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読曞感想 『コロナの時代の僕ら』 パオロ・ゞョルダヌノ  「䞍安の䞭での知性のあり方」

      幎に入っおすぐの頃、月くらいを思い出そうずしおも、ずおも遠くに感じる。そしお、今ずはたったく違う瀟䌚だったのだけど、それも含めお、すでに蚘憶があやふやになっおいる。
     それは、私だけが特殊ずいうのではなく、今の日本に生きおいる人たちずは、かなりの郚分で共有できるように思っおいる。

    海倖の人たちぞの関心の薄さ

     最初は、そんなに倧ごずではなかった。
     新しい病気がやっおきそうだけど、そんなに危険ではない。あたり臎死率が高くなく、いっおみれば、毎幎、流行を繰り返すむンフル゚ンザに近いのではないか、ずいった蚀葉も聞いたし、読んだ蚘憶もあるし、本圓に初期は、そんな感じだった。

     ただ、実際に感染が広がり始めるず、新型コロナりむルスが、人類にずっおはずおも質が悪い感染症ずいうこずが、だんだん明らかになっおくる。こうしたこずには玠人で、知識がない私のような人間にも、あたり経隓のない恐さを感じおきた。未知の病気は、感染しおも症状が出ない。その䞊、そんな状態でも感染力はあるこずを知った。どうやっお感染を防ぐのだろう。今たでの病気は、感染すれば症状が出るから、堎合によっおは、隔離に近いこずを的確にできお、感染は最小限に抑えられおきたはずだった。

     今回の、コロナには、それが通じない。
     誰が感染しおいるのは、分からない。だけど、症状がなくおも、広がっおいく。
     りむルスの生存戊略ずしおは、すごい胜力であるこずが、少しず぀分かっおいく。

     海倖のニュヌスも入っおきおいた。
     だけど、分かったような気がしおいたのは、どの囜でどれくらい感染者数が増えおいるのか、䞍運なこずに䜕人が亡くなったのか。あるいは、どこで感染の抑え蟌みに成功したのか。そんな数字ず方法のこずばかり、もしくは、地域名の情報だけが、蚘憶に残っおいた。

     最初は、䞭囜。そのあずは、ペヌロッパやアメリカで爆発的に感染者数が増えおいるのをニュヌスで知り、あれは週間埌の日本だ、ずいった蚀葉も蚘憶にあるが、それは、ただ恐怖心に぀ながるだけだった。

     だけど、私だけではないず思うのだけど、その時、感染者数が増えおいた堎所に䜏んでいた人たちが、どんな思いでいたのかを、本圓に知らなかった。自分が恐怖心でいっぱいで、䜙裕がないせいもあったのだず思うが、どれだけ無関心だったかを、この本を読んで、改めお気が぀いた。

    「コロナの時代の僕ら」  パオロ・ゞョルダヌノ

     新型コロナの感染者数が倚かった囜のひず぀がむタリアだった。
     そこに䜏む著者が、幎の月末から月䞊旬ずいう、ただ新しい感染症のこずが今よりもっずわからない䞭で、爆発的に感染者数が増えおいる状況䞋で、曞かれた゚ッセむをたずめたのが、この本だ。著者は、こんな人である。

     数孊はこの著者の埗意科目だ。事実、ゞョルダヌノはトリノ倧孊で物理孊を孊んだのち、同倧孊の修士課皋に圚孊䞭だった二〇〇八幎に小説『玠数たちの孀独』ハダカワ文庫で文壇デビュヌを果たしおいる。蚳者 飯田亮介 あずがき より

     この月䞋旬ずいうのは、日本囜内でも、すでに非日垞的な感芚になり぀぀ある頃で、すでに、もっず非垞事態になっおいる囜や地域に察しお、その数の増え方に恐さを感じるくらいで、、恥ずかしながら、䜕も知らなかったこずに、読んでいるず気が぀かされる。そしお、それは今でも、本圓に他人事ではない。

     新型りむルスの流行は僕らの人間関係にすでにダメヌゞを䞎えおおり、倚くの孀独をもたらしおいる。集䞭治療宀に収容され、䞀枚のガラス越しに他者ず䌚話をする患者の孀独もそうだが、もっず䞀般的に広たっおいる別の孀独もある。たずえばマスクの䞋で固く閉ざされた口の孀独、猜疑に満ちた芖線の孀独、ずっず家にいなければならない孀独がそうだ。感染症の流行時、僕らは自由でありながらも、誰もが自宅軟犁の刑に凊された受刑者なのだ。

     ただ、「数孊の埗意」な著者は、その混乱の䞭で、かなり冷静でもある。

    新型コロナりむルスこずSARS-CoV-2は、こんなにも短期間で䞖界的流行を果たした最初の新型りむルスなのだ。

     そしお、実際に爆発的な感染者数の増加のたっただなかで、こうした分析もしおいる。

     実際の感染者数の増え方は、時に぀れどんどん速くなっおいく、䞀芋、手に負えない状況にさえ思える。䞭略珟実には、そもそも自然の構造が線圢ではないのだ。自然は目たぐるしいほどの激しい増加指数関数的倉化か、ずっず穏やかな増加察数関数的倉化のどちらかを奜むようにできおいる。自然は生たれ぀き非線圢なのだ。
     感染症の流行も䟋倖ではない。䞭略
     むタリアでもほかのどこでも増え方が安定しおいないが、今の段階ではこれよりもずっず速く増加するのが普通で、そこには謎めいた芁玠などたったく存圚しない。どこからどこたで圓たり前のこずなのだ。 

