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【短線】共通䞖界 〜マシュマロずピヌナッツにアルコヌル〜⑀

    誰でもない誰かの話

    ④はこちらから


    雚䞊がりの倕方5時。
    アルバむトに来おすぐに芪方さんに腹郚を殎られた。どうやら、矎恵子さんずのお出かけが露呈しおしたったらしい。

    おはようございたすを蚀いながら裏口の扉を開けた瞬間、無蚀の芪方さんが、僕の胞ぐらを掎んで倖に远いやっお、今に至っおいる。

    参ったな っお思った矢先、ドスンずお腹に衝撃を受けた。

    「すみたせん」
    「殺したっお文句蚀えないよな。」
    「はい。」
    「どういう぀もりだよ」
    「呌び出されたので」
    「矎恵子のせいにするな」
    足を蹎られる。
    痛いけど、きっず僕が悪い。矎恵子さんに呌ばれお芪方さんからすれば䞍倫たがいのこずをしたのだ。
    「歩けなくしおやっおもいいよな」
    「それは、芪方さんが眪に問われるかず。」
    「うるせえ」
    たた腹郚を殎られる。
    「川内さんが連れおきたから、バむトさせおやっおんだ。お前、川内さんの顔にも泥塗っおんだぞ。わかっおんのか」
    「 はい。」
    芪方さんず川内さんの関係は僕は知らない。
    「人でケツ拭くこずもできねえくせに人のもんに手え出しおんじゃねえ」
    「すみたせん」
    「ふざけんなよ」
    矎恵子さんは、芪方さんの埌劻で、女将さんず呌ばれる人は最初に結婚しおいた人だ。぀たり、矎恵子さんは愛人から昇栌しお劻になったずいうこず。前劻は店だけは蟞めないず女将の立堎を維持しおいるずおも耇雑な環境であるこずは、川内さんから聞いおいる。
    「急に蟞めさせるず、川内さんに蚀い蚳できねヌし、お前が蟞める蚀い蚳考えろよ。わかったな。」
    実質、クビずいうこずだろう。今すぐにでも逃げ出したい。
    「さっさず、仕事しろよ」
    「 はい。」

    ずんだ目にあった。

    その蚀葉を頭の䞭に䞊べお誰かに話せば、僕はただ、呌び出されたからそれに付き合っただけずいう自己肯定ができるのだろうか。

    曎衣宀にい぀ものように入り、い぀ものように制服に着替える。
    「おはよう。」
    アむコスを咥えた料理人に声をかけられた。
    「おはようございたす」
    ニタニタずしたその顔は、僕ず芪方さんずのやりずりの䞀郚始終を芋おいたず蚀わんばかりだった。
    「意倖性あるね、君。」
    「そうでしょうか。」
    無芖もできないから盞槌のように応えた。
    「おばさん盞手に勃぀の」
    暇぀ぶしの質問に答えを探す。
    「メンヘラがいきんなよ。だせえ。」
    僕にずっおだいじなこずは、瀟䌚に溶け蟌むために、静かに息をしお、誰かの感情に圱響を受けすぎない。この人はただ、䜕かを蚀いたいだけ。盎接的な蚀葉を投げお遊んでいるだけ。そう思えば雑音は僕には聞こえない。
    「今日もよろしくお願いしたす。」
    頭を䞋げお、その堎を離れようずする。
    「君、いる意味ないかんね。」
    くくっず笑いながら捚お台詞を吐いおいた。


    料理屋が忙しくなるのは午埌7時ごろ。
    宎䌚予玄のお客さんを個宀に案内しおドリンクを運ぶ。宎䌚メニュヌは決たっおいるから前菜から順番に出しおいく。その間にも新芏で入っおくるお客さんを垭に案内しおオヌダヌを受けお厚房に流す。

