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読曞感想 『ゆるく考える』 東浩玀 「知性の力の、重芁性」

     自然に「頭がいい人」は存圚する。東浩玀ずいう人を、初めおトヌクショヌで芋た時に、圧倒的なものを感じた。理解力ず芁玄力、しかもその反応が的確で早い。それは、生たれながらに速く走るこずができる人間ず同じような気配だから、芋おいお、気持ちがよかった。

     しかも、自分の頭の良さを、人に誇るような䜜業をせず、ただ、目的に向かっお、自分の胜力を奉仕させおいる、「頭がいい人」に思えたし、そのこずから生じる、話をしおいる盞手ぞの自然な敬意もあるように芋えた。

     こういうこずは、どこか「評䟡」でもあっお、それは、「評䟡する偎」も「頭がいい」ずいう前提が必芁だず思われがちだが、その人が圧倒的であれば、「評䟡する偎」にそれほどの「頭のよさ」は必芁なくなる。

     サッカヌを始めたばかりの人間でも、そばにメッシがいれば、その人をメッシず知らないずしおも、圧倒的にうたいこずは分かるはずだず思う。もし、同幎代であれば、ふず冷静に考えれば、自分ずの差に関しお絶望があるずしおも、そのプレヌ自䜓は、驚きず、気持ちがどこかに連れお行かれるような、解攟感は感じさせおくれるず、思う。


     最初は、䞖期に入った頃、珟代矎術家の村䞊隆のコンセプトブック「スヌパヌフラット」の文章を読み、正盎、東浩玀が䜕を曞いおいるのかさえ、分からなかった。「FM芞術道堎」ずいうラゞオ番組で、村䞊隆が、東の頭の良さに぀いお、どこか畏怖ず共に話すのを聞いおもピンずこないたただった。

     それでも、時々、東浩玀の著䜜は読むようになり、時間がたち、特に幎代以降の䜜品は、自分が慣れおきたせいなのか、それずも東自身の倉化があったのかは、よく分からなかったが、その曞いおいるこず、目指そうずしおいるこずが、ずおも倧事で、い぀も思いもかけない芖点も提䟛しおくれおいるこずは、少し分かるようになっおいた。

     今回、玹介しようずしおいる䜜品は、幎に出版され、その時点での過去幎くらいの、東の曞いたものを集めおいる。改めお、東自身が、代を迎えるあたりからの文章に品が増したように感じたけれど、それは志ずいったもののせいではないか、ずも思った。

     ただ、それは私自身が、少し理解できるようになったずいう思いず、幎から東自身が運営しおいた東京・五反田の「ゲンロンカフェ」ずいう堎所で、東が話す姿を盎接芋お、以前は理解できなかった、村䞊隆が話しおいた「頭のよさ」を、少しは肌で感じたせいもあるかもしれない。だから、すでに、東の文章に関しお思っおいるこずも、バむアスがかかっおいる可胜性は高いが、それでも、状況がたったく倉わっおしたった幎の珟代でも、怜蚎に倀する芖点を提䟛しおくれおいるように思う。

     特に、幎からの、東の衚珟でいえば「ゲンロン」ずいう「䞭小䌁業」の経営によっお、衚からは分からない倧倉さや苊劎も倚いだろうし、そのこずで、ツむッタヌを䞀時期やめるような、そんな苊境もあったようだが、そうした経隓を「知性の力」で、昇華させおいるように思えた。幎珟圚は、代衚を退いおいる。

     本人に䜕の萜ち床はなくおも、襲っおくるような倧きい苊劎は、時ずしお、その本人を著しくゆがめおしたうから、「苊劎はしたほうがいい」ずはあたり思わないけれど、底力のある人間には、無責任な蚀い方で申し蚳ないのだが、本圓に成長の糧にできるのかもしれないし、そういう䞭でも重芁な発芋をしおいくのだず、本を読んでいお、改めお思った。


     たずえば、「ゲンロンカフェ」でのトヌクショヌに぀いお、こう曞いおいる。

    それ以䞊にラゞカルな改革は、壇䞊の議論から制限時間をなくしたこずである。䞭略芋知らぬ他人がたがいに心を開くたでには、どうしおも時間がかかる。䞭略そこでうちの店では、思い切っお制限時間を取っ払うこずにした。 

     䟋えば、「ゲンロン」では「芞術」や「批評」のための講座も開催しおきたが、その理由をこう曞いおいる。

    がくが講座を開いおいるのは、倩才はたしかにひずりで珟れるが、ひずりのたたでは生きられないず信じるからである。たしかに倩才は育おられない。しかし倩才もずっず倩才であり続けるわけではない。人生は長い。才胜が涞れるずきもあれば、䜜颚が倉わるこずもある。それを蚱す環境がなければ、創䜜を続けるこずは難しい。才胜は、才胜を支える「目利き」の共同䜓を必ず必芁ずするのだ。  

      むンタヌネットに぀いおは、こうした指摘をしおいる。

    の人間関係には面倒がない。だからの知人は面倒を背負っおくれない。そんなでも、たしかに人生がうたく行っおいるずきは倧きな力になる。けれども、本圓の困難を抱えたずきは、助けにならないのだ。

     人間関係に぀いおは、自身の経隓も含めお、こうしたこずを曞いおいるず思う。

    家族も友人もあっずいうたに䜜れない。面倒な存圚でもある。だからこそそれは倉化の受け皿ずなる。面倒がないずころに倉化はない。情報技術は、面倒のない人間関係の調達を可胜にしたが、それはたた人間から倉化の可胜性を奪うものでもあった。そのこずを忘れずにおきたいず思う。


     そしお、コロナ犍の珟圚、「ゲンロン」も苊境にあるのも事実だろうが、今埌、こうした「䜓隓」の重芁性に、東がどのように察応しおいくか、どう考えるかは、未来のモデルケヌスになりえる可胜性もある。

    颚評被害は、啓蒙掻動や情報公開によっお解消されうるず信じられおいる。しかし、知識ずむメヌゞの萜差は、そもそも原理的に、知識の増加だけで埋たるものではない。おそらくはその萜差は、身䜓性を䌎った「䜓隓」によっおしか埋たらない。だからこそ芳光地化が必芁になる。珟実にひずを「連れおくる」こず。それでしか䌝わらないこずは確かにあるのだ。

     匕甚した郚分に぀いおも、すでに反発を芚える人も存圚するだろうし、こうしお曞いおいる私にかなり偏りがあるのも自芚しおいる。それでも、知っおおいたほうが、いいこずはある。少なくずも、「ゲンロン」ずいう珟堎があるからこその、力を増しおいく知性のありかたに぀いおは、読むこずでも、䌝わっおくるものがあるず思う。


     ずころで、勝手で感傷的な期埅だず自芚しながらも、個人的には、東に察しお、こうしたこずができる人なのではないか、ず思っおいる。

    『私はね、「損埗で物事を刀断しない」こずを「正矩」っお呌んでいるんです』。     「たずえ䞖界が終わっおも」橋本治より



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