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【谷界】3-1.干拓期 概略史(#009)

    谷界の文明は、湖畔の集落社会から始まり、干拓事業とクラスター(大規模干拓地)の成立を契機に大きく変化していく。以下は、その初期から飛行革命以前にかけての主要な流れの一つである。

    ■湖岸集落の成立と生活圏の形成
    湖の周囲には小規模な集落が点在し、湖水を利用した農耕と漁労を中心とする生活が営まれた。湖畔は安定した水源を持つため、文明の核となった。

    一方、湖から離れた土地は水源が乏しいため農耕に適さず、これらの地域では放牧が主な生業となった。

    ■干拓事業の開始とクラスターの成立
    農業生産拡大のため、湖畔の浅瀬や湿地帯で干拓事業が実施されるようになる。その中で、複数集落の協力による大規模干拓事業を開始する集団が現れる。その結果、生まれた大規模干拓地が「クラスター」として成立していく。

    この事業を主導するためには指導力と調整力が必要であり、その過程で権力が特定の集団・人物へと集約されていった。

    クラスターは各地で同時多発的に成立し、やがて地域ごとに統合されることになる。

    ■権力構造の成立と宗教の統合
    干拓を統率した指導層は、水利や労働力、土地配分の調整を担うことで影響力を強め、 やがて王政が成立する。

    王政は宗教を取り込み、祭祀を政治秩序の正当化に利用する形で権威を拡大した。この時期、クラスターの主流宗教は周辺の信仰を吸収し、体系化された宗教として発展していく。

    ■都市の形成と商工業の発達
    クラスター近傍には物資管理のための都市が形成され、人口と資源が集中した。都市では商工業が発達し、市場が成立する。

    貨幣の鋳造も始まり、経済基盤の整備が進んでいく。

    ■鉱山開発の本格化
    クラスター成立以前から、山岳部での岩塩採掘は小規模ながら行われていた。都市部で商工業が発達すると、金属資源の採掘が本格化した。工具・武器・装飾品の原料調達を通じて、都市の商工業を支える重要な要素となった。

    ■クラスター間交易と湖上水運の発展
    複数のクラスター成立により、クラスター間の交易が行われるようになった。湖上水運は物流の主軸となり、商工業の発展をさらに促進した。

    ■有力者層の台頭
    都市の発展に伴い、行政・宗教・商業の各分野で影響力を持つ有力者が現れた。都市部の権力者、地方の有力者、宗教指導層、豪商などである。これらの有力者は総称して「賢老」と呼ばれ、時代によっては王政を凌駕する権力をもって、盆地内政治に大きな影響力をもった。

    ■近隣クラスター間の対立と統合
    クラスターの拡大に伴い、近隣クラスターとの領有権・治水権争いが起こるようになる。多くの場合は武力衝突を経て、一つのクラスターに統合された。

    ■地峡踏破と盆地間交流の開始
    ある時期、地峡を踏破する者が現れ、盆地の外に別の人類社会が存在することが判明した。やがて地峡を越えて盆地間を結ぶキャラバンが組織され、希少資源を運搬することで各盆地の商工業を発展に貢献した。

    キャラバンが逗留する地峡近隣のクラスターは、交易拠点として勢力を拡大した。貸金業もこの時期に発達し、都市経済を支える仕組みのひとつとなった。

    ■湖の水位低下と飢饉
    湖は10年に1度程度の確率で水位低下が起こり、農業に深刻なダメージを与えた。人類は干拓による生産量の拡大と備蓄によって対策を講じてきたが、水位低下期間が3年も続くと、飢饉と呼ばれる状況になった。食糧不足の切迫から、略奪を目的とした他クラスターへの大規模な軍事侵攻が行われた。

    ■盆地統一と分裂
    飢饉を発端とした大規模な軍事侵攻の結果、盆地統一が成されることもあった。しかしながら各クラスターそのものが強固な共同体であったため、平和な時代が続くと独立心が高まり、再び分裂することも珍しくなかった。

    ■飛行革命へ
    こうして干拓期の人類は、農業と都市産業を発展させ、統一と分裂を繰り返し、飛行革命を迎えることになる。

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    次項では飛行革命期の概略史について述べる。

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