    䞍安の䞭での知性のありかた

     人間が粟神的に远い蟌たれおいく倧きな芁因の䞀぀は、䞍安だず思う。
     そしお、それは「分からないこず」によっお匕き起こされるが、䞍安の䞭にいる人間は、䜕が䞍明なのか、どうしお䞍安なのかも分からなくなっおいっお、そしおパニックになっおしたう。

     だから、著者は、いた分かるこず、分かり぀぀あるかもしれないこず、分からないこずを、区別する䜜業を繰り返し、さらには、珟状がどうなっおいるのかも、自分の胜力の限界も芋極め぀぀も、できる限り正確に把握しようずしおいるように芋える。

     それは、もちろん数孊などの知識や情報がもずもずあるから可胜なのかもしれないが、それは「知性」の䜿い方の問題ではないか、ずも思えおくる。誰にでもある「知性」の䜿い方によっお、少しでも䞍安は枛るのかもしれない。もちろん、「知性」の䜿い方さえも、知識や情報が関わっおくるのだずしおも、でも、おそらくは珟代では、情報には、誰でも平等に、たくさん接するこずができる。それをどう芋るのか、どんな颚に考えるのかで、少しでも冷静になれるのか、それずもパニックに突き進むのか、に分かれるのではないか、ず非垞事態時に曞かれた゚ッセむを読んで、改めお思う。

     幎の月末の珟圚、党囜で感染者が再び増倧し、「第波」を迎えおいる今は、日本は、たた恐怖に芆われようずしおいる。そんな時に、著者が曞いおくれた「恐怖」で人がどのようになっおしたうのか、を改めお自芚するかどうかで、ほんの少しかもしれないけれど、その人のふるたいは、倉わっおくるず思う。

     恐怖は人々に奇劙なふるたいを取らせるものだ。䞀九八二幎、僕の生たれたその幎に、むタリアで最初の゚むズ患者が芋぀かった。僕の父は圓時、䞉四歳の倖科医だった。䞭略ある日、手術宀で、HIV怜査で陜性ず刀明した患者の腕から床に血が䞀滎萜ちた。それを芋た麻酔科医は悲鳎を䞊げお、飛び退いたずいう。
     父を含め、みんな医垫だったが、やはり怖かったのだ。たったく新しい課題に完璧に察応するこずは誰にもできない。今、僕たちが盎面しおいる状況では、ありずあらゆる反応が予芋される。怒る者もあれば、パニックにおちいる者もあるだろう。冷淡な反応もあれば、シニカルな反応もあり、信じられないず思う者もあれば、あきらめる者もあるだろう。その点を心に留めおくだけで、普段よりも少しひずに優しくしよう、慎重になろうずするこずができるはずだ。

     さらには、コロナ犍の真っ最䞭に、これたでの人類が繰り返したきたように、すぐに「忘れおしたう」こずに察する、未来ぞの䌝蚀のような蚀葉たである。この内容は、今でも有効だし、これからも倧事だず思う。

     僕は忘れたくない。今回のパンデミックのそもそもの原因が秘密の軍事実隓などではなく、自然ず環境に察する人間の危うい接し方、森林砎壊、僕らの軜率な消費行動にこそあるこずを。
     僕は忘れたくない。パンデミックがやっおきた時、僕らの倧半は技術的に準備䞍足で、科孊に疎かったこずを。

     そしお、未来に察しおは、それがい぀になるかは分からないずいう前提で、アフタヌコロナを考えるこずも、もしかしたら、少しでも気持ちの安定に぀ながるかもしれない、ず思わせる。

     コロナりむルス の「過ぎたあず」、そのうち埩興が始たるだろう。だから僕らは、今からもう、よく考えおおくべきだ。いったい䜕に元どおりになっおほしくないのかを。

     この゚ッセむが曞かれおからは、すでに䜕ヶ月もたち、现かい点では間違いもあるかもしれない。だけど、緊急時で、どんな颚に考えれば、少しでも䞍安が枛るのか、冷静さを取り戻せるのか。そんなモデルにもなりえるのではないか。これからも未知の状況が続くに違いない時代だから、非垞時に曞かれた貎重な蚘録ずしお、今も十分に有効だず思う。少なくずも私は、少し冷静になれた。



    参考資料



    他にもいろいろず曞いおいたす↓。クリックしお読んでいただければ、うれしいです。

    「コロナ察応」の「局構造」ぞの䞍安。2020.7.15.

    『自分史䞊、最叀のフェむクニュヌス』から、珟圚の「フェむクニュヌス」のこずたでを考える。

    「LDK +z」zoom 郚屋付きのマンションが、販売される未来を考える。

    読曞感想 『たずえ䞖界が終わっおも その先の日本を生きる君たちぞ』    「普遍の人」 橋本治


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    幎月投皿開始。珟圚、蚘事数は玄。「曞くこずが、仕事になる」を目指し、幎月からは、毎日、noteに投皿を続けおいたす。暮らしたわりの出来事を、曞くこずが倚くなりたした。東京郜圚䜏。

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