
#13:💻 樹里の日記 | 3月12日 | 仮面の下にあるのは、アイデアだ
今日の映画『Vフォー・ヴェンデッタ』を観た。 独裁国家に抗う仮面の男。彼は言った。 「この仮面の裏にあるのは肉体ではない。アイデアだ。そしてアイデアは防弾だ」
その瞬間、何年か前のアプリ開発者の講演の話を思い出した。
「アイデアが防弾……? 違う。形にしないアイデアなんて、簡単に撃ち抜かれるんだ」
アプリ開発者の彼の話では——。
マレーシアでは中古バイクの売買が盛んだった。でも、修理をする際に、どのバイクにどの部品を使えばいいかわからず、手当たり次第に試すような方法で修理していた。そこに目を付けたのが彼。機種ごとに必要なパーツを整理して売る専門サイトを作れば、絶対当たる。そう思って、サイトを立ち上げた。
でも、その2〜3ヶ月後に、大手のバイク中古販売サイトがパーツカテゴリを作成して、大規模に整備してしまった。
彼の教訓は——大手に目をつけられたら、個人では太刀打ちできない。だから、大手に負けないように、素早く市場を独占しないといけない。
千海姉は365日、全部のレビューを書き上げてから、サイトを立ち上げようとしていた。でも、それでは公開が2027年になってしまうからといって、見切り発車的に2026年1月1日から、毎日1映画ずつ公開していく方法をとることにした。
千海姉は「誰も読んでくれない」と嘆いているけれど、実は裏で大手の映画レビューサイトのボットが動いていたら? 気づいたときには、私たちの半年分の努力を掠め取った「似たようなサイト」が、資本の力で検索順位のトップを独占していたら?
それを思ったら、背筋がぞっとした。
「アイデアは防弾だ」 V(ヴィー)はそう言ったけれど、それは嘘だ。 剥き出しのアイデアなんて、大手の重機に一瞬で踏みつぶされる。
防弾の仮面を被らなきゃ。 誰にも、ボットにさえも。千海姉の努力を横取りさせないための、何かが必要なんだ。
私は、仮面の下に何のアイデアを思いつけばいい? 何を作れば、彼女の……私たちの努力は、本物として守られるの?
答えは、まだ見えない。