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ただ、いま

    会社を辞めることにした。

    体調を崩して休職していたが、復帰できなかった。しばらくは無職として立て直していくことになる。せっかくこうしてエッセイを書いている。これを機にエッセイストとでも名乗ろうかな。

    退職手続きは一通り完了し、あとは時間が過ぎるだけ。「所属していた」という情報は、会社が続く限り記録として残るだろう。その一方、「所属している」という状態は、退職した瞬間から消えてしまう。そう思うと、少しだけ寂しさを覚える。

    昨日は元気だったけれど、今日は動けない。今でもその繰り返し。今日の自分は昨日とは違う。だから明日の自分も、今日と同じとは限らない。五里どころか一寸先も見通せない。一歩ずつ進みながら、帰る場所を探している。息を吐いて、吸って、食事をして寝る。ただ、今を生きている。そう実感している。

    帰るといえば、「ただいま」という挨拶がある。実家にいたときは毎日言っていた。今では帰省時にしか言う機会がない。たった今帰ったという意味だが、本来の自分に戻るために必要な言葉ではないかと思う。会社で働く外向けの顔から、肩書も不安も何もかも取り外して素の自分に戻る。ただ、今という時間を過ごすための魔法である。

    ただ、今はまだ「ただいま」と言える場所を探している。

     
     
    ゆらりゆるりとゆとりをもって。 日常の気づきを綴っています。

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