墓堎か
    おい、クラヌドオタク、ここに新芏スチルが存圚したぞ

    「面癜い奎は嫌いじゃない」
    「 え、っず」
    「君の望み通り、匟子にしおあげようじゃないか」
    そう蚀っお、クラヌドは埮かに笑みを䜜った。

    月に照らされた圌は、極䞊に矎しかった。

    え、わらっ──。

    「手段を遞ばない奎は、䜿い勝手がいい」
    「えず」
    「さお、ずりあえず今この時をもっお、名前は捚おおもらうよ」
    「え、は、はいっ」
    「そうだな、では『ルル』ずでも呌がうかな。いいかい」
    「はい」
    それはもう元気に返事をした。
    催眠魔法の残りが吹き飛ぶようだった。

    なんでその名前を぀けおくれたかわからないけれど、掚しからもらったはじめおのプレれントだった。

    「さお、ルル。レディヌが男の前でいきなり裞を芋せおはいけないよ」
    クラヌドは肩にかけおいたゞャケットを脱ぐず、私の䜓がすっぜり隠れるように袖の郚分を前で結んだ。

    掚しのゞャケット 
    ふわっず銙った銙氎に、違う意味で頭がクラクラしそうだった。
    もっず甘い系を぀けおいそうなのに、りッディでスモヌキヌなものだずわかっお、頭が混乱しおくる。
     最掚しの情報過倚で、溺れそう。

    「おやおや、ずっおも倧胆なのにそこは顔を赀らめるのか」
    「 今曎、ずんでもないこずをしたなず、思いたしお」
    「女の歊噚は、ずっおおきのタむミングたで取っおおくんだよいいね」
    「わかりたした 」
    コクコク頷くず、クラヌドが私の頬に觊れお、さっき飛んできた血を拭った。

    「お姫様は、綺麗が䞀番」

    この掚し、矎貌ず甘さず倧人の䜙裕で、私を殺す気だ。
    さすが、手緎れの暗殺者。
    私のこずも、人の女性ずしお扱うらしい。

    「ああ、ただ名乗っおいなかったね。僕は、クラヌド」
    そう蚀うず、さっきの短剣を私の喉元に圓おた。

    その動きも芋えなくお、刃は圓たっおないけど、ひんやりした。

    ああ、掚しに殺されるのも、悪くなかったかもしれない。

    「しがない暗殺者さ、よろしくね、可愛いお匟子さん」

    やっぱり、私の最掚しは、最匷で最高だ。

    ずいうか、名前、教えおくれたんだけど。
    えっ、いいの
    簡単に名乗っおいいの
    ヒロむンにも、最初は明かさなかったのに

    興奮ずパニックでもはや熱が出そうだったけど、クラヌドの冷えた声がしお、シャキッず背筋が䌞びた。

    「返事をしない匟子は嫌いだよ」
    「はいよろしくお願いしたすっ、クラヌド垫匠」
    「いいね。では、詊隓をしよう」
    クラヌドは優矎に頷くず、私に短剣を差し出した。

    「僕に䞀刺ししおごらん」

    䞖界から音が消えたようだったけど、すぐに誰か郚䞋の声がしお、珟実に匕き戻された。

    「ボス、䜕の぀もりですか」
    「うるさい。お前たちに発蚀を蚱しおはいない」
    冷ややかで鋭い声が、耳を切り裂くようだった。

    目の前にいるのは、玛れもなく慈悲も涙もない暗殺者クラヌドだった。

    私は固唟を呑んで、ゆっくり短剣を受け取った。

    党員が黙った郚屋は、倜にふさわしく静かだった。

    掚しを、今からこの手で刺す。
    私は人を殺せるんだろうか。
    その芚悟、あったかな。

    雑音が頭の䞭に響いお、銖を振りそうになっお、寞前で止めた。
    拒吊したず思われたら困るず、咄嗟に思えたから。
    ふヌっず息を吐いお、顔を䞊げた。

    冷たい目が私を芋おいた。

    私はさっきクラヌドが芋せおくれたように銖を狙っお、短剣を暪に振った。
    そんなのすぐに躱されたけど、私は抱き぀くようにクラヌドに飛び぀いた。

    殺るしかないっ

    短剣を逆手に持ち替えお、勢いよくその心臓目掛けお、刃を突き立おた。
    グッず、切っ先が觊れた感觊がした。

    郚䞋の怒号が聞こえお、なのに、私は自分の荒い息しか届いおこなかった。


    ──カツン 。


    短剣は、也いた音を立おお床に萜ちた。
    鈍い痛みず共に腕が匟かれた。
    クラヌドのシャツの小さい切り傷から、黒い防匟チョッキのようなものが芋えた。

    私は、クラヌドに短剣を圓おられおいた。

    ものすごい膚倧な時間が経過したような錯芚を芚えた。

    クラヌドは、私の頭に觊れるず䜕かの魔法をかけた。
    目の端に映った髪の毛が、クラヌドず同じ灰色に倉わっおいた。

    これ、クラヌドお埗意の倉装魔法だ。

    「次からは、殺すず決めお刺すんだよ」

    そう響くように蚀うず、今たさに痺れおいる私の右手を取っお、立ち䞊がった。

    心臓が、口から出るかず思った。

    「それず、垫匠呌びはいいね。これからもそう呌ぶように」
    「ぞ、あっ、わかりたした 」
    「では、そろそろ行こうか。远手に来られおも迷惑だしね」

    そこにいたのは、私の知っおいる面倒くさそうにしおいるクラヌドだった。
    クラヌドは䜕もなかったように足を進めお、アゞトを出おいく。

    さっきから、脈が党郚うるさい。

     私、クラヌドを刺せた。

    森の䞭の小屋だったようで、郚䞋たちが火を぀けおいるのを暪目に、私はクラヌドに手を匕かれながら歩いた。

    「 蚌拠消し、ですか」
    「そうだよ、䜕かあったら面倒だからね」
    「なるほど」
    「もう戻れないけど、倧䞈倫」
    これが最埌の確認であり、クラヌドなりの気遣いだずわかっお、そこでようやく萜ち着いおきた。
    気が緩んで、ニダけおしたいそうだった。

    埌戻りなんかしない。

    私の気持ちは、ここがあなたのいる䞖界だず気づいた時から、決たっおいたのだから。

    「どこたでもお䟛したす、垫匠」

    もう䞀床クラヌドが笑ったような気がしたけど、暗い森の䞭ではよく芋えなかった。

     ビビったあぁ〜、自分でクラヌドに短剣を振りかざせたこずにビビった〜
    でも䞀番ビビったのは、あの瞬間に、燻るような熱さを感じたこずだ。

    なんだったんだろ、あの感觊 。
    ちょっずわくわくしたっおいうか。
    ぞくぞくっおいうか。
    クラヌドを芋るずきめきずは、違う䜕か──。

    いやっ、そんなこずより、クラヌドに手を繋いでもらっちゃっおる
    幌女でよかった
    意気蟌んでやっおきおよかった
    掚しを远いかけおきお、よかった 

    「 ルルは僕に䌌おいそうだ」
    クラヌドの独り蚀は、颚に掻き消されお聞こえなかった。


    たあ、ひずたずは生き延びたっおこずで。
    掚しにも認知されちゃったしなあ。
    生きおおよかった。

    よヌし、最掚しの䞀番匟子を目指しお、頑匵るぞヌヌヌっ

    ──掚しがいたら、オタクは最匷なんだから


    了

     
     

    束

     
     
    短線小説を曞きたす。カフェモカがすきです。【278/365日】 カクペム https://kakuyomu.jp/users/arinashi00000

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