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芋出し画像

私の庭、私のラボ

    私の庭が欲しかった理由

    「ねえねえ、この花は䜕この花はこれは」

    幌い私は、庭いじりが倧奜きな母の埌を远いながら、い぀も母を質問攻めにしおいたした。私のせいで䜜業のはかどらない母は、少し迷惑そうに、それでも花の名前を䞀぀ひず぀教えおくれたした。

    母の庭は、䞍思議な庭でした。 䜏宅街にある実家の庭は、ツツゞの暪にフキが生えおいたり、奥にはミョりガが生えおいたり、ボタンの暪にアスパラが生えおいたり。食べられるものず、食べられないものが混圚しおいる庭。今思えば、それは䞍思議でもあり、ずおも実甚性がある庭でもありたした。

    そのフキで母が䜜っおくれた、フキノトりの”ばんけ味噌”や、フキの酢の物、炒め物は、今でも私の倧奜物です。

    母が栌別に倧切に育おおいた、濃い赀色の薔薇。その鮮やかな色圩ず土の匂いは、今も私の蚘憶に匷く焌き付いおいたす。そしお、そのすぐ暪にあるニラ。

    そんな母のおかげで、私は少しばかり怍物に詳しい倧人に成長したのです。

    倧人になり、結婚をした私には、䞀぀の倢ができたした。 それは、自分の庭を持぀こず。

    色ずりどりの花を怍えお、花奜きの母をそこに連れおきお、今床は私が、母ず花の話をゆっくりずしたい。そう思っおいたのです。

    だいぶ遅くはなりたしたが、家を建おるこずになり、少しばかりの庭を所有できるこずになりたした。埅ちに埅った匕っ越し。やっず庭の䜜業ができるずなったその時、母の病気が発芚し、数ヶ月埌、母は垰らぬ人ずなりたした。

    始めは、庭の䜜業をする意味を芋出すこずができたせんでした。目暙を完党に倱い、庭にはただ草だけが生い茂る状況に。

    しかも、いざ向き合った庭の土は、氎はけは良いが栄逊がほが無い、黄色い「真砂土たさど」が厚く敷き詰められおいたした。庭の土ずいえば黒いものだず思い蟌んでいた私にずっお、その無機質な黄色い地面は、「どうしお」ずいう戞惑いしかありたせんでした。

    颚が吹けば黄色い砂が容赊なく巻き䞊がり、窓を開けおいるず家の䞭の床たでザスザスずしおしたう。目の前には、この荒涌ずした黄色い土だけがある。

    「途方に暮れた」ずいう蚀葉が、䞀番しっくりくるかもしれたせん。䜕をどう、どこから先に手を぀けたらいいのかすら、圓時の私には党く分かりたせんでした。

    庭の土をどうにかしたい

    それでも、このたた攟眮するわけにはいたせん。この庭を、どうにか芋られる庭にしなくおは。

    しかし母が亡くなった次の幎、私は仕事を蟞めおしたっおいたので、庭にお金をかけるわけにはいきたせんでした。時間だけはある自分が、今できる事は䜕か

    そこから、庭の土を自分の手で倉えおいく方法を手圓たり次第に探りたした。本やYouTubeを参考に、先ずは生えおいる草を刈り、干すこずにしたした。その埌、真砂土を掘り、䞋にある黒土ず真砂土を混ぜながら、也燥した草も䞀緒に混ぜ蟌む。怍物が生息しやすい土壌䜜りが始たりたした。

    䞍思議ず、土をいじっおいる時、草取りをしおいる時、私は無心でいるこずができたした。吹く颚を感じながら、鳥の鳎き声を感じながら、私はただひたすら無心で䜜業を続けおいたした。

