
360plantsの進め方 #15 制作はどのように始まるのか
長いあいだ、
私は、
書き始めたときに、
制作は始まるのだと思っていた。
机に向かう。
ノートを開く。
最初の一文を書く。
そこから、
すべてが始まるのだと思っていた。
でも、
振り返ると、
そうではなかった。
もっと静かな場所で、
もう始まっていた。
世界の中で、
ふと立ち止まる。
理由もなく気になる。
その小さな反応を、
見失わないように残す。
何度も思い出してしまう。
何度も戻ってしまう。
その繰り返しの中で、
少しずつ、
世界との関係が育っていく。
けれど、
それだけでは、
まだ作品にはならない。
ある日、
その一つと、
静かに向き合う。
すぐに答えを出そうとはしない。
何度も見つめ直しているうちに、
ばらばらだった出来事が、
少しずつ、
一つの形になっていく。
そのとき初めて、
何を書けばいいのかではなく、
何を書かずに済むのかが見えてくる。
そのとき、
制作は、
もう始まっていたのかもしれない。
書き始めたから、
制作が始まるのではない。
制作が始まっていたから、
書けるようになる。
その違いに気づいてから、
机に向かう時間が、
少しだけ変わった。
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