
【短編小説】「未完成の想い」
※この作品は、昨年YouTubeとTikTokに投稿したオリジナル曲から、黒路しょこの想像を交えて小説にしたものとなります。
(作詞作曲 : k0ir0様、イラスト : ガマの穂様、歌 : 黒路しょこ)
※主に1番の歌詞から作成したため、2番以降の歌詞を知りたい方は以下の動画URLから観ていただけると幸いです。
………社会人5年目
忙しい日々を過ごす中で、いつの間にか独りでいることが当たり前になっていた。
もしかして夢かと思って頬をつねってみたが、これは現実だと痛みが教えてくる。
別に、誰も居なくても大丈夫。
そう思って、自分の心に蓋をした。
ある初夏の終わり、ふと自然に触れたくなって湖のある公園に行ってみた。
木々が生い茂って、虫の声が聞こえてくる。
人混みに紛れる毎日を送ってきた中で人の手がない、心地よいBGMに耳を傾けていた。
どこに向かう訳でもなくただただ歩いていたら、広い草原に着いた。
その時学生の頃、仲間と地元の花火大会を見に行った日のことを思い出した。
そうだ。ここは10年前にレジャーシートを敷いた、あの場所ではないか。
そのことに気づいた瞬間、なぜか頬に一筋の涙が伝ってきた。
学生時代の記憶に思いを馳せていると、乾いた風がビュウっと吹いてきて、私の涙を奪い去っていった。
その代わりなのか、手元に四葉のクローバーが飛んできた。
……
『みんな、これからの進路決めた?』
『俺は、東京の大学で経営を学びたい!会社で働くにしろ起業するにしろ、知識は必要だからな。』
『僕は植物が好きなので、理学部に。親元を離れて自立したいので、東北あたりを考えてます。』
『あたしは海好きだからさ。海洋学を勉強するために県外の大学に行きたいな。県内は学ぶことができる大学無いからね〜
しょこは?どうするの?』
『そんな具体的に決まっててすごいなぁ。
私は家を出たくないから地元の大学通って、近くで働けたらいいな。
…離れ離れになっちゃうね。』
『でもあたしたち二度と会えないわけじゃないんだし、またいつかみんなで会おうよ。』
『そうだよ。ほら、またいつかこの花火を見に集まろうぜ。』
『いいですね。みんなそれぞれ思い出話を持ち寄って、花火を見ながら語り合いましょう。
幸せの象徴、四葉のクローバーにかけて。』
『…うん。また会えるよね。』
……
あれはたしか、8月のことだった。なんで忘れていたんだろう。
実際に、そんな口約束をしてから10年が経とうとしている。
若気の至りで話したことだろうし、みんな忘れているのかもしれない。
でも会いたくなって、スマホに手を伸ばし文章を送ってみた。
『みんな元気?
しばらくぶりだけど集まりたいな。』
するとすぐに返信が来た。
『不思議〜あたしもそう思ってた!
みんなどうしてるかなって。』
『俺も思い出したわ。
思えば10年も会ってなかったもんな。』
『四葉のクローバーにかけて約束していましたものね。
8月の花火大会、会いましょう。
ちょうど土日なので実家に泊まれますし。』
『賛成〜!(×3)』
まるで通じ合っていたかのように、すんなり決まった。
10年分の思い出は花火大会で話しきれるだろうか。
2ヶ月後の予定が楽しみでしょうがない。
四葉のクローバーを手にしながら、そんなことを考えていた。
【動画URL】
YouTube「【オリジナル曲】未完成の想い/黒路しょこ🍫🍀
https://youtu.be/XDo0BHJLxlE」
TikTok「https://vt.tiktok.com/ZSQYyVyEN/」