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憧れのナポリタン、子供なのか大人なのか?コーヒーフロート、そしてお子様ランチ。

    ナポリタンを食べるとき、ふと自分が子どもなのか大人なのか分からなくなった時がありました。
    テカテカとオレンジ色に輝く麺をフォークにくるくる巻きつけ、ひと口。ケチャップの甘みとソーセージの塩気。味覚は完全に小学生の頃にワープしているのに、テーブルの端にはグラスワインを置いている。結局のところ、ナポリタンは私に「二重生活」を許してくれる不思議な食べものなのです。

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    恋しいナポリタンとアイスコーヒーフロート


    そんな曖昧さは、コーヒーフロートでも起きます。
    「今日は大人っぽく、ブラックコーヒーで」と思ってグラスに注いだのに、気づいたら堂々とアイスクリームを鎮座させてしまうのです、私ったら。スプーンで一すくいした瞬間、大人であることなんてどうでも良くなってしまう。ほろ苦さと甘さが溶け合っていくその境界線は、いつも自分の中の子供心と大人心の曖昧さと見事にシンクロしていきます。

    そのことを強く実感したのが、この前「大人向けお子様ランチ」を食べるイベントに行ったときでした。
    店内には、旗を見てにやにやする人、お子様ランチと言えばおもちゃでしょうと言っている人、ふと私は思いました。「お子様ランチの定義ってなんだろう?」と。

    そもそもお子様ランチの始まりは1930年、日本橋三越。世界恐慌直後の暗い時代に「子どもたちに楽しい食体験を」と安藤太郎さんが考案したことによって生まれた御子様洋食。富士山に見立てたご飯に旗を立てたというのだから、山好きのロマンが食の遊園地を生んだのかもしれません。旗は冒険の象徴、おもちゃはグリコのおまけからの着想。戦後には新幹線プレートやパンダ皿、ウルトラマンのおまけと、まさにお子様ランチ戦国時代を経てきた証です。全ては「子どもを楽しませたい」という気持ちの連鎖の上にあるのです。

    でも、その旗やおまけに大人たちが惹かれるのは、きっと「子ども心を再発見する余白」がそこにあるからだと思います。大人でありながら子どもでいたい、ナポリタンを食べながらワインを飲み、コーヒーフロートを頼みながらアイスを先に食べる。そんな矛盾をまるっと受け入れてくれるのも、お子様ランチという存在なのです。

    だから私は、あえて注文してしまいました。
    「大人向けお子様ランチをください」
    それは、子ども心を味わい直すための、いちばんおいしい近道なのかしら。

     
     
    食と日常をこよなく愛する私の記録。 レシピ本『おいしい部屋』 ワニブックスより販売中 レシピ本の出版をきっかけにフードエッセイ本を出版する夢があります🖋️

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