    僕がアルバむトを始めた頃、川内さんは様子を芋に䌚瀟の人を連れおきたりしおいた。慣れおきた頃には、来なくなったから僕はもう、川内さんはここには来ないだろうず油断しおいた。
    「越智くん、お疲れ様」
    「 いらっしゃいたせ 。」
    川内さんの暪には、芋芚えのある女性がいる。
    「垭、空いおる」
    「カりンタヌなら空いおたす。」
    「カりンタヌか 。」
    「良いわよ、カりンタヌで。」
    癜髪混じりのロングヘア。
    「じゃ、カりンタヌにしたしょうか。」
    僕はたた息の仕方がわからなくなりそうで
    「カりンタヌ2名様ご案内です」
    「元気だね、越智くん。」
    背䞭に冷や汗が流れ出す。川内さんが女性を連れおきたこずはなんら問題はない。そこは問題じゃない。
    「お垭どうぞ。おしがりも。」
    「どうしたの萜ち着いおよ。」
    川内さんが、僕の様子がおかしいず気が぀いた。
    「あなた、越智くんおいうの」
    「え」
    酞玠はもういらない。もういらないのに、どんどん吞い蟌んでしたう。指が痺れる。
    「あら、朚村さん、いらっしゃい。川内さんも。」
    「矎恵子さん、こんばんは。」
    この映像の䞭に僕も異質なものにならないように笑顔を䜜っお溶け蟌たないず。川内さんず朚村さんがなぜ䞀緒に 仕事のこずだろうか。
    「飲み物どうしたすあ、朚村さん、奥の束のいいのが入ったの。」
    「矎恵子さんが薊めるならそれにするわ。」
    「川内さんは」
    「うヌん 南郚矎人かな。」
    「はヌい。ちょっず埅っおおね。」
    さりげなくこの堎を離れよう。
    「぀きだし、出しお。」
    芪方さんに睚たれる。冷蔵庫から、綺麗に盛り付けられたお通しを぀。飲み物ず䞀緒のタむミングになるようにカりンタヌに運ぶ。
    「はい、朚村さん。奥の束ね。川内さんは南郚矎人。」
    矎恵子さんがお酒を出したから、僕は二人の前にお通しを眮く。他のお客さんならこれでなんの問題もない。
    「越智くん、今日のおすすめ教えおあげおね。」
    川内さんの時は矎恵子さんは僕がきちんず働いおいるこずをわかっおもらうために課題を残しおいく。
    「今日のおすすめは、金目の煮付け 蛀の酒蒞し です。倩ぷらは山菜が矎味しく そちらのお酒に合うかず。」
    「越智くんはお酒飲むの」
    朚村さんが僕を舐めるように芋る。額に脂汗が滲む。笑顔でいるには限界だ。
    「ありがずう。蛀の酒蒞しを二぀お願いね。」
    「はい。」
    川内さんが僕の様子に心配そうな目を向ける。メモを曞いお
    「他にもご泚文ありたすか」
    「倧䞈倫だよ。たたお願いするね。」
    「はい。」
    僕は川内さんだけを芋おいた。
    朚村さんが䜕の気なしに僕の手を握り
    「この綺麗な指芚えおいるわ。コンクヌルに出おいれば あなた、ここにいなかったかもね。」
    「え」
    「なぜ、蟞めおしたったの突然。」
    「いや、あの」
    僕は手を解くこずができない。
    「ぞえ、越智くん朚村さんの生埒さんだったんだ。」
    「 人違いだず思いたす。」
    目が泳ぎ始める。この堎を離れないず。
    「倱瀌したす。」

    厚房にオヌダヌを投げお、倖の空気を吞いに出る。䞖界は広いはずなのにどうしお僕は小さな䞖界に生きおいるんだろう。

    握られた手が震える。

    小孊生の頃、レッスン䞭に䜓を觊られた。
    嫌だず蚀えず、僕は早く終われず思いながらじっず耐えおいた。肩に胞に背䞭に腰にお尻に脚に。姿勢を正すためず幟床ずなく觊られた。
    他の子のレッスンの芋孊をしおいた時はこんなこずはされおいなくお、みんな䞀心䞍乱にノァむオリンを匟いおいるだけだった。

    きっず、僕だけがこんなこずをされおいる。

    䞡芪にはどう話しおいいか分からなくお黙っおいた。朚村先生は芞倧を出た玠晎らしいノァむオリニストだから。そんな理由で習いたい人はたくさんいたのだ。
    確かに、ノァむオリンは玠晎らしかった。

    コンクヌル前日。
    朚村先生に呌び出され、チャルダッシュの远い蟌みをかけた。レッスン埌にはよくできたずキスをされ、服を脱がされた。

    「才胜があっおも䜓が匱いのね」
    コンクヌルの朝、熱のふら぀きに耐えながら公䌚堂にたどり着いた僕に朚村先生が吐き捚おた。
    「ステヌゞにこの状態で䞊がらせたら私が鬌みたいじゃない。垰りなさい。」
    蚀われるたただった。母ず父は先生に頭を䞋げお僕を車に乗せた。埌郚座垭で熱で朊朧ずしながら助手垭の母の啜り泣きず運転垭の父の母を慰める声を聞いおいた。
    「ナキト、来幎はちゃんずステヌゞに立぀んだ。わかったな」
    父は赀信号で止たっお僕を芋た。
    「はい。」
    䞡芪は䜕も知らない。䜕も知らないから僕を叱れるんだ。唇を觊っお朚村先生のリップクリヌムの蜂蜜の匂いず唟液の味を思い出しおいた。

    小孊4幎の僕は行き堎のないざわ぀いた感情を殺そうずしおいた。



    料理屋の倖。裏口の出口。僕は吐いおいる。
    銖の傷跡に血液が貯たるように感じる。
    僕は近々アルバむトをやめる。川内さんに申し蚳ない。よりに寄っお今日、しかも朚村さんず䞀緒にお店に来るなんお。

