
短歌 | 眠った喉に降った雨
泣くひとにすみれの花の灯火はついてまわるさ回転木馬
微睡みに射し込むひかりつたつたとあめんぼたちのしずかな祈り
ひだまりにすずめちよちよ輪になってかごめかごめと鬼をよんでる
落下するゆるやかな午後あなたの目 来世は鳥より桜がいい
暮れ泥むまぶたの先にある音階踏み外さずに眠る七つ子
しらふの蝶つぶさに羽ばたきシャンデリアよわさのよるべひるは夢
手をひいてくれた夜の旅人へ眠りの六花が咲きますように
終点は水面滑りの花列車、雨の伴奏かんかん灯に。
「おさしみやさい」で眠ったあなたが私の贈った鍋で煮る夢
かたつむりは夜行性と知ってから不眠のわたしのつのが育つ
真夜中にとんとんとんと葱を切る私がただ生きていくために
ほうれん草の根元を食べるようにいつか食べるねあなたの遺骨
木のねっこに躓く実体のないほたるのひかりみたいなはだし
言えないことを言わないことにするために山梔子の花殻を食む
骨盤がどんな形であろうともおとさせないと決めた朝顔
早春のひかりがつつむ愛憎のうつくしきこと彼女は知らず
約束をしたがらないあなたはマフラーを結ぶのが苦手なまま
冬の名残りを感じる夏みたいな春の日を呑み込む蛇の皮
深緑のスピンが飛んだ車庫始発バスの車内はどちらも木陰
もうなにも語らせないでと言うことでわずかになにかを繋げますか?
北極星めがけて投げる熱こもるはるかむかしの石器のかけら
悩み続けるちからを持つきみをどうして弱いと言い切れようか
幸せの字のつく名前あり過ぎの家系図を断つ おやすみ、祖霊。