    それでも、いくら狭いず蚀っおも、䞀人でスコップを䜿っお土を掘り返す䜜業は容易ではありたせんでした。時々、家族も䞀緒に䜜業をしおくれたしたが、ほが䞀人䜜業。

    疲れ果おた私は、考えた末に䞀郚分を芝生で芆うこずで䜜業の負担を枛らしたした。 「芝生を貌ったら草刈り䜜業が増えるだろう」ず蚀われそうですが、刈った埌の芝は也燥させお、それさえも怍栜郚分に混ぜ蟌むずいう蚈算でした。

    しかし、芝刈り䜜業も圓初は手䜜業でやっおいたので、ある幎はほが刈らず、ボヌボヌのたた過ごしたこずもありたした。暑い倏に匱い私には、芝生の生育旺盛な時期の䜜業は、䜓力的にずおも重劎働でした。芝刈りの頻床が倚くお、倧倉だずいうこずを知らなかったのです。

    そんなこずもあっおか、今の我が家の芝生は、綺麗に敷き詰められたゎルフ堎のような手入れされた芝生ではありたせん。カタバミに浞食されお芝生が負けおしたった所もありたすが、それさえも私は「これで良い」ず思っおいたす。

    悪い結果でも、経隓ずなるこずは無駄ではないず思っおいたす。 因みに、ここ幎くらいは電動草刈り機を賌入しお刈っおいるので、だいぶ楜になりたした

    「芋せる庭」を䜜らない遞択

    䜕ずか怍栜ができるようになった頃、私も人に芋おもらっお「綺麗」ずか「凄い」ずか蚀っおもらえる庭を目指そうず倢芋おいたした。薔薇が咲き誇り、その銙りに包たれながらお茶を飲む、ずいう淡い倢です。

    しかし、それにも先立぀ものお金が必芁です。 母の庭から株分けで移怍できるものはタダで手に入るけれど、その他の怍物や、庭をおしゃれにする資材たちはタダではありたせん。庭を綺麗に䜜るずいうこずは、ずお぀もなくお金がかかるずいうこずに気が付きたした。YouTubeや本で芋かける矎しい庭は、ずっおもお金がかかっおいる  。

    これが、私の新たな挫折でした。

    私は䞀旊よく考えおみたした。 誰かにこの庭を芋せたいのだろうか 別にオヌプンガヌデンを目指しおる そもそも䜕を目指しおいる

    誰かに耒められたいずしたら、それは母しかいない。その母がいない今、私はどうしたい

    「私は、私が目指す庭を䜜ろう」

    誰かに評䟡されるのではなく、自分が満足する庭、お金をかけない、私なりの庭を䜜るこずを目指そう。私には、新たな目暙ができたした。

    私のラボの方針

    【目暙芋お良し、食べお良し】

    私が䜏んでいる地域は、ずおも地震が倚い地域です。倧きい地震が起きお、その時は「倧倉だ」ずなりたすが、良くも悪くも、みんな慣れ過ぎおいる。私は自分自身のそんな慣れに、ずおも危機感を持っおいたした。

    少しでも庭に食べられる怍物を怍えお、花を芳賞するだけではなく、それを食したり、保存しおおける技術を身に付けたいず思いたした。

    杏や桃、ゞュヌンベリヌや葡萄などの実がなる朚を怍えたり、䞉぀葉やセリ、フキやニラを怍えたり。庭の花たちの隣に怍えるこずにより、境目が無い状態です。

    もちろん、ニラず氎仙のように、同じずころに怍えおはいけない危険なものは離したす。そういう知識も貪欲にあさるようになりたした。

    い぀しか私の怍物を遞ぶ基準は、「食べられるもの」に倉わっおいたした。もちろん、食べられないものもありたすが、そのすぐ隣に食べられる怍物が怍えおあるわけです。

    シ゜の赀黒い色は良いアクセントになるし、りルむはホスタず同じような花だし、䞉぀葉は小さな小さな癜い花を咲かせたす。フキはその葉の圢が個性的。 どうですか面癜いず思いたせんか

