メインコンテンツへスキップ
見出し画像

異業種転職の面接で、9割の人が最初にやる失敗

    最初の面接で、その質問が来ました。

    「今までのキャリアは化学を軸としていたようですが、なぜIT業界に転職を考えたのですか?」

    異業種転職の面接で、多くの人が最初にやってしまうことがあります。
    準備した答えを話しながら、自分でも「これじゃない」と感じる瞬間です。自分もそのうちの一人でした。

    書類応募と面接を並行で進めていたため、正直、十分な対策ができないまま最初の面接の日を迎えていました。事前に答えは用意していました。

    「現職での自動化の経験を通して、ITに可能性を感じたからです」

    口に出した瞬間、自分でも違和感がありました。

    確かに事前に考えて書いた内容ではある。
    でも、自分のものになっていない。
    なんというか、急ごしらえで用意した「正解っぽい言葉」を読み上げているような感覚でした。

    面接官には伝わったのか、伝わらなかったのか。表情からは読み取れませんでした。でも自分の中では、「これじゃない」という違和感だけがはっきり残っていました。


    用意した答えが、自分の言葉じゃなかった

    面接が終わった後、しばらく考えていました。

    なぜあの答えに違和感があったのか。書いてあることは事実だし、
    自分が転職を決めた理由の一つでもある。
    でも声に出してみると、どこかぎこちない。

    理由は今ならわかります。あの答えは、「面接で使えそうな言葉」を
    組み立てて作った文章
    だったからです。自分の中から出てきた言葉では
    なく、「こう言えば伝わるだろう」という外側の論理で作った言葉でした。

    転職活動の準備期間中、ネットで「転職理由 答え方」のような記事を読んでいました。そこに書いてあるテンプレートを参考にしながら、自分の状況に当てはめて言葉を組み立てた。一見、ロジックは通っている。
    でも、それは「自分の本当の動機」を語っている文章ではありません。

    事前に書いた言葉と、自分の中にある本心の間には、ズレがあった。
    そのズレを抱えたまま面接に臨んだから、口にした瞬間に違和感が出た。

    正直、面接官にもそれが伝わっていたと思います。借りてきたような言葉と、自分の中から出てきた言葉は、聞いている人にはわかります。
    声のトーン、間の取り方、目線。すべてが違う。

    借り物の言葉を話している自分に気づいたとき、少しショックでした。
    「自分はちゃんと考えていなかったのか」と。
    でも同時に、「ここから本当の言語化を始めよう」とも思いました。


    なぜ最初の答えがダメだったのか

    振り返ると、最初の答えには3つの問題がありました。

    ① 抽象的すぎた

    「ITに可能性を感じた」という言葉は、何も具体的なことを言って
    いません。誰でも言える文章です。可能性って何の可能性なのか。
    なぜ感じたのか。その先にある根拠が、まったく見えない。

    抽象的な答えは、聞き手の心に残りません。聞いた瞬間に流れていく。
    「ふーん」で終わる答えは、面接では負けです。

    ② 自分の感情が入っていなかった

    「自動化の経験を通して」という言葉も、事実を述べているだけです。
    その経験で何を感じたのか、どう心が動いたのか。そこが抜けていた。

    転職という大きな決断の背景には、必ず感情があります。
    何かを面白いと思ったとか、何かに違和感を持ったとか。
    その感情の動きが伝わらないと、「転職したい本気度」が伝わらない。

    ③ 自分自身が腑に落ちていなかった

    これが一番大きかったです。

    自分が話している言葉を、自分自身が信じきれていない。
    「これが自分の転職理由だ」と心から言える状態になっていなかった。
    だから話しながらどこかで「本当にこれでいいのか?」という揺らぎが
    生まれていた。

    聞き手は、その揺らぎを敏感に察知します。話している人が自分の言葉を
    信じていないと、聞いている人もその言葉を信じられない。
    これは、面接という場では致命的です。


    答えられるようになるまでの反復サイクル

    最初の面接の違和感を抱えたまま、自分が選んだ方法はシンプルでした。

    面接→反省→修正→面接、というサイクルをひたすら繰り返す。

    特別なメソッドがあったわけじゃありません。机の上で完璧な答えを
    練り上げてから次の面接に臨むのではなく、実際の面接の中で言葉を磨く
    やり方を選びました。

    具体的にやっていたのは、毎回の面接後にすぐメモを取ることです。

    • 「なぜIT?」をどう答えたか

    • 答えながら自分が感じた違和感はどこか

    • 面接官の反応はどうだったか

    • 次回どう変えてみるか

    このメモを次の面接前に読み返して、答え方を調整する。
    そしてまた話してみて、また反省する。

    最初の数回は、まだ言葉が上滑りしていました。「自動化の経験を通して」というフレーズに、新しい要素を足したり削ったりしているだけ。
    骨格が変わっていない感覚でした。

    でも5回目くらいから、言葉が変わってきました。

    きっかけは、「自分はなぜITをやりたいのか」を、面接の文脈を一旦離れて自分に問い直したことでした。
    「面接で良く聞こえる答え」を考えるのをやめて、「本当のところ、自分はなぜこの転職を決めたのか」を、誰にも話さない前提で書き出してみた。

    そこから出てきた言葉は、最初に用意した答えとはかなり違うものでした。

    製造業の現場で感じていたもどかしさ。PowerAutomateを触ったときの
    「これだ」という感覚。「自分の手で仕組みを変えたい」という気持ち。
    これらはどれも、最初の答えには入っていなかった要素です。

