
金曜23時、新宿にて
過去の日記です。
金曜日、レイトショーで秒速5センチメートルを鑑賞した。
江崎さんの大好きな曲がここぞというシーンで使われていて、思わず胸が熱くなった。秒速5センチメートルの劇中音楽は天門さん以外ありえない…!と思っていたのに。
エンドロールが終わり、映画館の出口に向かって歩いていると、売店の付近からキャラメルポップコーンの甘い香りがした。その瞬間、どうしようもなくお腹が空いてきて、昼から何も食べていないことを思い出した。エスカレーターを降りると、外では雨が降っていた。傘を持っていなかったけれど、たまに濡れるのもいいかと思い、お目当てのたい焼きのお店に向かって懸命に走った。怪しいネオンが光る、煌びやかな歌舞伎町を濡れながら走る私、ちょっとドラマっぽくない?と思った。走った先で待っているのは、運命の人ではなくてたい焼きなのだが、この際忘れることにする。
店員さんからたい焼きを受け取った後、耳にイヤホンを挿す。続けざまに今日の映画のエンディングを流し、上映後の余韻に浸りつつ、焼き立てのたい焼きを頬張る。その拍子に勢いよくカスタードが飛び出し、唇を火傷してしまった。調子に乗って、380円もするプレミアム・カスタード・たい焼きに真摯に向き合わなかったからだろうか。
誰かが側にいてくれたら、これも話のネタにして笑い合えるのに…と、こんな日に限って1人であることを恨めしく思う。
雨が弱くなってきた。
駅に向かって、大通り沿いをゆっくりと歩く。あちこちから、はしゃぐ若い男女の声が聞こえる。今日は花金だから、夜のお店にとってはかき入れ時なんだなと納得する。
夜の新宿は、これまでに訪れたどの街よりも明るく、賑やかだ。だけど、1人でこの街を歩くたびに、他の街では感じたことのない、なんとも言えない寂しさを覚えるのは何故だろう。
新宿で生きる人々は、夜がやってくるたびに、きっと私よりも強く、鋭く、この感情を感じているのではないだろうか。
光があれば影は生まれる。光が強ければ影も濃くなる。私はこの街で生きる人間ではないが、せめて彼らの感情を溢さず掬い上げられる自分でいられたら、とふいに思った。
(2025/10/28)
(追記)
劇中で流れた曲はこちらです。
夜に溶けていくような気持ちになります。
よろしければ、今夜のお供に。