メインコンテンツへスキップ
見出し画像

銀河フェニックス物語<出会い編>  第一話 永世中立星の叛乱 (21)

     ・第一話のまとめ読み①(1)~(10)   ②(11)~(20)
        ・ 永世中立星の叛乱 (20)

    「レイターだわ」
     わたしは入り口へと走った。

    「はあい、ティリーさん」
     何だかレイターの様子が変。千鳥足で酔っ払っているように見える。
    「お酒飲んできたの?」
    「あん?」
     顔が赤く目が充血している。

     やっぱりお酒飲んできたんだ。「すぐ、追いかける」って言ったくせに。 何だか腹が立ってきた。
     あんなに心配したのがバカみたいだ。

    「一発、撃たれたらよかったんじゃないの」
     なぜこんな言葉が口をついてでたのかわからない。軽口のつもりだった。

     レイターが壁にもたれながら苦しそうな顔で笑った。
    「知ってる? ティリーさん。一発撃たれるって、痛いんだぜ」

    n36ニヤリ縦筋

     レイターの身体が崩れ落ちた。左の脇腹を押さえるレイターの手が血で真っ赤だった。

    「レイター!」
     わたしの声がエアポートにこだました。

    * *

     閉店間際の洋菓子店でアーサーは久しぶりにいらだっていた。
     あいつは一体何を考えているんだ。

     ライロットとレイターの接触、暗殺協定の発動は想定内。
     しかし、レイターが銃を携帯せずに負傷した。という部下からの報告は全くの想定外だった。

     昼に銃を持っていたことはわかっている。
     アリオロンの工作員を射殺したのだから。あいつは銃を忘れたりしない。故意に持っていかなかったのだ。

     なぜだ? いずれにしても作戦は練り直しだ。

     フェニックス号のインターフォンを押す。
    「こんばんは」

     マザーがドアを開けると入り口にティリーさんが立っていた。
    「あ、あのレイターはちょっと・・・もう寝ちゃって」

    n36線画情けない顔赤らめ逆

     ティリーさんの声を遮るようにスピーカーからレイターの声がした。
    『アーサーか。来ると思った』

    「どうぞ・・・」
     招き入れるティリーさんの赤い目がはれていた。泣いていたのか。

     彼女の故郷アンタレス星系は連邦で犯罪率が一番低い。
     銃を所持しているだけで罰せられる星だ。
     昼間の出来事と合わせて相当ショックを受けているのが見て取れた。そういうことか・・・。

     レイターは医務室のベッドの上に横になり点滴を受けていた。わき腹を撃たれたな。顔色が良くない。
    「いい格好だな」
    「・・・あんたそんなことを言いにきたのかよ。そこに座れや」
     そう言いながら身体を起こした。

     私に見下ろされることが嫌いなのは知っているが、怪我した時ぐらい無理せず寝ていればいいものを。

    「ほれ」
     レイターから情報タブレットを受け取る。

    「あんたの作った識別重力カードは使えたぜ。アリオロンの検査場も見てきた。だが、連邦軍の新型艦情報は流れてねぇ」
    「流れていないだと?」
     思わず聞き返す。

    n33@スーツ

    「あんた俺を信用しねぇのかよ。俺は銀河一の操縦士だぜ」
     こいつの持つ宇宙船に関する情報は信頼できる。何と言っても宇宙船お宅だ。

     しかし、情報が流出した形跡が間違いなくあるのだ。アリオロンでないとなると一体どこへ。     (22)へ続く

    ・第一話からの連載をまとめたマガジン 
    ・イラスト集のマガジン

    あなたへのおすすめ