
高校野球怪談【毎週ショートショートnote】
そのトーナメント表を見た誰もが首をひねった。
「おかしい!」
出場校は49校ではなかったのか?
だがトーナメント表は誰がどう数えても50校だった。
2026年夏、日本中を巻き込む甲子園ミステリーがいきなり勃発した。
そして組み合わせの抽選会にも出ていない、新聞社も聞いたことのない『山村学園』なるものがが突如トーナメント表に載ったのである。
『山村学園』
日本中が血眼になって調べ上げたが情報が一切無かった。
所在地も、設立年度も、規模も不明。文科省にも登録がないし、そもそも予選の記録が一切無いのである。どこの都道府県の代表なのかも分からなかった。
そしてこの夏の甲子園の組み合わせの抽選会を行い、トーナメントを作成した高野連でさえ『山村学園』を把握していないし、トーナメントに『山村学園』なるものが掲載されたその経緯すら説明ができなかったのである。
こんなことがあるのだろうか?
ところが高野連が後日発表した一つの事実がすべてを物語っていた。
マスコミ用に用意したトーナメント表を作成したのはAIとのことだった。
つまり令和の夏の怪談を生み出したのはAIのバグだったのである。
(477字)
田原にか様の毎週ショートショートnoteに参加しまし……
いやちょっと待て!
実は「犯人は〝AI〟でした~😁」
さて、皆様に問う。
この答えで納得できますか?
そして皆様どうか落ち着いてほしい。いや安心して貰いたい。
犯人は〝AI〟!というより〝AI〟がバグったのには訳がある!
という流れの方が自然なのである。
つまりこの9215が犯人は〝AI〟で物語を終わらすはずがないのである。
話しをもとに戻そう。
実は高野連が組織内で運用しているAIがバグったのは今回が初めてではなかった。
以前、AI担当者が作成もとを〝高野連〟とするところを間違えて〝高野山〟と入力したときも酷いものが出力されたことがあった。
弘法大師空海をはじめ、織田信長、豊臣秀吉、平敦盛、伊達政宗、武田信玄、上杉謙信など高野山にゆかりのあるそうそうたるメンバーでトーナメントが組まれてしまったのである。
この時は結果が外に出たわけでもなく単なる笑い話で終わっただけだった。
こうして考えると〝AIがバグった〟のではなく人為的なミスであったことが分かる。
高野連もこの2026年夏のバグを重く見て調査に乗り出した。
そしてAIに『山村学園』のメンバー表を出力させたところ瞬時に犯人が分かったのである。
そのメンバー表というのは次のようなものであった。

ひと目見て明らかに異質なものが紛れ込んでいるのである。
この表を見たものの間では必ずこんな会話がかわされた……
「犯人がわかった!〝妖怪いいね!いい……〟」
「いや控え選手はすべて異質すぎるので考慮しなくて良い。あくまでもスターティングメンバーの中だ」
「あっ!4番ピッチャーの〝貞子〟か!」
「そうだ。貞子以外すべて日本古来の妖怪だらけだ。とても現代のベエスボオル向きとは思えないしそもそも高校球児に見えるか?一方貞子は享年19才。この中で貞子だけが異常だ」
そして『山村学園』にも明らかなヒントがあった。
貞子の姓名は『山村貞子』なのである。
こうして今回の騒動の犯人はただちに〝貞子〟と特定されたのだ。
ではなぜ?そしてどうやって?
高野連の調査班はさらに原因の追及を続けた。
一番手っ取り早いのは貞子を召喚することである。だがどうやって呼び出したら良いのか皆目見当がつかなかった。
まだブラウン管のテレビでもあればうっかり登場してくれることもあるかもしれないがあいにくそんなものは今の時代にない。
調査班は青森のイタコ先生をたよることにした。
そしてイタコ先生は優秀だったが、貞子はなんと同時代を生き抜いたGibo Aiko先生か、Oda Mudoh先生を指定してきた。仕方が無いのでイタコ先生はまずOda Mudoh先生を呼び出し、Oda Mudoh先生経由で貞子から情報を取とることになった。このあたりどうでも良い情報であるが正確を期したい。
貞子の高野連のAIをバグらせた手口は驚くほど単純だった。
すでに対応済みであるのでここで明かしても問題は無いが、当時の高野連のAI担当者のパソコンのIDは「admin」パスワードは「passward123」だった。貞子は難なく最初の関門を突破した。
そしていきなりAIを立ち上げるとIDに「kouyaren」パスワードに「12345678」を入力してログインに成功したのだ。
ここまでくるとあとは訳ない。
AIに音声入力でこの世に存在しない『山村学園』を学習させてあとは適当なプロンプトを入力しただけだった。
ではなぜこんなことをしたのか?
それは聞くも涙、語るも涙の物語だった。
貞子が日本中から怖れられ一世を風靡した20世紀の終わりからすでに30年近くがたった。まず貞子の起源であるビデオが市場から瞬く間に消えてしまったのである。〝呪いのビデオ〟が死語になるのもそう時間のかかることでななかった。そしてブラウン管テレビから液晶テレビへの移行も急速に進む。
あっという間に貞子の居場所がなくなってしまったのだ。それだけではない。昨今のテレビ離れが追い打ちをかけた。番組に取り上げられることもなくなったが何よりテレビ自体が激減しているのだ。つまり出たくても出られなくなってしまったのだ。
その分モニターが増えたと言えるがあいにく貞子の流儀はモニターには対応していない。
では最近はやりのSNSでもと思ったが、貞子は電話がないのでIDが作れなかった。住所がないのでスマホも持てないのである。
八方塞がりだった。
つまり今回の犯行は、彼女の今のほぼ0状態の存在感を示す乾坤一擲の大勝負だったのだ。そして夏の甲子園というのは時期的にも彼女のアイデンティティを示すのに最適だったというわけなのである。
げに恐ろしきは、執念か怨念か……いや死してもなお残る承認欲求か。
これにて、現代版・貞子の一席、お開きでございます。
(2500字近くで😭😭😭)
いやどうでも良い内容をここまで書いてしまったというかここまでお付き合いして下さった方に感謝致します!……(いやマジで内容が無い😭😭😭)
田原にか様の毎週ショートショートnoteに参加しました!