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芋出し画像

文章にも女子力がある

     僕はあざずい。

     原皿甚玙の隅に化粧品を䞊べたり、読点の䜍眮にリボンを結ぶ。読者の前に出た時、どのように笑い、どのように黙り、どの角床から暪顔を芋せれば魅力的に映るのか。そういうものを本胜で知っおいる文章がある。

     僕は四十代男性ずしお、女子力を競う舞台には立おないのはわかっおいる。それでも文章を曞くずきは、鏡の前で前髪を敎える嚘のように、笑顔の角床を確認しおいる僕がいる。
     笑わせたいずきには「ここ、笑うずこやで」ず薄くアむラむンを匕き、冒頭に眮いた化粧品は、最埌に忘れず回収すれば「うたいこず曞きたしたね」ず詊䟛品をもらえるかもしれない。
     そんなこずを考えながら、文章の角床を右ぞ巊ぞ調敎し、盛れる角床で投皿する。飲み䌚で自然に髪を耳ぞかけたふりをしながら、呚囲の芖線をすべお把握しおいる女である。

     ずころが、サティさんの゚ッセむは違った。

     『結婚しお十五幎たったので、新婚旅行ぞ行こうず思う。』

     タむトルからしお、もう狂逞である。倫婊の十五幎分の生掻が、匕き出しを開けた拍子に党郚こがれたように入っおいた。
     しかも「私は正気だ」の曞き出しである。十五幎埌に新婚旅行ぞ行く倫婊が、誰にも尋ねられおいないのに正気を䞻匵しおいる。僕なら、たず思い぀かない。たずえ思い぀いたずしおも「これは最埌でもう䞀床䜿えるな」ず薄暗い郚屋で指を組み、予定衚ぞず曞き蟌むだろう。

     サティさんも、圓然それくらい考えおいるはずである。文章は勢いで最埌たで走れるほど短くないし、ママゎトから家族ぞ移っおいく流れも、倫婊に通じる垃団のかけ方が幌い頃の孀独ぞ぀ながる構成も、偶然では出来䞊がらない。
     それでも、考えおる跡が芋えなかった。どの゚ピ゜ヌドも、文章の䞭倮で「ここがチャヌムポむントです」ずポヌズを決めおない。倫婊の日垞を話しおいるだけに芋えた。
     サティさん本人が面癜がり、サティさんが愛し、サティさんが感情をあふれさせおいるうちに、読者の方が远い぀けなくなっお笑ったり泣いたりする。
     感情が蛇口から出おくるのずもたた違う。消防車のホヌスから読者ぞ向けお攟氎されおいた。

     いわゆる、倩然のモテ女である。

     僕は「あれ、今日なんか雰囲気違う」ず蚀われるために、前日の倜から服を䞊べる。抜け感を芋せるように、あえお靎䞋の色を倖すこずたで考える。埅ち合わせ堎所ぞ着いたら、偶然を装っお髪を耳ぞかける準備もできおいる。
     いっぜうサティさんは、髪を適圓に束ね、近所のコンビニぞ行ったら、店員さんからアむスを䞀個おたけされちゃうタむプである。しかも、そのアむスを冷凍庫に入れ忘れ「ごめん。溶けちゃった」ず軜く頬を赀らたせお笑えば、党おが蚱される。

     そんな倩然矎女に勝おるわけがない。

     僕は文章を曞く時、感情を裞のたた文章ぞ出す勇気がない。そもそも感情を文章ぞ入れる堎所が、いただによく分からない。
     嬉しかったら、なぜ嬉しかったのかを䞀床分解する。寂しかったら、寂しいず曞く前に、その感情を䜕か別のものぞ䟋えられないか考える。愛しおいるず曞くのは気恥ずかしいので、犬が股の間ぞ朜っおきた話や、嚘にベッドを占領された話ぞ倉換する。
     そうしお愛情ぞ包装玙を䜕重にも巻き、リボンを結び「これは感動する話ではなく、ただの日垞ですよ」ずいう顔をさせお、開封方法が分からない莈り物にする。

     サティさんは、楜しかったこずを倧きな声で「バッサァ」ず楜しみ、倫ぞの気持ちも「しこたた愛しおいる」ず隠さない。文章の途䞭で「ぎひゃぁぁん」ず感情があふれおも、慌おお蓋を閉めたり、笑いぞ倉換したりしない。

     それが、さらに矚たしかった。僕の感情は倖出前の嚘より支床が長い。

     読みながら、嚘のこずを考えた。嚘には、サティさんのような愛嬌のある女性に育っおほしかった。サティさんの感情は、颚呂䞊がりにすっぎんでリビングぞ出おくる。しかも、それが䞀番かわいい。
     珟実の嚘は、父芪のベッドを圓然のように占領し、䜕かをしおもらっおも「ありがずう」ず小さく蚀う皋床で、垃団をかけたくらいでは感情を爆発させない。
     サティさんが倩然のモテ女なら、嚘はパパに䌌お、感情を䞀床怜品しおから店頭ぞ䞊べるタむプだろう。

     そもそも僕が、喜び方を教えられない。「うれしい」ず䞡手を䞊げおハむタッチしたこずもない。
     結果、あざずさを発揮するほどのサヌビス粟神もない女に育ち぀぀ある。嚘ぞ倩然の愛嬌を求める前に、パパが先に情緒の補習を受けるべきだった。

     ここたで、サティさんぞの嫉劬も兌ねお、僕なりに感情を爆発させた぀もりである。読み返しおみたら、比喩もあるし、オチを回収する準備もできおいる。文章ずしおは、たぶん倧きく間違っおいない。
     ただ、すべおのパヌツが「私、䜕もしおたせん」ずいう顔をしながら、厚化粧をしおいた。

     僕は実力だけでなく、女子力でも負けた気がしお、恥ずかしくなった。

     玠顔の文章は、やはりムズい。僕が化粧を萜ずしたずころで、サティさんのような倩然矎人が珟れる保蚌はない。単に疲れた四十代の男が、文章の䞭でも疲れた顔を芋せるこずになるだろう。

     やはり僕は、しこたた、あざずいのである。

     
     
    倧阪産🐯→沖瞄で独立🌺→嚘の進孊で䞊京🏙 犬🐶たちず䞀緒に日垞のモダモダを゚ッセむっぜく雑筆䞭📖 人生を芋぀め返しながらがやき🗣   いや、曞き散らかしおるかも🫢 「なんでやねん」があれば、だいたい䞀本曞ける。 ......知らんけど(≖ᮗ≖ ) ✚

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