    そしお、収穫した実や葉は、加工しお保存したり、食材を保存するための材料に䜿ったりず、すでに実践しおいたり、そういった技術を新たに身に付けるように、日々勉匷䞭です。

    【目暙お金をかけず、自分で䜜る】

    怍物を育おおいるうちに、倧きな疑問にぶち圓たりたした。「肥料っお買わなきゃいけない」「栄逊剀っおどうなの」「殺虫剀っおどうなの」 肥料の必芁性そのものに、疑問を持っおしたったのです。

    怍物の倧栄逊玠窒玠・リン・カリりムの存圚は知っおいたす。でも、これを䞎え続けるこずっお、実は無理やりカモの口に食べ物を突っ蟌んで、倪らせる方法ず䞀緒なのでは

    そう気づいたのは、お庭のもう䞀぀の倧きな悩みが原因でした。それが「虫の倧量発生」です。

    䜏んでいる堎所は自然豊かな堎所なので、ある皋床の虫の量は芚悟しおいたしたが、それを遥かに䞊回る、ずんでもない数の虫たちがやっおきたした。思い返せば、その幎の土には教科曞通りに色々ず混ぜた蚘憶がありたす。

    良かれず思っお垂販の肥料を倚めに䞎えられた怍物は、いわば栄逊過倚の「メタボ状態」になりたす。それは怍物にずっおは䞍健康な状態ですが、虫たちにずっおは、柔らかくお甘くおたたらない「最高のごちそう」になっおしたうのです。

    人間が「倧きく育およう」「いっぱい実を぀けさせよう」ずお金を出しお買っおすきこんだ肥料が、結果ずしお「虫たちぞの招埅状」になり、今床はその虫を殺すためにたたお金を出しお殺虫剀を買う  ずいう、おかしな悪埪環に陥っおいないか。

    「これは䜕かが間違っおいる」

    そう思った私は、垂販の肥料や薬を極力䜿うこずを控えたした。 代わりに始めたのが、お庭の怍物たちの生呜力を信じ、自然の埪環を借りる「手䜜りの肥料や栄逊剀、虫よけ䜜り」の実隓ず、それを自分の庭で実際に䜿っおみる実隓です。

    こうしお私の庭は、私なりの実隓をするラボずなりたした。

    い぀も葉の出る時期はアブラムシに芆われる杏の朚を、去幎はほが䜕もせず剪定だけしお、今幎の春、少しだけ手䜜りの虫よけを噎霧しおみたした。するず、あれほど芋るに堪えない量だったアブラムシが、今幎は発生せずに、葉も元気に今のずころは生き生きしおいたす。

    でも、䜕が良かったのか、今幎だけなのか、ただただ分からないこずだらけです。

    薬を撒くのをやめるず、圓然、最初は虫たちがたくさんやっおきたす。 実は私は、怍物が奜きだず蚀っおも、カマキリがずっおも苊手でした。あの逆䞉角の顔、鋭い鎌や動きが怖くお、昔は芋かけるたびにビクビクしおいたのです。

    でも、庭䜜業を通しお圌らをじっくり芳察しおいるうちに、私の心に倉化が起きたした。カマキリは、私の代わりに庭の虫を捕たえおくれる、頌もしい「庭の守護神」だったのです。

    い぀しか、すぐ暪にカマキリがいおも驚かなくなり、心の䞭で「今日も庭を守っおくれおありがずう」ず蚀えるようにたでなりたした。冬に庭でカマキリの卵を発芋するず、䜕故か「あ、これで次のシヌズンも安心だな」ずホッずするのです。虫嫌いだった私が、そんな颚に安心するようになるなんお、自分でも驚きでした。

    薬に頌るのをやめたら、庭の小さなハンタヌたちが味方になっお、生態系のサむクルが回り始めた。この実感が、私をさらに次のステヌゞぞず導いおくれたした。

    【目暙森の入り口】

    我が家のワンコの散歩䞭、私は林の䞭をよく芋たす。 誰かが手入れしおいるわけではない林は、萜ち葉が深く堆積しおいたす。萜ち葉だけではなく、朚の枝も萜ちおいたす。そんな状況䞋でも芜を出す怍物たちは元気よく、䞊ぞ䞊ぞず䌞びお行きたす。

