
「お紅茶ですか、それともコーヒーになさいますか?(7月5日)」
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以前こそ、コンサートは夜からの開演が主でしたが、最近はお昼間の演奏会(マチネ:matinée)が増えているように感じます。
そういったお昼の演奏会(マチネ:matinée)は、午後から始まるので終わりは夕方。そこから晩ご飯までには、少しばかり時間が余る頃に幕を下ろします。
そこで、たまにお心遣いをくださるクライアント様が「お疲れでしょう。 お茶でもいかがですか?」と、ねぎらいのお茶にお誘いくださるのです。
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こういう時の決まり文句である「ちょっとお茶でも?」は、言葉として表に見えているのは「お茶(お紅茶)」であっても、その意味するところには「コーヒー」も含めるのが暗黙の了解です。
つまりは、外資系の航空会社の機内サービスや、初歩の日常英会話でのフレーズ『あなたはコーヒーと紅茶のどちらがお好みですか?』と同じですね。
英語だと
"Would you prefer coffee or tea?" であり、
答える時は、コーヒーが飲みたいなら
"Coffee, please."
お紅茶なら "Tea, please." です。
普段、英語を話さない私たち日本人だと、学校で習った文法優先の学びが染みついているものだから、うっかり
"I'm a tea, please."
「私はお紅茶です」と笑顔とともに自信満々に言ってしまい、本人はいたって真面目なのに、周囲の冷ややかな視線を浴びることになったりします。

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さて、英会話のレッスンはこのくらいにして、お話を戻しましょう。
終演後にお茶にお誘いくださる、温かいお人柄の主催者様に連れられて喫茶をするのですが、そういった時に、おしなべて私が口を開くよりも前に。
注文を取りに来たお店の人へ、私に向けて視線を走らせながら、
「こちらにはお紅茶を、私はコーヒーで」と先手を取られてしまうのです。
舞台の上での上品な振る舞いに流されたのか、はたまた音楽家という職種への先入観か、なぜか紅茶ばかりを勧められてしまいます。
こちらも、内心では「強く淹れたエスプレッソ、それもたっぷり量が楽しめる『ダブルサイズ』がいいのになぁ……」と思いつつ、
心の声を抑え、表面は微笑み返してそのお勧めに全面的に了解の意思を示しています。
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そういえば、俳優の水谷豊さんは、長くテレビドラマで演じておられた育ちの良い警部役の「紅茶を上品な所作で楽しむ」という設定が一人歩きしてしまい、
プライベートでコーヒーブレイクをしようと喫茶室を訪れても、"かなりの確率"で目の前にそっと"お紅茶が出される"、とどこかの雑誌で読んだことがあります。
このお話に添えられた余談には、水谷氏のお言葉で「実は僕は"コーヒー派"なんですよね😅」とこぼしておられました。
水谷豊さんも、色々ご苦労があるのだなと我が事のように共感を覚えた記憶があります。
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舞台の上の"麗しいイメージ"で見ていただき、地面に直置きしないような「最上のおもてなし」の心で、お紅茶を整えてくださる。
その優しさには、心底、感謝しています。
でも、ひとこと言ってほしいのです。
『お紅茶ですか? それとも……』と。
今日も、良い一日になりますように。
(🎹MIYABI)