【谷界】3-4.魔導革命期 概略史(#012)
■ 魔導革命の勃興
魔導革命は、体力(カロリー)を魔力へと変換し、体外へ放出する技術が体系化され始めたことから幕を開けた。
この魔法は体力ベースであるため、けた違いの出力を持つものではなかったが、前時代から閉塞感の強かった農村部では、この新技術が急速に受け入れられた。
農村では、水流を効率よく発生させる魔法が普及し、干拓地の拡大が可能となる。これらの魔法は宗教と結びつき、農村社会の結束と影響力を飛躍的に高めた。一方、工業分野への応用は都市の組合(ギルド)によって阻まれ、都市部での普及は進まなかった。
■ 社会動乱と王政崩壊
魔導体系が社会に浸透し、同時に摩擦を起こす中、大規模な飢饉が発生した。王政の対応もむなしく、被害が拡大すると、民衆は王政に失望し、魔導士による国家運営を希求するようになった。一部の過激な活動家が暴動を起こすと、それは盆地全体に広がっていった。政体変更としての「魔導革命」の始まりであった。
当初、戦況は王政有利に推移した。訓練された常備軍と飛行衆の組み合わせにより、数に勝る革命軍を局地戦で順次撃破していった。
革命発生の初期段階において、多くの魔導士は暴力革命に批判的であり、王政との和平を求めて活動したが、王政側の内部分裂もあり、和平が成ることはなかった。
王政の指導力に見切りをつけた魔導士は、積極的な王政打倒へ舵を切ることになった。
王政常備軍も前線に魔導士が投入されると、損耗が激しくなり、戦況は革命軍有利に傾いていく。王政はこの流れに抗うことができず、干拓期から続く王政は瓦解することとなった。
■ 復興と魔導政治の成立
新政権として、魔導士を中核とする「魔導院」が組織された。飢饉対策もあり、当初は重農主義が取られたが、経済縮小と国庫の枯渇を招いたため、新たに「都市魔導院」が組織され、都市行政と経済政策を担った。旧魔導院は「農業魔導院」として再構築され、農村行政と農業政策を担った。しばらく後に、双方の魔導院から漏れた業務や調整を担う「国務魔導院」も組織された。
実際の政権運営においては、旧王政の者が多く登用され、実務を担った。
飛行衆は王政転覆まで一貫して王政側で行動したが、技術の代替がなかったため、権力を制限されつつも組織は存続した。
こうして誕生した政権は「魔導院政権」と呼ばれた。
戦闘魔導士の登場で、戦闘はより少数精鋭化し、地峡を越えた盆地外への武力影響力が増した。隣接盆地の併合こそ難しいものの、影響力を行使するハードルは大きく下がり、力を持つ盆地が周辺盆地を従属させる動きが生まれた。こうした変化が次の魔導期へとつながっていく。
次項では魔導期の概略史について述べる。
※本項の内容は特定の盆地をモデルにしたものであり、普遍的なものではないことを記しておく。