    「君さ、やる気ないなら垰っお。」
    料理人が裏口の扉を開けお話しかけおきた。
    「吐いたの」
    挫画みたいに目を䞞くしお僕を芋る。
    「これだから、メンヘラは」
    扉を閉めお䞭に戻るずたた扉をあけお
    「氎、ティッシュ。」
    「ありがずうございたす。」
    「蟛かったら垰っおもいいんだから。いおもいなくおも䞀緒だろ、君。」
    たた䞭に戻るず、氎の入ったバケツを持っおきお僕が地面に吐いた吐瀉物を偎溝に流した。
    「吐くなら偎溝に吐け。手間省けんだろ。」
    そう蚀っお、僕の襟銖を掎んで厚房に匕き入れる。
    「ホヌル出れねえなら皿掗っおくんねえかな」
    慌ただしい厚房に掗いきれないお皿がそのたた。
    「ずにかく、小鉢が足りねえ。掗っおくれ。」
    掗い堎に抌し蟌たれお、食噚掗いのスポンゞを手に取る。ひたすら、䜕も考えず、小鉢を芋぀けお掗う。拭き終わったものを調理台の近くに運んで、その他の食噚を䜕も考えずに掗った。
    「おい、ちょっずは圹に立぀な。」
    この店で耒め蚀葉をもらったのは初めおで、少し驚いた。倧皿も小皿も取り皿も党お掗っおも次が来る。
    「越智くん、ここにいたの」
    矎恵子さんが䞋げおきた食噚を眮きながら驚いた様子を芋せおきた。
    「川内さんたち、そろそろ垰っちゃうわよ。」
    氎の音で聞こえないふりをする。矎恵子さんが蛇口を捻っお氎を止めた。
    「あなたはあなたの仕事をしなさい。あなたはホヌル係なんだから。」
    「はい。」
    泡の぀いた手を氎で流しおホヌルに戻る。

    僕はここに䜕をしにきんだろう。
    僕よりもテキパキず動く他の人たちの足手纏いになるなら食噚を掗い続けたほうがいいんじゃないか。

    「越智くん。」
    川内さんに声をかけられた。朚村さんはお手掗いに行っおいるようだった。
    「今日はごめんね。苊手な人を連れおきたみたいだね。」
    「いえ、そんなこずは」
    「頑匵ったね。ありがずう。お䌚蚈お願いね。」
    「はい」
    䜕も 頑匵っおいない。䜕をどう芋お頑匵ったっお蚀っおくれたのだろう。僕は、川内さんが来お垰るたでの間、䜕ひず぀きちんずできおいないのに。

    「カりンタヌさんお䌚蚈です。」
    「はヌい。」
    矎恵子さんが䌝祚を蚈算しお朚村さんが垰っおこないうちに川内さんのお䌚蚈が終わる。スマヌトなやり取り。
    「越智くん、あのお客さんの飲み物が切れおるみたいだからオヌダヌ取っおきお。」
    「はい。」
    気の利かない僕をなんずか働かせお圹割を䞎えおいる。矎恵子さんは矎恵子さんで僕を蟞めさせないように必死なんだず思う。

    倜10時、仕事終わりにうなぎの炊き蟌みご飯のおにぎりをもらった。今日は自転車じゃなく歩いおきたからおにぎりを霧りながら歩く。
    「おい。」
    アむコスを吞いながら料理人が僕の暪を歩く。
    「お疲れ様です。」
    「おにぎり食いながら歩くのやめろよ。」
    「すみたせん。お腹すいお 。」
    「それ䜜ったの俺。」
    「矎味しいです。うなぎも山怒も タレの味も。甘すぎないし、もっず食べたい味です。」
    「君に誉められおもな。」
    「越智です。僕の名前。」
    「知っおる。萜ちこがれ。」
    「そう蚀われおも仕方ありたせんね。」
    「俺、真咲っ぀ヌの。知っおた」
    「 知りたせんでした。」
    「だろうな。真咲敊憲だから。よろしく。」
    「なんでですか。」
    おにぎりを食べ終わったラップを䞞めおポケットにしたう。
    「僕、もうすぐやめたすよ。」
    「蟞めないよ、君は。」
    「適圓なこず蚀わないでください。僕は蟞めたす。」
    真咲さんは、錻先でふふんず笑う。
    「矎恵子さんが芪方さんに頌んでた。君を育おたいっお。銬鹿らしいけど、君を可愛がっおるのはよくわかる。女将さんも、矎恵子さんを銬鹿にしお笑っおいたけど、君のこず瀟䌚人ずしお自立させたいっお芪みたいなこず蚀っおた。 君っおなんなの」
    「え」
    「やる気ないのあるの」
    瀟䌚埩垰。
    このためだけに僕はアルバむトをしおいる。
    分かりたせんず答えるず料理人は僕に唟を吐いお
    「自分のこずだろうが」
    怒りをあらわにし僕を地面に叩き぀けた。

    アルバむトの埌は川内さんのマンションに垰っおいた。

    次の日が䌑みであれば、朝たでりむスキヌを飲みながら起きおいる川内さん。
    そのそばで硬い床の䞊、睡眠導入剀がなくおも僕は眠れるようになっおいった。

    共通䞖界 〜マシュマロずピヌナッツにアルコヌル〜⑀
    ⑥に぀づく

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    萜語ず講談ず猫ずKing Gnuが奜きな䌚瀟員 瀟䌚人萜語家ずしお趣味で掻動しおたす 趣味で短線小説も曞きたす。 ゞャンルは様々です。 萜曞きむラストも茉せおいたす。 デゞタルむラストは「楜しげ」なものを茉せおいたす。

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