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⑤従来型 vs 考察探究型 —大きく異なる思考活動—

    従来型の道徳授業と考察探究型の道徳授業の違いは、教材の扱い方だけではありません。
    最も大きな違いは、子どもたちが授業の中でどのような「思考活動」に取り組むか、つまり授業を通じてどのように考えるのか、という点にあります。

    従来型の授業では、登場人物の心情や行動を中心に「どんな気持ちなのか」「どんなことを考えたのか」を問う活動が中心でした。
    そこから共感が生まれ、子どもは自分自身の生活や体験と結びつけて考えることができました。

    一方、考察探究型では、登場人物の心情理解・考えの想像にとどまらず、価値やテーマそのものに光を当て、複数の視点から多面的に捉えることを重視します。
    教材内容の「抽出」と抽出した内容の「考察」を経て教材の文脈を整理し、考察した内容全体を「俯瞰」して考える活動を経て、最終的に自分なりの価値理解や生き方の構想に結びつけていくのです。 

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    比較すると思考活動が大きく異なることが分かります

    もっとも、ここで強調したいのは「従来型が間違っている」ということではありません。
    従来型の授業が培ってきた「共感」や「自我関与」は、子どもが心情に触れ、自分自身を見つめる大切な営みです。

    これらを基盤とした上で、考察探究型ではさらに「抽出・整理」「考察」「俯瞰・探究」というステップを踏みながら、多様な価値をめぐる思考を深めていきます。

    小学校低学年では、登場人物の視点に注目し、そうした人物の心情や行動に焦点を当てた心情型の道徳授業を通して自分以外の人物の心情理解を促して共感する力を育てます。

    その上で、中学年以降では、複数の立場や状況を比較したり、内容全体を俯瞰して考える活動をしたりして、価値を多面的に捉え、自分の言葉で生き方を考える授業をしていくのが大切であるということです。

    このような発達段階に合わせた思考活動を通じて、子どもたちは「一つの正解」を超えて、自分はどう考えどう行動したらよいのか自ら問いを立て、自分なりの答えを構想することができるようになるのです。

    このように考察探究型は、道徳科を“共感を深める学び”から、“価値を探究する学び”へと発展させていくものだと言えるでしょう。
    それは、複雑で答えの一つに定まらない社会を生き抜くための、確かな基盤となっていきます。
     
    では、この思考活動の違いが授業の具体的な組み立てにどう反映されるのでしょうか。
    次稿では、考察探究型の授業構造を取り上げ、従来型との違いをさらに詳しく考えていきたいと思います。

    ☆次の記事はこちらです。





     
     
    教育学修士 文部科学大臣優秀教員表彰 指導教諭(道徳科) 「道徳科感想分析法」という授業効果の評価方法や、「考察探究型の道徳授業」を提案しています。月刊誌「道徳教育」では連載を経験させていただきました。

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