
250809 オオオ
今日のプレイ・リストから 293
スキン・オン・スキン(SOS)
昨日、リリースされたばかりの新譜です。音楽を聴き始めたころの自分に教えてやりたい。半世紀後には夢の時代が来るよと。昔は洋楽なら、発表されてから数か月か、下手をすれば半年ぐらいは待たされるのが当たり前でした。日本盤ならカッティングや和訳など、輸入盤なら船便の時間がかかったんです。
阿木譲さんを思い出したついでに言うと、日本のロック雑誌はその時差で仕事をしているようなところがありました。毎月のお小遣いは2,000円でした。輸入盤が1枚しか買えません。1枚買って1か月、聴き続けるわけです。ちなみに、輸入盤を買ってしまうと、カフェで250円のコーヒー1杯さえ飲むことができなくなります。
貴重な1枚に何を買うか。最新の1枚をロック雑誌を読んで決めます。もちろん、本屋での立ち読みです。音楽を直接聴いて自分が判断するのではなく、聴いたこともない音楽について書かれた言葉を先に読むのです。筆者と読者の間には乗り越えられない情報量の差がありました。書いてある言葉と、後から聴いた音楽の両方が好きだった場合、その評論家を予言者のように信じることになりました。
当時は「ロッキング・オン」と「ロック・マガジン」と「フールズ・メイト」の3誌がありました。批評の「ロッキング・オン」、感性の「ロック・マガジン」、プログレの「フールズ・メイト」。理屈が苦手なボクは「ロック・マガジン」派でした。先日、渋谷陽一さんがお亡くなりになったので、3誌の初代編集長の皆さんがそろって鬼籍に入られたことになります。
今や新譜は即日即刻、聴くことができます。しかも、時間が許す限り何曲でも。加えて、どの国のミュージシャンでもネットでインタヴューを拾うことができるし、その言葉が何語であってもGoogleが翻訳してくれます。多くの論評もネットにあふれかえっています。
SOSは南スーダンで生まれて、エジプトのカイロを経て、オーストラリアのブリスベンで育ったDJ兼プロデューサーです。今はパリと東京を拠点に活動しているそうです。わかったことは以上。インタヴューはもちろん、彼の本名さえ公開されていませんでした。曲はOooを繰り返しているだけ。言葉を徹底して廃したミュージシャンを阿木さんや渋谷さん、北村さんだったらどう評価していただろうと思うのは、かつての信者なるが故でしょうか。