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銀河フェニックス物語<出会い編>  第一話 永世中立星の叛乱 (51)

    ・第一話のまとめ読み①~(10) ②~(20)  ③~(30) ④~(40) ⑤~(50)

     オルダイが言った。
    「俺はこいつを信じている」

     昔のことを思い出す。
    「あなたはいつもそう。理想ばかりよ。だから私はついていけない」
    「わかっている。だからついて来いとは言わなかった」
     その言葉を聞いた瞬間、反射的に目の奥が熱くなった。

     オルダイが近衛隊長を辞めた日のことを思い出す。

     考え方は違う。けれどあなたを愛していた。
     あの日、喧嘩別れをしたあの日。涙が枯れるほど泣いたことをこの人は知らない。
     今でもあの日と同じ苦い痛みが私を貫く。

    「オルダイ、ダメだ。女性を泣かすのは最低だ」
     諜報部員の顔が私の目の前にあった。

    n2@正面2@近衛微笑

    「パスワードはオルダイのフルネーム、オルダイ・バルボアだ。あんたらを信じてねぇわけじゃねぇんだ」
     一瞬、意味が理解できなかった。

     彼は今、切り札である重力制御装置のパスワードを私たちに明らかにした。

    「アリオロンに命を狙われるのが面倒なんだよ。俺しか知らなきゃ殺せねぇだろ。頼むから俺がこの星を出るまで、パスワードは俺しか知らないことにしておいてくれ」

     そう言って彼は気持ちのいい笑顔を見せた。
    「オルダイの理想は実現する。だが、あいつはアピールが下手過ぎる。だからあんたが助けてやってくれ。そうすればこの星は生まれ変われる」

     その笑顔につられて私は思わず微笑んだ。
    「そうそう、やっぱり美人の笑顔は最高だ」

     オルダイが私の前に立った。
    「アドゥール。もう一度、俺と一緒にこの星の未来を作らないか」

    オルダイとアドゥール横顔微笑

    「私でいいの?」
    「他に誰がいる」

     オルダイの瞳を見つめる。
     昔と変わらない、強い意思の光を放っていた。その光が私を包み込んだような気がした。

    * *

     
     ラール八世の勅令を受けて混乱はほとんど収まっていた。

     レイターと共に空港の拠点へ戻ったオルダイは感慨深かった。
     俺たちはもう反王室グループじゃない。国民議会だ。
        喜ぶのは早い。全てはこれからだ。だが、スタート地点に立つことができた。

     ラールゼットを爆破したヤンとトライムス少佐も空港に戻っていた。

     ヤンが駆け寄ってくる。
    「オルダイ隊長、やりましたね」
    「ご苦労だった」
    「ほんとに死ぬような思いをしましたよ。この人のせいで」
     ヤンはレイターを指さした。

    「あん? 俺が何したってんだよ。あれ、アーサー、あんた顔に怪我してんの?」
     レイターが愉快そうに笑った。
     前髪に隠れてわからなかったがトライムス少佐は額に絆創膏を張っていた。

    「誰のせいだと思っているんだ」
     不機嫌そうな声で少佐は続けた。
    「暗殺協定の解除とはいかなかったようだな」

    n31アーサー正面白衣ばんそうこう

    「ライロットの肋骨二、三本折ってやったから、けがの借りは返したぜ。おあいこだ」
     レイターのけがはアリオロンの工作員と殺りあったためだったのか。

    「さてと、俺はフェニックス号へ帰るぜ」
     帰ろうとするレイターに俺は声をかけた。
    「少し休んでいったらどうだ。傷の手当てもしたほうがいい」
    「船でお姫さまが俺の帰りを待ってんのさ。あんたも姫さまのご機嫌をとるのは任務より大変だろ」

     姫さまとはアドゥールのことを指しているつもりか。
    「お前と一緒にするな」
     と応じたが、こいつの言うとおりだな。

     アドゥールともう一度やり直したい。彼女とならこの先の困難を乗り越えられる。
       (52)へ続く

    ・第一話からの連載をまとめたマガジン 
    ・イラスト集のマガジン

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