
260221 エミリーはプレイ・ガール
今日のプレイ・リストから 489
"See Emily Play"
デヴィッド・ボウイ
原曲:ピンク・フロイド
ロック/フォーク
週末は朝刊に載る書評を楽しみにしています。今朝はディラン・ジョーンズ著『デヴィッド・ボウイ、その人生』が、朝日と日経の2紙で取り上げられていました。
☆
日経の評者、音楽文化批評家の小沼純一さんによると、本書は著者の声をできるだけ控えて、182人もの証言やボウイ本人の言葉を集めたものです。そのため、時に相矛盾することもあり、まとまった人物像が浮かび上がってきません。むしろ、ボウイの複雑さを描こうとしており、読者を選ぶとのことです。
対する朝日の評者は、画家の横尾忠則さんです。横尾さんは、182人の証言から、自分のボウイ像と一致する証言を28人選び、そのエッセンスを並べているだけです。一切、書を評してはいません。小沼さんのいう意味で選ばれた読者の一人として、認識を示しているだけと言えるでしょう。
☆
面白かったので、横尾28選から、ボクのボウイ像と合致するものを5つ厳選してみました。
★自分のイメージをとことんまで演じきらなきゃいけないと感じてた
★ウォーホルにあれほど強く入れ込んだのはウォーホルには変容する力、盗む力があったからだ。オリジナルであるかを気にしないところもね
★僕は放蕩者の世界を作ろうとしていたんだ
★好奇心が強くて落ち着きのない性格は、彼が彼であるために絶対に欠かせなかった
★これ以上ないほど見事な死の演出をした
ボウイは「空」だと思っています。空疎、空虚、空無、空白。とにかく空っぽなんです。守るべき内実がないから変化できるし、どこまでも自己演出を繰り返すことになります。だから、まとまった人物像を探そうとしても見つかるわけがないんです。
☆
ならば、「空」のボウイが最もわかるアルバムは?Geminiさんに問うてみると、"Low"と"Let's Dance"を挙げました。前者は歌が少なく「無名」の人を目指していたから。後者は「空元気」を出して大衆スターになりきっていたから。やはり、なかなか鋭い。
ボクが最もボウイらしいと思うのは"Pinups"です。26枚のスタジオ・アルバムの内、唯一のカヴァー曲集だからです。その中から本曲を選びました。ピンク・フロイドに在籍していたシド・バレットの曲です。エミリーの歌ですが、エミリーが誰なのかはわかっていません。
☆
ちなみに、「エミリーはプレイ・ガール」は当時の邦題です。お色気女性アクション・ドラマ「プレイガール」が放映されていました。内容とまったく関係がないのに、フックだけでタイトルに採用するセンスはボウイ以上に空っぽです。ボウイが日本好きだった理由がわかるような気がします。