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Photo by1623kita

月見バーバー #毎週ショートショートnote

    井ノ口 人

     篝火が燃え、篠笛が清澄な音色を響かせている。庭の玉砂利に四角く敷かれた畳。その真ん中の椅子に男が一人座っている。男の上半身は白布で覆われている。やがて現れた袴姿の男。伝説の理髪師、修二だ。修二は満月に鋏をかざすと、徐ろに男の髪を刈り始めた。
     庭に面した座敷では、招待客が修二の美しく無駄のない動きを固唾を飲んで見守っていた。やがて修二の手が止まると、脇から現れた助手が、刈られ役の男を覆う白布をバサリと剥ぎ取った。拍子木の音がチョーンと鳴り響き、修二が叫んだ。「本日のカット、その名も『月に吠える』、完成でござりまするっ」客の拍手が鳴り響く…。
     ショーの後、宴席が終わり、客がはけた座敷で修二は月を眺めていた。「今夜もお見事でした」助手の言葉に深くうなづく。「先生、十五夜イベント、「月見バーバー」も無事終了、次は11月ですね」
    「そうだ。早速デザインを考えねばならんな。深まる秋に合わせよう。その名も『紅葉刈り』じゃ」
    (了)(410文字)
    たらはかに様の企画に参加させていただきます。

     
     
     
    田舎の人。Jラップ、シティポップ、芸人ラジオ、韓国映画など好きなヒマ人。韓国語学習に取り組んでいきます。2025年9月20日、日記のようなものを開始。股関節のリハビリ中。

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