    書き出した言葉を、次の面接で少しずつ使ってみる。
    そうすると、自分が話している言葉に対する違和感が、
    少しずつ消えていくのがわかりました。


    「自分の言葉」になった瞬間に変わったこと

    10回目あたりの面接から、明らかに何かが変わりました。

    質問されたとき、頭で答えを探す感覚がなくなった。
    「なぜIT?」と聞かれた瞬間に、口から自然に言葉が出てくる。
    考えて話しているのではなく、自分の中から流れ出している感覚です。

    その変化に気づいたとき、自分でも驚きました。
    「これが、自分の言葉になった、ということなんだ」と。

    具体的に何が変わったかというと、3つあります。

    ① 解像度が上がった

    抽象的だった答えに、具体的な体験がぶら下がるようになりました。

    「ITに可能性を感じた」という一文ではなく、「PowerAutomateで業務の
    自動化フローを動かしたとき、自分の手で仕組みを変えられる感覚が
    あった。あの感覚が、自分の中で一番大きかった」という形で語れた。

    具体的なエピソードが入ると、聞き手の頭にも映像が浮かびます。
    共感のフックが増える。話の重みが変わってきます。

    ② 自信を持って話せるようになった

    自分が信じている言葉を話しているので、揺らぎがなくなりました。

    「これが自分の転職理由だ」と心から言える状態。
    声のトーンが安定して、目線も逸れなくなる。
    話している間の「間」も自然に取れるようになる。

    面接官の反応も変わってきました。最初の頃は「ふーん」という反応だったのが、「もう少し詳しく聞かせてください」と深掘りされる質問が増えてきた。

    ③ 想定外の質問にも対応できるようになった

    最初は事前に用意した答えを話すだけだったので、想定外の質問が来ると
    詰まっていました。
    「なぜ今のタイミングなんですか?」
    「他の業界も見ましたか?」
    のような派生質問に答えられない。

    でも自分の言葉になってからは、軸が定まっているので、どんな角度から
    質問されても自分の言葉で答えられるようになりました。
    「自分はなぜITに行きたいのか」という根っこが固まっていれば、
    表現は変えられる。

    借り物の言葉だと、想定外の質問で崩れる。自分の言葉なら、どんな質問でも答えられる。この違いは、面接の質を大きく変えました。


    「なぜIT?」が固まると、他の質問も連動して変わる

    ここが、自分が一番驚いた部分でした。

    「なぜIT?」に自分の言葉で答えられるようになった頃、
    気づいたことがあります。
    他の質問への答えも、同時に固まっていたんです。

    面接でよく聞かれる質問は、実はすべてつながっています。

    「あなたの強みは何ですか?」

    「なぜIT?」が固まっていると、この答えも自然に出てきます。
    自分がITを選んだ理由の中に、「課題を構造的に分解する力」
    「仮説を立てて検証するサイクルを回す力」という自分の強みが
    含まれているからです。転職理由と強みは、同じ根っこから生えている。

    「前職を辞めた理由は?」

    「なぜIT?」の核にある「自分がやりたいこと」が明確になると、
    前職を辞めた理由も「逃げ」ではなく「向かっている」文脈で語れるようになります。「製造業が嫌だった」ではなく「デジタルで業務を変える仕事に向かった」という言い方ができる。同じ事実でも、軸があるかどうかで
    伝え方がまったく変わります。

    「5年後のビジョンは?」

    自分がなぜITを選んだかが明確になると、入社後にどうなりたいかも自然に言語化できます。「ITで業務改善をしたい」という動機があるなら、
    「5年後はDXプロジェクトをリードする立場になりたい」という答えが
    論理的につながる。

    「なぜ弊社を選んだのですか?」

    転職理由の軸が固まっていると、志望動機も会社ごとに的確に語れます。「自分はこういう理由でITを選んだ。だから御社のこの事業に興味を
    持った」という因果が作れる。

    つまり、「なぜIT?」は面接の一問に答えるための準備ではありません。
    面接全体の軸を作る作業です。
    ここを固めると、他の質問への答えが芋づる式に出てくる。
    逆に言えば、「なぜIT?」が曖昧なまま他の質問の対策をしても、どこかでボロが出ます。


    面接で使った最終的な答え方

    参考までに、最終的に自分が使っていた「なぜIT?」への答えの
    骨格を共有します。

    製造業での研究開発を通じて、現場の非効率に何度も向き合ってきました。アナログな業務、紙とExcelでの管理、部署間の情報の分断。
    「これをどうにかできないか」と思いながら、現場でできる範囲の改善を
    続けていました。
    その中で、PowerAutomateを使った自動化に取り組む機会があり、
    業務の流れを自分の手で変えられる感覚を得ました。あの感覚が、
    自分にとっては大きな転換点でした。研究の成果を出す仕事よりも、
    仕組みを設計して人を支える仕事のほうが、自分には向いていると
    確信しました。 ITの領域で、その仕組みづくりを本職としてやりたい。
    だから転職を決めました。

    最初の答えと比べると、具体度・エピソードの厚み・自分の感情の入り方が、まったく違うのがわかると思います。

    ただ、ここに至るまでには10回以上の面接と、その都度の反省と修正が必要でした。
    机の上で考えるより、実戦の中で磨くほうが、結果的に早かったです。


    ここまでが、自分の言葉を見つけるまでの話でした。

    「なぜIT?」が固まると、他の質問も連動して変わると書きました。
    でも「具体的にどう答えればいいのか」は、人によって違います。

    ここから先は、自分が実際に面接で使っていた「なぜIT?から派生する4つの質問への答え方テンプレ」を全公開します。
    強み・退職理由・志望動機・5年後のビジョン、それぞれの構造と穴埋め
    形式のテンプレをそのまま使えるようにまとめました。

    この記事が参加している募集

     
     
    化学とIT、異なるフィールドをつなぐエンジニア。日々の気づきと成長をシェアしながら、次の一歩を探しています。

    あなたへのおすすめ