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ロンドンを厺るひ

     明治から大正時代にかけ、外交官として務めた曾祖父はキャリアの最後に在英国日本国大使館で自ら幕を下ろした。リタイア後もイギリスに永住し、孫である父へ向けた手紙が何通も残されていた。おもしろ可笑しく書かれているが、厳しい歩みを教え諭す真っ直ぐな筆圧に愛情を感じた。
     古い写真でしか見たことがない異国人たち。テラコッタ鉢に植えた檸檬の木を後ろに英国婦人の曾祖母もいる。そっと手を添えられ、幸せに満ち足りた笑顔。燻んだ赤茶色の風景は憧れめいて。
     私は英国紳士どころか只の自由人。規律正しさが苦手で古民家カフェを営む。お薦めはヴィクトリア・スポンジケーキと特製レモネード。軒先には分け枝から育てた檸檬の木。屋号は[倫敦セピア]と申します。まずは、月曜日から数えて八日目にお越し下さい。
     霧がないアンニュイな天気も一日多く数えるだけで靄が晴れます。

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    #創作大賞2026
    #オールカテゴリ部門
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    #現代詩
    #散文詩

     
     
    |369言靈プロジェクト|369字の散文詩| ✎ Pen Name: 秋凜人(トキ・リンジン)也 ✎

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