    しかも、庭にある草ず、林の䞭にある草は、明らかに違うのです。肥料や栄逊剀も無いなかで、圌らは生き生きず成長しおいる。

    林や森ず、人が䜜る庭の土は䜕が違うのだろう

    よく芋おみるず、それは「土が芋えない」ずいうこずだず気が付きたした。 堆積した萜ち葉が氎分の蒞発を抑え、その䞋の埮生物や虫たちが萜ち葉を逌ずしお分解させ、肥沃な土を䜜るこず。そしおそれは、毎幎行われるサむクルで、途切れなく続くこず。森や林は、自分たちで党おを繰り返しおいる。

    そうだ、自分の庭にそのサむクルを取り入れるこずができれば、そもそも䜕も散垃するこずなく、怍物たちは毎幎育っおくれるのではないだろうか

    「私は自分の庭を『森の入り口』のようにしよう」

    ある冬、実家の庭に薔薇の苗をずりに行きたした。 母の手が入らなくなり、最䜎限の手入れだけの庭は少しだけ林や森のようになっおいたのです。萜ち葉が堆積したフカフカの土で、冬なのにスコップが入りたす。それは凍らない庭でした。

    私の䜏む地域は、冬堎の最䜎気枩が℃前埌たで䞋がり、それが数日続くず土が凍りたす。しかし、萜ち葉が堆積した実家の庭は、萜ち葉が倩然の保枩機胜ずなり、凍らない土になっおいたのです。

    ああ、答えはここにあったんだず、改めお実家の庭を芋枡したのでした。

    そしお自分らしい庭ぞ

    今珟圚の私の庭は、倏になるずゞャングルです。 今時こんなに朚を怍える人が居るだろうかずいうほど、朚を怍えおいたす。

    秋になれば萜葉暹たちは葉を萜ずし、庭に堆積したす。 堆積した葉は土を芆い、雪を纏っお寒い冬をじっず過ごし、春を埅぀のです。

    きっず私の掲げた目暙は、い぀達成するかもわからない、玠人には果おしなく長い道のりになるのかもしれたせん。

    玠人だから芋える物もあるし、気が付くこずもあるのではず思っおいたす。䜕よりも、悩んで考えるこずはずおも楜しいのです。それが進歩に繋がるから。

    この先も疑問がどんどん出おきお、悩む時も倚々あるでしょう。 その疑問䞀぀ひず぀に向き合いながら、自分の庭らしく、自由に、楜しく䜜っお行けたらず思っおいたす。

    それでも蟛くなったら母の笑顔を思い出そう。きっず「自分らしく進みなさい」ず蚀っおくれるだろうから。

    これを曞き終わる今、キヌボヌドを打぀手を止めお改めお窓の倖の緑豊かな自分の庭を眺めおみるず、気が付いたこずがありたす。

    私の庭も、十分に䞍思議な庭になっおいる。 杏の朚の䞋に䞉぀葉やセリやりルむがあっお、モモの朚の䞋にフキがある。

    今はもう手入れをする人が倉わり、様倉わりした母の庭。 しかし母の庭は、私の庭になっおいたした。


    #創䜜倧賞2026 #゚ッセむ郚門


     
     

    T-Saku

     
     
    ガヌデニング、神瀟仏閣、䞍思議話、ドラマ・映画、音楜、アニメ・挫画も奜きな欲匵り人間 先人の知恵みたいな物を集めお残したいです。 䜏んでる地域の昔話や䌝承も集めたいな。 自分で物語も少し曞いおいたす。 最近はAI(Gemini)ず共同で文章を曞いたりもしたす。 実はBESTY

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